境界性パーソナリティ障害にみられないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
境界性パーソナリティ障害(BPD)は、感情、対人関係、自己像の不安定さが特徴的な精神障害です。患者さんは見捨てられることへの強い不安から、人との関係を強く求め、孤立を積極的に欲求することはありません。むしろ、見捨てられることへの恐怖から他者に執着し、その一方で激しい感情のぶつかり合いから関係が不安定になりがちです。選択肢2の「人との関わりを避けたいという強い願望」は、むしろ回避性パーソナリティ障害などに見られる特徴であり、BPDには典型的には見られません。
選択肢ごとの解説
- 1. 境界性パーソナリティ障害(BPD)の主要な特徴の一つは、感情の極端な変動、すなわち情動不安定性です。正しくは:これはBPDに頻繁に見られる特徴です。選びやすい理由:一見すると矛盾しているように感じるかもしれませんが、BPDの患者さんは感情の制御が非常に困難です。混同注意:他のパーソナリティ障害の感情表現との違い(例:反社会性パーソナリティ障害の冷淡さ、演技性パーソナリティ障害の誇張された感情表現)
- 2. 正解。BPDの患者さんは、見捨てられ不安が強く、人との関係を強く求めますが、同時に激しい感情のぶつかり合いから関係が不安定になりがちです。孤立を積極的に望むことは稀であり、むしろ見捨てられることへの恐怖から他者に執着する傾向があります。正しくは:BPDでは、むしろ見捨てられ不安から人との関係を強く求めますが、関係が不安定になりがちです。選びやすい理由:人間関係の困難さから、結果的に孤立してしまうケースはありますが、自ら積極的に孤立を欲求するわけではありません。混同注意:回避性パーソナリティ障害や統合失調症スペクトラム障害における孤立志向
- 3. 持続的な空虚感は、BPDの診断基準の一つであり、患者さんが頻繁に訴える中核的な苦痛です。正しくは:これはBPDに頻繁に見られる特徴です。選びやすい理由:空虚感は様々な精神疾患で見られますが、BPDではその持続性と自己同一性の問題に深く結びついています。混同注意:うつ病の抑うつ気分、気分変調症の持続的な気分の落ち込み
- 4. 自己像の混乱や不明瞭さは、BPDの重要な特徴であり、自己同一性の拡散として理解されます。正しくは:これはBPDに頻繁に見られる特徴です.選びやすい理由:青年期に見られる自己同一性確立の悩みと混同しがちですが、BPDではより深刻で持続的です。混同注意:青年期のアイデンティティ危機、統合失調症の自己体験の障害
- 5. 自傷行為(自殺企図を含む)は、BPDの診断基準の一つであり、強い苦痛や感情の不安定さに対応するための手段として頻繁に見られます。正しくは:これはBPDに頻繁に見られる特徴です。選びやすい理由:自傷行為は他の精神疾患でも見られますが、BPDでは感情調節の困難さと関連が強いです。混同注意:うつ病の重症化に伴う自傷行為、薬物乱用などの衝動行為
国試ポイント
パーソナリティ障害の各類型における中核的特徴を正確に理解しているか、特に症状の「程度」や「方向性」の違いを識別できるかが問われる。特定の症状が複数の障害で見られる場合でも、その障害に特有の文脈や動機を区別する能力が重要。
混同注意
境界性パーソナリティ障害の「関係の不安定さ」と、回避性パーソナリティ障害の「孤立への欲求」を混同しやすい。前者は見捨てられ不安が根底にあり関係を求めるが、その関係が不安定になる。後者は批判や拒絶への恐怖から関係を避ける。
次に同じ論点が出たら
今後、他のパーソナリティ障害の典型的症状や、特定の症状が複数の障害で共通して見られる場合の鑑別点(症状の質、重症度、併存症、病前性格など)を問う問題が出題される可能性がある。
関連知識
DSM-5における境界性パーソナリティ障害の診断基準9項目(見捨てられ不安、不安定な対人関係、同一性障害、衝動性、自殺企図や自傷行為、感情の不安定さ、慢性的な空虚感、不適切な怒り、一過性のパラノイア症状や解離症状)。他のパーソナリティ障害(例:回避性、自己愛性、反社会性)の主要な特徴と比較して理解すること。