35歳の男性。母親との2人暮らし。大学卒業後に就職した。統合失調症を発症したために退職し、精神科に外来通院しながら自閉的な生活をしていた。主に家事を行っていた母親が体調を崩したために同居生活が困難となり、精神科に入院した。入院6か月で自宅退院となり、母親の負担軽減のために日中の家事援助を受けることになった。障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〈障害者総合支援法〉に規定されるサービスの中でこの患者が利用できるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
この男性は自宅での生活を継続しながら、母親の負担軽減のために日中の家事援助を必要としています。居宅介護(ホームヘルプ)は、自宅で生活する障害者に対し、調理、洗濯、掃除などの生活援助を提供するサービスであり、このニーズに最も合致します。その他の選択肢は、共同生活、常時介護、一時入所、視覚障害者といった特定の条件に合致しないため不適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 共同生活援助(グループホーム)は、地域で共同生活を送る住居において、相談や日常生活の援助を提供するサービスです。この事例の男性は自宅で母親と同居しており、共同生活を送る住居へ入居する状況ではありません。正しくは:自宅ではなく、グループホームなどの共同生活住居で支援を受ける場合に該当します。選びやすい理由:精神疾患を持つ方が利用するサービスとして共同生活援助がよく知られているため、関連性から選択肢として魅力的に映るかもしれません。混同注意:自宅で生活するケースと、グループホームなど共同生活住居で生活するケースとの区別を混同しやすいです。
- 2. 正解。居宅介護(ホームヘルプ)は、自宅で生活する障害者に対して、入浴、排せつ、食事の介助などの身体介護や、調理、洗濯、掃除などの生活援助を行うサービスです。この事例の男性は自宅退院し、母親の家事負担軽減のために日中の家事援助を希望しているため、まさにこのサービスが適切です。選びやすい理由:具体的な状況に合致するため、正答と判断しやすいです。
- 3. 重度訪問介護は、重度の肢体不自由者や精神障害者で常時介護を要する方に対し、自宅での身体介護や生活援助、外出時における移動中の介護などを包括的に提供するサービスです。この事例の男性は「日中の家事援助」を必要としており、常時介護が必要な重度な状態とは述べられていないため、このサービスには該当しません。正しくは:常時介護を必要とする重度の障害を持つ方に対して提供されるサービスです。この事例の男性はそこまでの状態ではないと推測されます。選びやすい理由:「介護」という言葉から広く当てはまるように感じるかもしれませんが、対象が「重度」に限定される点を見落としがちです。混同注意:居宅介護と、より限定的な対象である重度訪問介護との区別を混同しやすいです。障害の程度による対象者の違いを理解しておく必要があります。
- 4. 短期入所(ショートステイ)は、自宅で介護を受けている障害者が、介護者の疾病や冠婚葬祭、休養などの理由で一時的に介護が困難になった場合、施設に短期間入所して支援を受けるサービスです。この事例の男性は自宅で生活を継続し、家事援助を希望しており、一時的な施設入所を必要としているわけではありません。正しくは:介護者の休養や緊急時など、一時的に施設に入所して支援を受ける場合に該当します。選びやすい理由:介護者の負担軽減という文脈で、一時的に施設を利用するショートステイも頭をよぎるかもしれませんが、このケースでは『日中の家事援助』を求める明確なニーズがあります。混同注意:自宅での継続的な支援と、介護者の都合による一時的な施設利用サービスとの区別を混同しやすいです。
- 5. 同行援護は、視覚障害により移動に著しい困難がある方に、外出時に同行して移動の援護や代筆・代読などを行うサービスです。この事例の男性は統合失調症であり、視覚障害に関する記述はなく、家事援助を必要としているため、同行援護の対象とはなりません。正しくは:視覚障害により移動に困難がある方に対して提供されるサービスです。この事例の男性は該当しません。選びやすい理由:外出に関する支援サービスの一つとして、他のサービスと並列に提示されることで、選択肢として検討されることがあります。混同注意:特定の障害特性を持つ人向けのサービス(視覚障害者への同行援護、行動援護など)と、より一般的な生活支援サービスとの区別を混同しやすいです。
国試ポイント
障害者総合支援法における、居宅で生活する障害者への生活援助サービスの具体的な内容と、他のサービスとの違いを理解しているかが問われています。特に、障害の特性や生活状況に合わせた適切なサービス選択能力が重要です。
混同注意
居宅介護と重度訪問介護(障害の程度による対象者の違い)、居宅介護と共同生活援助(生活の場所の違い)、居宅介護と短期入所(支援内容と期間の違い)が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、まず『対象者の生活場所(自宅か施設か、共同生活か)』と『具体的なニーズ(身体介護、家事援助、外出支援、一時預かりなど)』を明確にし、それに合致するサービスを特定する能力が求められます。特に、各サービスの対象となる障害種別や重症度についても確認が必要です。
関連知識
障害者総合支援法の居宅サービスの種類(居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、重度障害者等包括支援、短期入所など)、施設入所支援、地域移行支援、地域定着支援などの全体像を把握しておくことが重要です。また、それぞれのサービスの対象者、提供される支援内容、利用条件を具体的に理解しておく必要があります。