肺塞栓症について誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
肺塞栓症は、主に下肢の深部静脈に形成された血栓が遊離し、肺動脈を閉塞することで発症します。そのため、下肢の手術後は、長期臥床や静脈損傷、血液凝固能亢進などにより深部静脈血栓症(DVT)のリスクが高まり、結果として肺塞栓症の発症頻度も高くなります。一方、上肢の手術後にDVTや肺塞栓症が発症するリスクは、下肢の手術に比べて低いです。したがって、「下肢よりも上肢の手術後に多い」という記述は誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 肥満は、血管内皮機能障害、慢性炎症、血液凝固能亢進などにより、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクを高めることが知られています。VTEは肺塞栓症の主要な原因です。選びやすい理由:一般的な健康リスクとして認識されており、肺塞栓症との関連性も直感的に理解しやすい。混同注意:他の生活習慣病との関連と混同しやすいが、直接的に肺塞栓症のリスク因子である。
- 2. 長期臥床は、下肢深部静脈の血流うっ滞を招き、深部静脈血栓症(DVT)の主要なリスク因子となります。DVTで形成された血栓が剥がれて肺に到達すると肺塞栓症を引き起こします。選びやすい理由:血流の滞りが血栓形成につながるというメカニズムが理解しやすいため、正しい記述として判断されやすい。混同注意:単なる不動ではなく、特に下肢の深部静脈の血流うっ滞が重要であるという点を意識すると良い。
- 3. 肺塞栓症における心電図所見は、S1Q3T3パターンなど特定の変化が見られることもありますが、非特異的な変化(ST-T変化、心拍数増加など)が多いです。特異的な所見がないため、心電図単独での確定診断は困難です。選びやすい理由:心臓に関連する疾患であるため、特異的な所見があると思い込みやすい。しかし、実際に非特異的な変化が多い。混同注意:心筋梗塞のような特異的変化を期待してしまうと誤り。心電図は診断補助であり、確定診断には別の検査が必要であることを理解する。
- 4. 正解。肺塞栓症の原因となる深部静脈血栓症(DVT)は、主に下肢の深部静脈に発生することが多いため、下肢の手術後の方が発症リスクが高いです。上肢の手術後に肺塞栓症が起こる可能性は比較的低いです。正しくは:上肢の手術後よりも、下肢の手術後の方が発症しやすい傾向にあります。選びやすい理由:手術という共通項で、どちらの手術でもリスクがあるという誤解を招く可能性がある。混同注意:手術の種類や部位によるリスクの違いを混同しやすい。血栓形成の主な部位が下肢であることを理解していないと間違えやすい。
- 5. 肺塞栓症の90%以上は、下肢または骨盤の深部静脈にできた血栓が剥がれて肺動脈に流れ着くことで発生します。したがって、深部静脈血栓症(DVT)は肺塞栓症の主要な原因であり、高い確率で合併しています。選びやすい理由:肺塞栓症と深部静脈血栓症が密接に関連していることは、病態生理を理解していれば正しいと判断できる。混同注意:肺塞栓症自体が単独で発生すると誤解しやすいが、ほとんどの場合DVTが先行する。
国試ポイント
肺塞栓症の主要な原因が深部静脈血栓症(DVT)であることを理解しているか、またDVTの好発部位とリスク因子を把握しているかを問う問題です。特に手術部位と肺塞栓症のリスクの関連性を正確に覚えているかがポイントになります。
混同注意
手術の種類や部位が異なっても、手術全般が血栓形成のリスクを高めるという一般的な認識と混同しがちです。しかし、肺塞栓症のほとんどが下肢からの血栓に起因するため、下肢手術の方がリスクが高いという点を明確に区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、肺塞栓症の原因となるDVTが主にどこで発生するか、またどのような状況でDVTのリスクが高まるか(特に手術部位、長期間の不動、悪性腫瘍、経口避妊薬使用、妊娠・出産など)を正確に判断できるかが問われるでしょう。
関連知識
深部静脈血栓症(DVT)のVTEリスク因子(Virchowの三徴:血管内皮損傷、血流うっ滞、血液凝固能亢進)、弾性ストッキングや間欠的空気圧迫装置による予防、早期離床の重要性。DVTの症状(腫脹、疼痛、発赤、熱感など)。肺塞栓症の症状(突然の呼吸困難、胸痛、頻脈、低酸素血症など)。診断方法(CT肺動脈造影、D-ダイマー、下肢静脈エコーなど)。