7歳の男児。幼児期から落ち着きがなく、一つのおもちゃで遊べないなどの行動があった。小学校入学後、長時間椅子に座れない、順番を待てない、注意散漫などの問題行動があり、外来作業療法を受けることになった。作業療法では、次第に活動に継続して取り組めるようになってきたが、協調動作が必要な作業は苦手である。知能検査では知的障害は認められなかった。作業療法を行う上での留意点として適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
ADHDの男児は、注意散漫や衝動性により社会性が育ちにくい傾向があるため、周囲に受け入れられる行動(例:順番を待つ、活動に継続して取り組む)を積極的に褒めることで、自己肯定感を高め、望ましい行動の定着を促すことができる。これは行動変容を促すための基本的な介入戦略である。
選択肢ごとの解説
- 1. ADHDの男児は注意散漫であり、一度に複数の課題を提示すると混乱し、集中力の低下を招きやすい。単一の課題に集中させることが重要である。正しくは:一度に一つの課題を提示する。選びやすい理由:複数の課題をこなすことで能力向上を期待してしまうため。混同注意:一度に多くの情報を処理できる一般的な発達段階の子どもへの対応。
- 2. ADHDの特性である衝動性により順番が守れない場合、厳しく注意することは自己肯定感を低下させ、治療関係を損なう可能性がある。肯定的な関わりで望ましい行動を促す方が効果的である。正しくは:順番を守れた際に具体的に褒めるなど、肯定的なフィードバックを与える。選びやすい理由:社会的なルールを教えるためには厳しさも必要だと考えてしまうため。混同注意:一般的なしつけとして、ルール違反を厳しく叱るべきという考え。
- 3. 正解。この選択肢が正しい。上記「correct_rationale」参照。選びやすい理由:行動療法における正の強化の原則に合致するため。
- 4. 7歳のADHD男児は、活動の継続が苦手であるという問題行動がある。数週間の連続課題は集中力の維持が困難であり、達成感を損なう可能性があるため、初期段階では短い期間で達成可能な課題から始めるのが適切である。正しくは:短期間で達成感を味わえる、個人の集中力に応じた課題を設定する。選びやすい理由:集中力を高めるために長期的な課題に取り組ませるべきだと考えてしまうため。混同注意:課題解決能力を高めるための段階的な介入の原則。
- 5. ADHDの男児は注意散漫であるため、作業台の上に多くの道具や材料があると気が散りやすく、課題への集中を妨げる。不必要な刺激は排除し、集中しやすい環境を整えるべきである。正しくは:作業に必要な最小限の道具や材料のみを作業台に置く。選びやすい理由:選択肢の幅を広げることで子どもの意欲を引き出そうと考えてしまうため。混同注意:創造性を促すために様々な材料を提供する一般的なプレイルームの環境設定。
国試ポイント
ADHD(注意欠陥・多動性障害)の作業療法における行動マネジメントと環境調整の原則。
混同注意
ADHD児への接し方と、一般的な発達段階の子どもへの接し方。
次に同じ論点が出たら
ADHDの症例問題では、行動変容を促すための具体的な関わり方(褒める、指示の仕方)や環境設定の適切さを判断する。
関連知識
ADHDの行動療法の基本原則(強化、消去、タイムアウトなど)、感覚統合療法、社会的スキル訓練。