上腕切断の術後管理で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
切断術後の管理において、創部の感染や治癒不全は、義手装着の遅延や合併症を引き起こす可能性があり、患者の機能回復を大きく阻害します。そのため、他のリハビリテーションプログラムや義手準備に先行して、まずは創傷が完全に治癒していることを確認し、そのケアを最優先することが基本原則です。
選択肢ごとの解説
- 1. 上腕切断後の肩関節の肢位管理では、拘縮予防のため、内転・屈曲位での長時間保持を避けることが重要です。しかし、積極的に外転位を保持するのではなく、可動域訓練や中間位での安静が推奨されます。外転位を維持すると、腋窩部の皮膚の引きつれや浮腫の増大を招く可能性もあります。正しくは:肩関節は中間位を保ち、拘縮を予防する運動を行う。選びやすい理由:拘縮予防の重要性は理解しているものの、具体的な肢位の誤解や、特定の拘縮(内転拘縮など)への対策と混同しやすいです。混同注意:肩関節の内転拘縮を防ぐことと、積極的に外転位を保持することとを混同している可能性があります。あるいは、特定の切断レベルやリハビリ段階における一時的な肢位と誤解している可能性もあります。
- 2. 正解。切断術後の管理において、創部が治癒していない状態で義手装着や積極的なリハビリを行うと、感染のリスクを高めたり、創傷治癒を遅延させたりする可能性があります。そのため、創傷治癒が何よりも優先されます。
- 3. 早期の義手装着は、残存肢への感覚入力や活動を促し、幻肢痛の予防や軽減に効果があるとされています。幻肢痛は脳の可塑性に関連すると考えられており、義手による感覚フィードバックがその再編成を助ける可能性があります。正しくは:早期の義手装着は幻肢痛の予防や軽減に役立つ。選びやすい理由:幻肢痛の原因は複雑であり、早期介入が必ずしも万能ではないという漠然とした知識から、悪化させる可能性もあると誤解しやすいです。混同注意:早期義手装着が残存肢の形状変化(浮腫の軽減など)には寄与するが、神経系の複雑な問題である幻肢痛に影響はない、あるいは悪影響を与えるという誤った情報と混同しやすいです。
- 4. リジッドドレッシング法は、ギプスなど硬い素材で残存肢を覆うため、創部を直接目視で観察することはできません。創部の観察には、ドレッシング材を一度除去する必要があります。正しくは:リジッドドレッシング法は創の直接観察が困難である。選びやすい理由:切断端の保護や機能的メリットは理解しているものの、創観察の可否という詳細な特徴を混同しやすいです。混同注意:ソフトドレッシング法と比較した際のメリット・デメリットを正確に覚えていない場合や、創観察が可能な特殊なドレッシング材(透明なフィルムなど)と混同している可能性があります。
- 5. 弾性包帯を巻く際は、残存肢の先端(末梢側)に最も圧をかけ、中枢側に向かって徐々に圧を弱めて巻くのが正しい方法です。これにより、浮腫の軽減と適切な形状形成が促進されます。先端ほど緩く巻くと、浮腫が末梢に貯留しやすくなります。正しくは:ソフトドレッシング法の弾性包帯は、先端に最も圧をかけ、中枢に向かって徐々に緩く巻く。選びやすい理由:浮腫軽減のための圧迫の概念は理解しているが、その具体的な圧のグラデーションを誤解している可能性があります。混同注意:四肢の浮腫に対する一般的な圧迫療法(静脈還流を促すために末梢から中枢へ強く巻く)の原則を理解していないか、逆に「締め付けすぎない」という注意点から誤った解釈をしている可能性があります。
国試ポイント
切断術後の一般的な管理原則、特に創傷治癒の重要性、残存肢の保護・形成方法、幻肢痛への対応、そして各ドレッシング法の特徴について問われています。基本的な術後管理の優先順位と、具体的なケア方法の理解が求められます。
混同注意
義手装着のタイミングと幻肢痛の関係性(早期装着が幻肢痛を悪化させるという誤解)や、各種ドレッシング法の特性(特にリジッドドレッシング法での創観察の可否)、弾性包帯の正しい巻き方(圧のグラデーション)は混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、切断術後の段階に応じたケアの優先順位(例:急性期、回復期、維持期)、具体的な残存肢の管理方法(例:浮腫軽減、断端形成、皮膚ケア)、そして幻肢痛や断端痛に対する最新の治療介入やリハビリテーションアプローチ(ミラーセラピー、VRなど)に注目すると良いでしょう。また、特定の切断レベル(上腕、前腕、大腿、下腿など)に応じた管理の違いも確認が必要です。
関連知識
切断術後の合併症(幻肢痛、断端痛、感染、拘縮など)、残存肢の評価(形状、浮腫、皮膚の状態など)、各種ドレッシング法(リジッドドレッシング、ソフトドレッシング)の目的と特徴、残存肢のポジショニングと可動域訓練、義手装着前訓練、義手の種類と適応、幻肢痛・断端痛の治療と管理。