65歳の男性。Parkinson病。方向転換の不安定性や突進現象を伴う歩行障害が出現し始めた。ADLは動作に制限があるものの自立している。家業である洋裁店を妻や長男夫婦の手助けで行っている。この時点でのHoehn&Yahrの重症度分類ステージはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
この患者は、方向転換時の不安定性や突進現象といったバランス障害(立ち直り反射障害)を呈していますが、ADLは自立しており、部分的に介助を受けながらも家業を継続できています。これはHoehn & Yahr重症度分類のステージⅢの典型的な特徴です。ステージⅠは片側性症状のみ、ステージⅡは両側性症状で立ち直り反射障害なし、ステージⅣは日常生活に介助を要する重度障害、ステージⅤは車椅子または寝たきりの状態を指します。
選択肢ごとの解説
- 1. ステージⅠは、症状が片側のみに現れるごく初期の段階で、歩行障害やバランス障害は認められません。正しくは:症状が片側のみに限局し、ADLに影響がなく、歩行やバランスに問題がない状態です。選びやすい理由:症状が出始めたという記述から、軽度であると誤解する可能性がありますが、設問では具体的な歩行障害が示されています。混同注意:症状が両側性になり、歩行障害が出始めるステージⅡやⅢと混同しやすいです。
- 2. ステージⅡでは、症状が両側性に及びますが、立ち直り反射障害(バランス障害)はまだ認められず、歩行は自立しています。設問では方向転換の不安定性や突進現象といった具体的な歩行障害が示されており、これはバランス障害の一種です。正しくは:症状が両側性であるものの、立ち直り反射障害はなく、日常生活はほとんど支障がない状態です。選びやすい理由:ADLが自立しているという点から、比較的軽度なステージⅡと判断してしまう可能性があります。混同注意:バランス障害があるステージⅢと、バランス障害がないステージⅡの区別が曖昧になりやすいです。
- 3. 正解。ステージⅢは、パーキンソン病の症状が両側性で、立ち直り反射障害(バランス障害)が認められる段階です。方向転換の不安定性や突進現象は、バランス機能の低下を示唆しており、まさに立ち直り反射障害の症状に該当します。ADLは一部制限があるものの、介助なしで自立して行えることが多いのが特徴です。設問の記述は、このステージⅢの定義と一致します。
- 4. ステージⅣは、重度の障害があり、日常生活動作に介助を要する段階です。起立や歩行は可能ですが、日常生活に著しい制限があり、介助なしでは生活が困難になります。設問ではADLが自立していると明記されているため、ステージⅣではありません。正しくは:歩行や起立が介助を要するほど困難になり、日常生活動作にも著しい介助が必要な状態です。選びやすい理由:歩行障害が「出現し始めた」という表現から、進行している状態をイメージし、Ⅲより重いと誤解する可能性があります。混同注意:ADLが部分的に自立しているステージⅢと、ADLに著しい介助が必要なステージⅣの区別が曖昧になりやすいです。
- 5. ステージⅤは、車椅子生活を強いられるか、寝たきりになる末期の状態です。設問ではADLが自立していると明記されており、車椅子や寝たきりの状態とは大きく異なります。正しくは:介助なしでは歩行や起立ができず、車椅子生活または寝たきりの状態です。選びやすい理由:パーキンソン病の重症度分類の中で最も重いステージなので、ある程度の症状があれば選択肢として検討してしまうかもしれません。混同注意:歩行障害があることと、完全に移動不能であるステージⅤを混同しやすいです。
国試ポイント
Hoehn & Yahr重症度分類の各ステージにおける主要な臨床症状、特にバランス障害の有無とADLの自立度を正確に理解しているかが問われます。
混同注意
Hoehn & Yahr分類のステージⅡ(両側性症状だがバランス障害なし)とステージⅢ(バランス障害ありだがADL自立)、およびステージⅢとステージⅣ(ADLに介助を要する)の境界が特に混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず『立ち直り反射障害(バランス障害)の有無』、次に『日常生活動作(ADL)の介助の必要性』に注目して判断します。
関連知識
パーキンソン病の重症度分類には、Hoehn & Yahr分類の他に、UPDRS(Unified Parkinson's Disease Rating Scale)や、ヤール分類の修正版などがあります。それぞれの特徴と評価項目を理解しておくことが重要です。また、病期ごとのリハビリテーション介入の目標設定にも関連します。