骨格筋で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
選択肢3が最も適切です。筋疲労の化学的原因として、乳酸の蓄積は古典的に重要な要因とされてきました。乳酸の蓄積により筋細胞内のpHが低下し、筋収縮に関わる酵素の活性が低下したり、Ca2+の放出・再取り込みが阻害されたりすることで筋機能が低下すると考えられています。現代の生理学では乳酸自体が直接の疲労物質ではなく、乳酸とともに発生する水素イオン(H+)や無機リン酸(Pi)などが疲労に大きく寄与するとされていますが、依然として乳酸の蓄積が関連する概念として問われることがあります。他の選択肢は明確に誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 健常成人における骨格筋の割合は体重の約40%から50%とされています。10%は著しく低い数値です。正しくは:健常成人では体重の約40~50%を占める。選びやすい理由:パーセンテージに関する漠然とした知識では判断がつきにくい可能性があります。混同注意:特定の臓器や組織の比率と混同する可能性があります。
- 2. 赤筋線維(遅筋線維)は、有酸素運動に適しており、持続的な収縮を行います。そのため、多くのエネルギー(ATP)を生産するためにミトコンドリアを豊富に含んでいます。正しくは:赤筋線維はミトコンドリア量が豊富である。選びやすい理由:白筋線維との違いが曖昧だと誤解しやすいかもしれません。混同注意:赤筋(遅筋)と白筋(速筋)の特性、特にミトコンドリア量や酸化酵素活性について混同しやすいです。白筋線維はミトコンドリア量が少ないです。
- 3. 正解。激しい運動による筋疲労の一因として、嫌気的解糖系で生成される乳酸が筋細胞内に蓄積し、pHが低下して筋収縮機能が阻害されることが挙げられます。近年では、乳酸自体が疲労の原因ではなく、水素イオンやリン酸などの影響も大きいとされていますが、伝統的に乳酸の蓄積が主な化学的疲労原因の一つとして認識されています。選びやすい理由:他の選択肢が明確に誤りであるため、この選択肢が相対的に最も適切です。
- 4. 神経筋接合部での興奮伝達は、神経終末から筋細胞へという一方向性です。これは、アセチルコリンの放出や受容体の存在部位、アセチルコリンエステラーゼによる分解などにより制御されています。正しくは:神経筋接合部での興奮の伝達は一方向性である。選びやすい理由:電気的な伝達というイメージから双方向性を連想してしまうかもしれません。混同注意:シナプスの伝達が一方向性であるという基本原理を、電気的な興奮の伝播と混同しやすいです。
- 5. 強度の低い持続的な運動では、主に赤筋線維(遅筋線維)が活性化されます。白筋線維(速筋線維)は、高強度の瞬間的な運動で活性化されます。正しくは:低負荷の運動強度では赤筋線維が活性化しやすい。選びやすい理由:「運動強度」と「筋線維の種類」の関係を曖昧に覚えていると間違えやすいです。混同注意:筋線維の種類(赤筋、白筋)とその機能的特性(持久性、瞬発性、負荷強度との関連)を混同しやすいです。
国試ポイント
骨格筋の生理学に関する基本的な知識、特に筋線維の種類とその特性、筋疲労のメカニズム、神経筋接合部の機能について正確に理解しているかを問う問題です。基本的な割合、各筋線維の特徴、伝達の一方向性など、誤りとして設定されやすいポイントが散りばめられています。
混同注意
筋疲労の原因については、乳酸単独の作用か、水素イオンやリン酸など他の要因も含まれるかという点で、詳細な生理学の知識と混同する可能性があります。また、赤筋と白筋のミトコンドリア量や、それぞれの運動強度との関連を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
この論点から次に問題が出るとしたら、筋線維の種類(I型、II型)と、それぞれの特性(収縮速度、ミトコンドリアの量、毛細血管の密度、ミオグロビン量、疲労への耐性、動員される運動強度)を具体的に比較させる問題、または神経筋接合部におけるアセチルコリンの作用機序や関連疾患(重症筋無力症など)を問う問題が考えられます。
関連知識
骨格筋の構造と機能、筋収縮のメカニズム(滑り説)、神経筋伝達(アセチルコリン、アセチルコリンエステラーゼ)、筋線維の種類(I型、IIa型、IIb型)とそれぞれの特徴(収縮速度、疲労抵抗性、ミトコンドリア量、ミオグロビン量)、筋疲労のメカニズム(ATP枯渇、Ca2+動態異常、代謝産物蓄積など)