病院で患者の個人情報を取り扱う上で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
医療機関は、個人情報保護法および医療法に基づき、患者の個人情報を適切に管理する義務があります。患者の個人情報に関する疑問や苦情があった場合、それに対応するための専門窓口(医療相談窓口や個人情報保護担当部署など)を設置し、適切に処理することは、患者の権利保護と信頼関係維持のために極めて重要です。この対応は、個人情報保護のための法規とガイドラインに則った適切な行動です。
選択肢ごとの解説
- 1. 患者の診療記録の開示は、原則として患者本人の明確な同意と、定められた正式な手続きを経て行われるべきです。親族からの要求であっても、患者の同意なく即座に開示することは、個人情報保護の観点から不適切です。正しくは:患者本人からの同意書を得た上で、所定の手続きに従い、指定された親族に診療録を開示した。選びやすい理由:親族からの要求は善意に基づくものと捉えられやすく、また状況によっては緊急性が伴うように感じられるため、その場で対応してしまうことが適切だと誤解される可能性があります。混同注意:患者の代理人として親族が情報開示を求める場合と、患者本人の同意がない場合に情報を開示することの区別。
- 2. 正解。医療機関は、患者の個人情報保護に関する疑問や苦情に対応するため、専門の窓口(医療相談窓口など)を設置することが義務付けられています。患者からの申し立てを適切に受け付け、対応することは、個人情報保護のための法規とガイドラインに則った正しい対応です。
- 3. 患者の病状は重要な個人情報であり、本人の同意なしに第三者(見舞い客を含む)に伝えることは、個人情報保護法に違反します。情報開示は、患者本人の意思を最優先し、明確な同意を得る必要があります。正しくは:事前に患者から、見舞い客への病状開示について同意を得ていたため、その範囲内で問い合わせに回答した。選びやすい理由:見舞い客への配慮から、一般的な情報であれば問題ないと感じる可能性があります。また、患者の様子を気遣う気持ちから、簡単な情報提供なら許されると誤解しやすいです。混同注意:状況を考慮した「常識的な範囲」での対応と、個人情報保護法における「厳格な同意」の必要性の区別。
- 4. 患者の個人情報を病院外で発表・公表するには、原則として患者本人からの明確な同意が必須です。病院長の同意だけでは不十分であり、個人情報保護の原則に反します。研究目的など特別な場合でも、個人を特定できないような配慮と倫理委員会の承認などが必要です。正しくは:患者本人から、特定の目的のために個人情報を病院外で発表することについて文書で同意を得た上で、必要最小限の情報を公表した。選びやすい理由:病院長が組織のトップであるため、その承認があれば病院としての正式な手続きを経たと誤解しやすいです。混同注意:病院内の業務上の共有(職務権限内)と、病院外への情報公開の区別。組織内の承認と患者本人の同意の優先順位。
- 5. 学生が患者の個人情報を取り扱う際には、実習開始前または開始時に、患者に対してその旨を明確に説明し、同意を得ることが必要です。実習終了後に事後的に説明するだけでは、適切なインフォームドコンセント(説明と同意)の原則に反します。正しくは:臨床実習の開始前に、学生が患者の個人情報を取り扱う可能性があること、その目的と範囲について患者に十分に説明し、同意を得た。選びやすい理由:説明したこと自体が誠実な対応と捉えられ、適切な情報開示と混同しやすいです。しかし、重要なのは「いつ」「どのような形」で同意を得たかです。混同注意:治療や介入に対するインフォームドコンセントと、個人情報の取り扱いに関するインフォームドコンセント。事後報告と事前の同意の重要性の違い。
国試ポイント
医療現場における個人情報保護の基本原則(同意の必要性、適正な利用・管理、苦情対応など)が問われています。特に、患者の同意なしでの情報開示の禁止、および適切な手続きの遵守が重要です。
混同注意
患者のプライバシー権と個人情報保護法における個人情報保護の具体的な対応、および医療従事者の守秘義務と、正当な理由に基づく情報共有の範囲。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、以下の点を重視して判断する。1. 患者本人の『明確な同意』があるか(特に情報開示の場合)。2. 情報の『利用目的』が明確に伝達され、目的外利用でないか。3. 『所定の正式な手続き』が踏まれているか。4. 『専門の窓口や担当部署』が適切に対応しているか。5. 『最低限必要な情報』のみを開示しているか(情報の最小化)。
関連知識
個人情報保護法、医療法、医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン、インフォームドコンセントの原則、診療情報の提供に関する指針。