発病後間もないうつ病患者への対応で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
発病初期のうつ病患者は、強い絶望感や自責の念に囚われていることが多く、回復の見込みがないと感じています。このような状況において、適切な治療を受ければ症状が改善する可能性が高いことを伝えることは、患者に希望を与え、治療への意欲を引き出す上で非常に重要です。このメッセージは、安易な励ましではなく、医学的根拠に基づいた説明として行われるべきです。
選択肢ごとの解説
- 1. 発病初期のうつ病患者は、意欲の低下や倦怠感が著しいため、無理に活動を促すと負担になり、症状を悪化させる可能性があります。正しくは:患者の意欲や体調に合わせて、無理のない範囲で、ゆっくりと活動を提案するべきです。選びやすい理由:一般的に気分転換は良いことだと認識されているため、一見すると正しい対応のように思えるかもしれません。混同注意:患者の病状が回復期に入り、自発的な活動意欲が出てきた段階での対応と混同しやすいです。
- 2. 自殺に関する話題を避けることは、患者が抱える苦しみを無視することにつながり、孤立感を深める可能性があります。自殺のサインを見逃さないためにも、積極的に傾聴し、安全を確保する姿勢が重要です。正しくは:自殺の兆候がある場合は、患者から話を聞き、傾聴し、適切な専門機関への連携や情報共有を行うべきです。選びやすい理由:自殺の話題はデリケートであるため、患者を刺激しない方が良いと考える人がいるかもしれません。混同注意:自殺企図を助長するような不適切な発言(例:軽い気持ちで話す、非難する)を避けることと、話題そのものを避けることとを混同しやすいです。
- 3. 正解。うつ病は適切な治療を受ければ回復する可能性が高い病気であり、そのことを患者に伝えることで、病気への希望や治療への動機付けを促すことができます。患者が絶望感に苛まれている状況では、回復の見込みがあるというメッセージは精神的な支えとなります。正しくは:この選択肢は正しい対応です。選びやすい理由:特になし。これは患者に希望を与える上で重要な対応です。混同注意:根拠のない安易な励ましと混同されがちですが、うつ病の治療成績に基づいた説明である点が異なります。
- 4. うつ病は心構えの問題ではなく、脳内の神経伝達物質の不調などによる病気です。心構えを指摘することは、患者に自責の念を抱かせ、病状を悪化させるだけでなく、医療者への不信感につながります。正しくは:うつ病が病気であることを理解してもらい、患者を責めることなく、共感的な姿勢で接するべきです。選びやすい理由:精神疾患に対する誤解から、個人の精神力の問題だと捉えがちですが、これは医学的に誤りです。混同注意:本人の努力不足によるものだという誤った認識と、病気としてのうつ病の理解を混同しやすいです。
- 5. うつ病の患者は判断力や集中力が低下しているため、重大な決断を迫ることは大きな負担となり、誤った判断を招く可能性があります。症状が安定するまでは、重要な決断は避けるべきです。正しくは:症状が安定し、判断力が回復するまで、重要な決断は延期することを勧めるべきです。選びやすい理由:日常生活における滞りを解消したいという意図から、早く決断を促す方が良いと考える人がいるかもしれませんが、これは患者にとって不利益です。混同注意:健常な状態での迅速な意思決定と、病状によって判断能力が低下している状態での意思決定を混同しやすいです。
国試ポイント
うつ病患者への初期対応、特に患者の心理状態への配慮と、病気に対する正しい理解を促すコミュニケーションが問われています。患者の尊厳を傷つけず、希望を与える関わり方が重要視されます。
混同注意
安易な励ましと、医学的根拠に基づく回復の見込みの説明は混同されやすいですが、後者は正しい対応です。また、活動への介入は病状に応じて慎重に行う必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、患者の病期や症状の重症度に応じた適切な介入方法、特に急性期と回復期での対応の違い、そして精神科リハビリテーションにおける作業療法の役割が問われる可能性があります。
関連知識
うつ病の症状(抑うつ気分、意欲低下、倦怠感、集中力低下、自殺念慮など)、うつ病の治療法(薬物療法、精神療法など)、うつ病患者とのコミュニケーションの原則(傾聴、共感、支持、安心の提供、希望の提示、重要な決定の延期など)。