中心性脊髄損傷について正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
中心性脊髄損傷は、特に高齢者で頚椎の退行性変化がある場合に、軽微な過伸展外力で発生しやすい病態です。脊髄の中心部に近い部位(主に灰白質)が選択的に障害されるため、上肢機能、特に手の内在筋が下肢機能よりも強く障害されることが多いという特徴があります。排泄機能に関しては、仙髄レベルの線維は比較的保たれやすい傾向にあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。中心性脊髄損傷は、特に高齢者において、加齢による脊柱管狭窄や骨棘形成がある状態で、軽微な過伸展外力によって生じやすいです。脊髄は中央部から障害されやすいため、その素因を持つ高齢者での発生頻度が高いです。
- 2. 中心性脊髄損傷は、骨折を伴わない脊髄損傷(SCIWORA, Spinal Cord Injury Without Radiographic Abnormality)として生じることが比較的多いです。特に高齢者の頚椎過伸展によるものでは、画像上明らかな骨折が認められないことがあります。正しくは:骨折を伴わないケースが比較的多いです。選びやすい理由:一般的な脊髄損傷では骨傷を伴うことが多いため、選択肢として違和感が少ないかもしれません。混同注意:一般的な脊椎・脊髄損傷と中心性脊髄損傷の発生機序や画像所見の違いを混同しやすいです。
- 3. 中心性脊髄損傷は、多くの場合、頚椎の過伸展(首を後ろに反らす動作)によって引き起こされます。脊柱管が狭窄している状態での過伸展が、脊髄の中心部に圧迫を加える主なメカニズムです。正しくは:首を強く後ろに反らす(過伸展)ことで発生しやすいです。選びやすい理由:頚椎の可動域逸脱による損傷である点は共通しており、過屈曲も外傷性脊髄損傷の原因の一つであるため、選択肢としてあり得るように感じてしまうかもしれません。混同注意:脊髄損傷の一般的な原因としての『過屈曲』と、中心性脊髄損傷に特有の原因である『過伸展』を混同しやすいです。
- 4. 中心性脊髄損傷では、脊髄の中心部(灰白質)が障害されやすく、これにより遠心性神経線維が影響を受けます。しかし、仙髄レベルの排泄機能に関わる線維は脊髄の外側を通ることが多いため、中心性脊髄損傷では比較的肛門括約筋機能は保たれやすいとされています。ただし、損傷の程度によっては障害されることもあります。正しくは:肛門括約筋の収縮は比較的保たれることが多いです。選びやすい理由:脊髄損傷では一般的に排泄機能の障害が起こるという知識から、この選択肢を選びがちです。混同注意:一般的な脊髄損傷における膀胱直腸障害と、中心性脊髄損傷の病態による機能障害の違いを混同しやすいです。
- 5. 正解。中心性脊髄損傷では、脊髄の中心部にある上肢機能に関わる神経路(特に中心部に近い)が選択的に障害されるため、下肢機能よりも上肢機能、特に手先の細かい動作が強く影響を受けやすいという特徴があります。これは、下肢の運動・感覚路が脊髄の外側に位置していることによります。
国試ポイント
中心性脊髄損傷の典型的な病態生理、発生機序、好発年齢、および特徴的な身体所見(特に上肢と下肢の障害程度の違い)を理解しているかを問う問題です。他の脊髄損傷との鑑別点が重要になります。
混同注意
一般的な脊髄損傷の原因(例:過屈曲、骨折合併)や症状(例:膀胱直腸障害)と、中心性脊髄損傷に特有の病態(例:過伸展、非骨傷性、上肢優位の麻痺)を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に中心性脊髄損傷について問われたら、損傷部位による症状の違い(Brown-Séquard症候群、前脊髄症候群などとの比較)、画像所見(MRIでの脊髄内の変化)、予後についても注意して学習しましょう。
関連知識
脊髄の解剖学的構造(灰白質、白質の経路)、神経路の局在(上肢・下肢の運動・感覚路の位置)、頚椎過伸展損傷のメカニズム、高齢者の脊椎疾患(脊柱管狭窄症など)。