アルコール離脱直後の作業療法で最も優先すべきなのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
アルコール離脱直後の患者は、長期にわたる飲酒や離脱症状によって身体的・精神的に非常に消耗しています。倦怠感、睡眠障害、栄養不良などが顕著であるため、作業療法においてはまず身体機能の回復と基礎的な体力向上を図ることが最も優先されます。これは、その後の精神的な介入や社会適応への準備を進めるための基盤となります。精神的な内省や仲間づくり、生活設計などは、心身が安定した回復期以降に重点的に取り組むべき課題です。
選択肢ごとの解説
- 1. 離脱直後は身体的・精神的に不安定な状態であることが多く、内省のような精神的な負荷が高い活動は不適切です。まずは身体的安定を優先すべきです。正しくは:内省は、身体的・精神的な安定が得られた後に、再飲酒防止のための重要なテーマとなります。選びやすい理由:アルコール依存症治療において内省は重要な要素であるため、一見正しそうに見えます。混同注意:離脱後の急性期と、回復期の治療内容を混同しやすいです。
- 2. 仲間づくりは回復過程で非常に重要ですが、離脱直後の身体的・精神的倦怠感がある段階では、集団活動への参加は負担が大きい可能性があります。まずは個別の体力回復が優先されます。正しくは:仲間づくりは、体力回復後に精神的安定を確立し、再飲酒防止のネットワークを築く上で効果的です。選びやすい理由:アルコール依存症治療において、自助グループなどでの仲間づくりは非常に有効であるため、正答に感じられるかもしれません。混同注意:治療プログラムの回復期と、離脱直後の初期段階の焦点を混同しやすいです。
- 3. 正解。アルコール離脱直後は、長期的な飲酒による栄養不良や身体機能の低下、離脱症状による疲労が顕著です。まず身体の安定と体力回復を図ることが、その後の精神的治療や社会適応の基盤となります。
- 4. 治療への動機付けは非常に重要ですが、離脱直後の身体的・精神的消耗が激しい状態では、まずは体力回復を優先し、その上で動機付けを促す必要があります。動機付けは継続的な支援の中で培われます。正しくは:治療への動機付けは、身体的安定が得られた後に、具体的な治療目標を設定する中で支援されるべきです。選びやすい理由:治療の継続には動機付けが不可欠であるため、これも正答に思えるかもしれません。混同注意:治療開始初期と、回復期の精神的な介入を混同しやすいです。
- 5. 生活設計の立て直しは、より長期的な視点での回復段階で必要となる課題です。離脱直後の不安定な時期に具体的な計画を立てることは現実的ではなく、まずは目の前の体力回復に集中すべきです。正しくは:生活設計は、心身が安定し、社会資源の情報が得られる回復期に、患者自身が主体となって取り組むべき課題です。選びやすい理由:社会復帰に向けた重要なステップであるため、正答に感じられるかもしれません。混同注意:退院後の社会生活準備と、離脱直後の急性期治療の焦点を混同しやすいです。
国試ポイント
アルコール依存症の治療段階における作業療法の優先順位が問われています。特に、離脱直後の急性期における身体的アプローチの重要性を理解しているかがポイントです。
混同注意
アルコール依存症治療の『回復期』と『離脱直後の急性期』で、作業療法の介入内容や優先順位が大きく異なる点を混同しやすいです。回復期では精神的な介入や社会適応支援が中心になりますが、離脱直後は身体的安定が最優先されます。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず『患者がどの病期(急性期、回復期、維持期など)にあるか』を把握し、その病期で最も必要とされる介入(身体的、精神的、社会的)を判断する必要があります。特に『直後』『初期』といったキーワードに注目し、まずは身体的安定が優先されることが多いことを念頭に置くべきです。
関連知識
アルコール依存症の治療は、大きく『急性期(離脱・解毒期)』、『回復期(精神療法・社会復帰支援期)』に分けられます。急性期では、身体合併症の治療、離脱症状の管理、栄養状態の改善などが優先されます。作業療法もこの段階では、身体機能の維持・回復、ADLの自立、生活リズムの再構築などに焦点を当てます。回復期では、精神療法(集団療法、個人療法)、家族療法、自助グループへの参加、職業訓練、生活技能訓練などが中心となり、作業療法もこれらの目標を支援する形で行われます。