24歳の女性。統合失調症。2か月前からスーパーの惣菜コーナーで働いている。週1回、外来作業療法を利用しており、仕事や生活の様子を話題にしながら患者の体調の確認を行っている。作業療法士が気を付けるべき状態悪化時のサインとして適切でないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
統合失調症の病状悪化サインとしては、不眠、食欲不振、活動性の低下(意欲低下)、集中力低下、思考力の低下、妄想や幻覚の出現・悪化、不穏状態などが挙げられます。睡眠時間の増加は、抑うつ状態の一症状として見られることはありますが、統合失調症の急性期悪化のサインとしては不眠の方が典型的です。設問の他の選択肢は、いずれも統合失調症の悪化時に見られる可能性のある症状です。
選択肢ごとの解説
- 1. 統合失調症が悪化すると、精神的な興奮や焦燥感から落ち着きを失う不穏状態になることがあります。これは病状悪化の典型的なサインです。正しくは:落ち着きがなく、不安な様子を見せることは、病状悪化のサインとして適切です。選びやすい理由:一見すると行動的であるため、悪化ではないと誤解するかもしれませんが、これは焦燥感や興奮によるものです。混同注意:活動性の増加と混同しやすいですが、不穏は精神的な不安定さを伴います。
- 2. 正解。統合失調症の悪化時や前駆期には、睡眠リズムの乱れが見られることが多いですが、一般的に不眠や中途覚醒などの睡眠時間の減少が指摘されます。睡眠時間が長くなることは、必ずしも悪化の直接的なサインとは限りません。むしろ、抑うつ状態を示唆する場合もありますが、急激な悪化のサインとしては不適切です。正しくは:統合失調症の悪化時によく見られるのは、不眠や中途覚醒といった睡眠時間の減少、または睡眠リズムの乱れです。選びやすい理由:睡眠の変化は体調のバロメーターであるため、何らかの異常と捉えやすいですが、統合失調症の悪化サインとしては「不眠」がより典型的です。混同注意:睡眠障害全般(過眠・不眠)と統合失調症の悪化サインとしての不眠を混同しやすいです。
- 3. 統合失調症が悪化すると、意欲の低下や精神的な不安定さから、社会活動や職業活動への参加が困難になり、欠勤が増えることがあります。これは病状悪化の重要なサインです。正しくは:仕事の欠勤が増える傾向にあることは、病状悪化のサインとして適切です。選びやすい理由:体調不良による欠勤は誰にでもあるため、悪化のサインではないと考えるかもしれませんが、統合失調症においては特に注意が必要です。混同注意:単なる体調不良による欠勤と、病状悪化に伴う意欲低下や集中力低下による欠勤を混同しやすいです。
- 4. 統合失調症が悪化すると、妄想(特に被害妄想)が出現したり強まったりすることがあります。これにより、職場の同僚に対しても不信感や疑念を抱くようになるのは、病状悪化の明確なサインです。正しくは:同僚に対して疑心暗鬼になることは、病状悪化のサインとして適切です。選びやすい理由:職場での人間関係のトラブルと誤解しやすいですが、統合失調症では妄想との関連を疑う必要があります。混同注意:単なる人間関係の悩みと、精神疾患による妄想や認知の歪みを混同しやすいです。
- 5. 統合失調症が悪化すると、集中力や注意力の低下、思考の障害などが顕著になり、仕事の遂行能力が低下することで業務上のミスが増加します。これは病状悪化の重要なサインです。正しくは:業務上のミスが頻繁になることは、病状悪化のサインとして適切です。選びやすい理由:疲労や慣れない仕事によるミスと考えるかもしれませんが、急激なミス増加は注意力の低下など精神症状の悪化を疑うべきです。混同注意:単なる不注意や疲労によるミスと、精神症状による認知機能低下に伴うミスを混同しやすいです。
国試ポイント
統合失調症の病状悪化の前兆やサインに関する知識、特に典型的な症状の把握が問われています。悪化時に見られる睡眠障害は、不眠であることが多いため、過眠(睡眠時間の延長)が適切ではない選択肢となります。
混同注意
統合失調症の陰性症状(意欲低下、活動性低下)と、急性期悪化に伴う症状(妄想、幻覚、不穏、不眠など)を混同しやすい。また、睡眠障害の種類(不眠と過眠)についても正確な知識が求められます。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合は、統合失調症の病状悪化における睡眠障害の種類(不眠が典型)や、前駆期症状と急性期症状の違い、陰性症状の理解が問われる可能性があります。
関連知識
統合失調症の急性期症状、前駆期症状、陰性症状、陽性症状。睡眠障害(不眠、過眠)と精神疾患の関係。作業療法における精神疾患患者の観察ポイント。