55歳の男性。うつ病。職場で苦手なパソコン操作を行う業務を担当するようになり、不眠、意欲低下および抑うつ気分がみられるようになった。希死念慮も認められたため入院となった。入院後1か月経過し、作業療法が開始された。初回評価で優先度が高いのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
希死念慮が認められているため、患者の安全確保が最優先課題となります。うつ病における希死念慮は、悲観的思考や自己否定的な思考といった思考障害の重症度を示す指標の一つです。作業療法の初回評価では、まずこの思考障害の状態を詳細に評価し、自殺のリスク管理に繋げることが重要です。他の項目も重要ですが、生命の危機管理に直結する思考障害の評価が最も優先されます。
選択肢ごとの解説
- 1. うつ病患者において体力評価も重要ですが、希死念慮がある状況では思考障害の評価が優先されます。体力は二次的な問題であることが多いです。正しくは:希死念慮の評価、思考障害の評価が落ち着いた後に、活動性向上や生活リズム調整の一環として評価します。選びやすい理由:うつ病では活動性低下に伴い体力が落ちることもあるため、一見重要に見えるかもしれません。混同注意:身体機能と精神機能の評価の優先順位。
- 2. 家族関係は患者さんの社会生活や退院後の生活に大きく影響しますが、希死念慮を伴う入院初期の段階では、まず患者さん自身の精神状態、特に思考障害の評価が最優先されます。正しくは:精神症状が安定し、病識や社会性が回復してきた段階で、社会生活技能の一環として評価します。選びやすい理由:うつ病はストレス要因として家族関係も影響することがあるため、重要だと感じやすいです。混同注意:個人の精神状態の評価と、社会環境要因の評価の優先順位。
- 3. 正解。患者は希死念慮を認めて入院しており、これはうつ病における思考障害(悲観的思考、自己評価の低下、未来への絶望など)の重篤な現れです。初回評価において、自殺のリスクを評価し、患者の安全を確保するために思考障害の状態を把握することが最優先となります。選びやすい理由:うつ病の中心的な症状の一つであり、生命の危機管理に直結するため、非常に重要です。混同注意:他の表面的な症状や生活機能の評価。
- 4. 作業能力の評価は作業療法の中核ですが、希死念慮がある重度のうつ病患者の場合、その前に思考障害の評価が必須です。安全が確保され、思考力が回復してから具体的な作業能力の評価に移ります。正しくは:精神症状の安定後に、具体的な作業活動を通して遂行機能や集中力、持続性などを評価します。選びやすい理由:作業療法士にとって最も得意とする評価領域であるため、選びたくなるかもしれません。混同注意:精神科作業療法の目標設定における、安全確保と機能評価の優先順位。
- 5. 職場環境は今回のうつ病発症の誘因となっていますが、入院直後で希死念慮もある患者の初回評価としては、まず患者自身の精神状態、特に思考障害の評価が優先されます。環境調整は、病状が安定し、退院後の生活を考える段階で重要になります。正しくは:病状が安定し、退院準備段階で職場復帰支援の一環として評価・調整を行います。選びやすい理由:発症のきっかけが職場環境であったため、原因を探る意味で重要だと感じやすいです。混同注意:発症要因と、現在の生命危機管理の優先順位。
国試ポイント
うつ病患者の初回評価において、生命の危機管理に直結する項目(希死念慮、思考障害)の優先順位を理解しているか問う問題です。作業療法士として、精神科領域での安全確保の重要性と、評価の優先順位を判断する能力が求められます。
混同注意
うつ病患者の評価は多岐にわたるため、体力、家族関係、作業能力、職場環境といった他の重要項目と迷いやすいですが、希死念慮があるという重篤な状況に焦点を当てることがポイントです。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の問題が出た場合、患者の生命に関わる直接的なリスク(希死念慮、自傷行為、他害行為など)を示す記述がある場合は、それに関連する精神症状の評価が最も優先されると判断すること。
関連知識
精神科作業療法における評価項目(生活機能、社会性、作業遂行能力など)、うつ病の症状とその重症度評価、自殺リスクアセスメントの基本、精神科急性期病棟での安全管理。