脳卒中回復期の嚥下障害に対する最も適切な栄養管理はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
経鼻胃管は、比較的簡便に開始できる一時的な栄養管理方法ですが、長期間の使用には患者の不快感、粘膜損傷、自己抜去のリスク、外見上の問題などが伴います。そのため、長期にわたる栄養管理が必要な場合には、胃ろうや腸ろうといった他の栄養ルートの造設が検討されます。この選択肢は、経鼻胃管の適切な使用期間に関する一般的な認識を述べており、最も適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 嚥下障害のある患者に対しては、誤嚥防止のために、水分の粘度を調整するためにとろみ剤を使用することが一般的であり、推奨されます。使用しないのは誤りです。正しくは:水分には、誤嚥を防ぐためにとろみを使用する。選びやすい理由:とろみの使用が過度になると、脱水のリスクが増えたり、患者が嫌がったりすることがあるため、「使用しない」という極端な記述に引っ張られる可能性があります。しかし、適切に使用することで誤嚥リスクを低減できるため、原則として適切に利用されるべきです。混同注意:とろみの使用によって脱水や誤嚥防止効果が低下するケース(例:とろみの種類や濃度が不適切)と、原則的なとろみ剤の役割を混同する可能性があります。
- 2. 胃ろうは主に栄養補給ルートを確保するためのものであり、経口摂取が安全に少量でも可能であれば、嚥下リハビリテーションの一環として行われることがあります。完全に経口摂取を中止するわけではありません。正しくは:胃ろう造設後も、安全性が確保されれば、嚥下リハビリの一環として経口摂取を試みることがある。選びやすい理由:胃ろうを設置するほどの重度な嚥下障害の場合、経口摂取は危険だという認識から、完全に中止されると誤解しやすいです。混同注意:胃ろうが設置された目的(重度嚥下障害による栄養不足解消)と、嚥下リハビリにおける経口摂取の重要性を混同する可能性があります。
- 3. 経鼻胃管を使用しても、胃食道逆流や胃内容物の咽頭への流入、唾液の誤嚥などにより誤嚥のリスクは存在します。特に意識レベルの低下や嘔吐などがある場合はリスクが高まります。正しくは:経鼻胃管による経管栄養であっても、誤嚥のリスクは存在する。選びやすい理由:口からの直接摂取ではないため、誤嚥のリスクが低いと錯覚しやすいです。混同注意:経口摂取に比べて誤嚥のリスクが低いことと、「リスクがない」ことを混同する可能性があります。
- 4. 点滴管理(特に高カロリー輸液など)であっても、患者の病態や活動量に応じた適切な栄養量(カロリー、タンパク質、電解質など)を考慮する必要があります。過剰な投与や不足は合併症につながります。正しくは:点滴管理においても、患者の栄養状態や必要量を考慮し、適切な栄養摂取量を設定する必要がある。選びやすい理由:点滴は医師の指示に基づいて行われるため、詳細な栄養量計算は専門家がやると考え、OTとしては考慮不要だと誤解しやすいです。また、経口摂取のように自分で食べる量を調整するわけではないため、意識が向きにくいです。混同注意:点滴で与えられる栄養は専門家が計算しているから考慮不要、という誤解と、栄養管理全般におけるOTの役割を混同する可能性があります。
- 5. 正解。経鼻胃管は、患者の不快感、鼻腔や食道の損傷、抜去のリスク、外見上の問題などから、一般的に短期的な栄養管理(通常2〜4週間程度)に用いられます。長期的な栄養管理が必要な場合は、胃ろうや腸ろうなど、より安定した栄養ルートが検討されるため、本選択肢は正しいです。
国試ポイント
嚥下障害患者に対する栄養管理において、様々な栄養補給ルートの特徴(適応、メリット、デメリット、使用期間)を理解しているかが問われています。特に、短期と長期での栄養補給ルートの選択基準が重要となります。
混同注意
経鼻胃管と胃ろうの適応期間や、それぞれの誤嚥リスクの程度の違いを混同しやすいです。また、とろみ剤の必要性や、胃ろう設置後の経口摂取の可能性など、嚥下障害に関する基本的な知識が曖昧だと誤った選択肢を選びやすいでしょう。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、各栄養管理法(経口摂取、経鼻胃管、胃ろう、静脈栄養など)の「メリット・デメリット」「適応期間」「主な合併症・リスク」「嚥下リハビリテーションとの関連性」について、より詳細な知識が問われる可能性があります。特に、胃ろうや腸ろうの適応基準や、設置後のADLへの影響、患者・家族への説明なども確認しておくと良いでしょう。
関連知識
嚥下障害の評価方法(VF、VE)、嚥下食の分類、嚥下訓練、栄養ルートの種類(経口、経鼻胃管、胃ろう、腸ろう、中心静脈栄養、末梢静脈栄養)とその適応・合併症、チーム医療におけるOTの役割。