顔面と上下肢に感覚脱失を呈する脳卒中片麻痺の患者に対する生活指導で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
顔面と上下肢に感覚脱失があるため、熱いものを麻痺側で持つと火傷のリスクが高まります。熱さを感じられないことで重度の火傷に繋がりかねないため、非麻痺側で持つように指導することは、患者の安全を守る上で最も重要な生活指導の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 麻痺手の機能回復には、適切な範囲での使用が不可欠です。完全に控えることは、学習性不使用を招き、機能回復の機会を奪ってしまいます。正しくは:麻痺手は、安全に配慮しながら可能な範囲で積極的に使用するよう促します。特に、促通反復療法やCI療法などを通じて麻痺手の使用を促すことが重要です。選びやすい理由:感覚障害があるため、怪我のリスクを考えて使用を控えるべきだと誤解しやすいです。混同注意:感覚障害による怪我のリスクと、麻痺手のリハビリテーションの重要性。
- 2. 正解。顔面と上下肢に感覚脱失があるため、特に熱い湯呑などを麻痺側で持つと、熱さを感じずに火傷をするリスクが高まります。非麻痺側での把持は、安全を確保するための重要な指導です。選びやすい理由:感覚障害があるため、熱いものによる火傷を防ぐという点で正しい判断です。混同注意:感覚障害によるリスク回避の原則。
- 3. 片麻痺の患者さんが両手で車椅子を駆動することは困難な場合が多く、特に感覚障害がある場合は、麻痺手側の駆動が非効率的であったり、外傷のリスクを伴ったりします。片麻痺の患者さんには、非麻痺側片手駆動が一般的です。正しくは:片麻痺の患者さんには、麻痺のない片手で車椅子を駆動する方法を指導します。必要であれば、非麻痺側の車輪に駆動をアシストする装置を取り付けることも検討します。選びやすい理由:バランスを保つために両手の方が良いと考えてしまうかもしれませんが、麻痺の影響を考慮する必要があります。混同注意:健常者の車椅子駆動と片麻痺患者の車椅子駆動方法。
- 4. 感覚障害がある場合、スリッパは脱げやすく、転倒のリスクを高めます。また、足部の感覚が鈍いため、スリッパの中で足が滑ったり、足元を確認できなかったりする危険性があります。正しくは:室内では、かかとをしっかり覆う滑りにくい靴や、滑り止め付きのソックスの使用を勧めます。特に、足部感覚障害がある場合は、足元の安定性を高めることが重要です。選びやすい理由:一般的な室内履きとしてスリッパを推奨すると思ってしまいがちですが、感覚障害と転倒リスクを考慮する必要があります。混同注意:一般的な室内履きと、感覚障害のある患者にとっての適切な室内履き。
- 5. 顔面に感覚脱失がある場合、T字カミソリでは皮膚を切ってしまうリスクが非常に高まります。痛覚や触覚が鈍いため、傷に気づきにくく、出血や感染につながる可能性があります。正しくは:顔面に感覚障害がある場合は、電気シェーバーの使用を勧めます。電気シェーバーは肌に直接刃が触れないため、皮膚を傷つけるリスクが格段に低いです。選びやすい理由:T字カミソリは深剃りできるため、清潔感を保つ上で良いと考えてしまうかもしれませんが、安全性が最優先されます。混同注意:T字カミソリと電気シェーバーの安全性に関する知識。
国試ポイント
脳卒中片麻痺患者、特に感覚障害を伴う場合の日常生活における具体的なリスクと、それに対する適切な指導内容が問われています。身体機能だけでなく、感覚障害が生活動作に与える影響を理解し、安全管理の視点から判断できるかが重要です。
混同注意
麻痺手の使用促進と感覚障害による安全確保のバランス。転倒予防のための履物選択。身だしなみと安全性。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、感覚障害の有無とその部位、およびそれによって生じうる具体的なリスク(火傷、外傷、転倒など)をまず特定し、そのリスクを最小限に抑えるための介入が何であるかを判断します。
関連知識
脳卒中後の感覚障害の種類(表在感覚、深部感覚、複合感覚)とそれがADLに与える影響。学習性不使用。転倒予防の環境整備。片麻痺患者の車椅子駆動方法。