視覚失認について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
純粋失読は、文字の形を視覚的に認識できない状態ですが、手指でなぞることで触覚や運動感覚の情報が加わり、別の経路を通じて文字を認識できるようになることがあります。これは、視覚による文字情報処理経路に問題がある一方で、他の感覚経路が代償的に機能しうることを示しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 相貌失認は、顔全体の認識が困難になる障害です。表情も顔の一部であるため、その認知も通常は困難になります。特定の人物を顔から識別できなくなります。正しくは:相貌失認では、表情の認知も一般的に困難です。表情は顔の重要な要素であり、顔全体の認識障害に付随します。選びやすい理由:表情と顔の識別を別物と捉えてしまうと、表情なら認識できると考えてしまう可能性があります。混同注意:顔全体の認識(誰の顔か)と、表情の認識(どんな表情か)を混同しやすいです。相貌失認では両方が困難になることが多いです。
- 2. 正解。純粋失読は、視覚経路から言語中枢への情報伝達経路の障害(皮質性失語を伴わない)により文字を読めなくなる状態ですが、手指で文字の形をなぞることで触覚や運動感覚からの入力が加わり、文字を認識しやすくなることがあります。
- 3. 同時失認は、複数の対象物が同時に視野に入った際、それらの関係性を把握したり、全体像を認識したりすることが困難になる障害です。個々の物体や人物自体は認識できますが、それらが複数あるときに全体として捉えられなくなります。正しくは:同時失認では、個々の物体や人物は認識できますが、複数の物体や人物を同時に全体として把握することが困難になります。選びやすい理由:「失認」という言葉から、個々の認識ができないと誤解しやすいです。混同注意:物体失認(個々の物体が認識できない)と同時失認(個々の物体は認識できるが全体が把握できない)を混同しやすいです。
- 4. 色彩失認は、色名を想起したり、特定の色を認識したりすることが困難になる障害ですが、色の識別能力自体は保たれていることが多いです。そのため、提示された複数の物体から同じ色のものを選ぶことは比較的容易に行えます。例えば、赤という名前が思い出せなくても、赤い物体と赤い物体が同じ色であると認識はできます。正しくは:色彩失認では、色の識別能力は保たれていることが多いため、同じ色の物を選ぶことは可能です。しかし、特定の色を「赤」と命名したり、記憶から特定の色を想起したりすることが困難になります。選びやすい理由:「色彩失認」という言葉から、色に関する全ての能力が失われると誤解しやすいです。混同注意:色彩失認(色の識別は可能だが色名想起や認識が困難)と色盲・色覚異常(色の識別自体が困難)を混同しやすいです。
- 5. 視覚性物体失認は、主に後頭葉から側頭葉にかけての視覚連合野(特に劣位半球の障害が示唆されることが多い)の損傷により生じることが多いです。前頭葉の損傷では、失認よりも高次脳機能障害(実行機能障害など)が見られることが多いです。正しくは:視覚性物体失認は、主に後頭葉や側頭葉の視覚連合野の損傷により生じます。選びやすい理由:高次脳機能障害が広い領域で起こるため、前頭葉も関係していると考えてしまう可能性があります。混同注意:高次脳機能障害の部位と症状の関係性を正確に理解していないと、他の失認や脳部位と混同しやすいです。
国試ポイント
視覚失認の各病態について、その特徴的な症状と、どのような条件で代償が可能か(あるいは不可能か)を正確に理解しているかが問われています。特に、特定の感覚入力が遮断されても、他の感覚入力で代償できるケースがあることを理解しておくことが重要です。
混同注意
各視覚失認(相貌失認、純粋失読、同時失認、色彩失認、視覚性物体失認)の定義と特徴、そして他の感覚器との関連性を混同しやすい。特に「失認」という言葉から、全ての機能が完全に失われると誤解しやすい点が狙われます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、各失認の概念だけでなく、その失認がどのような脳部位の障害によって引き起こされるか、また、どのような代償手段がありうるか(あるいはありえないか)についても問われる可能性が高いです。
関連知識
視覚失認の分類(Apperceptive agnosiaとAssociative agnosia)、その他の感覚失認(触覚失認、聴覚失認)、高次脳機能障害の局在診断と症状、多感覚統合の概念。