厚生省筋萎縮症研究班の機能障害度分類ステージ7の生活指導で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
厚生省筋萎縮症研究班による機能障害度分類のステージ7は、全身の筋力低下が著しく、人工呼吸器を装着している状態であり、ほとんどのADLに全面的な介助を要します。このような状況下でも、患者さんのQOLを維持し、意思疎通を図るためには、わずかに残された身体機能(眼球運動、わずかな指の動き、眉の動き、呼気など)を利用した外部スイッチによるパソコン操作(意思伝達装置や環境制御装置)が極めて重要かつ適切な生活指導となります。他の選択肢は、ステージ7の重度な機能障害には不適切であり、より軽度の障害を想定した内容です。
選択肢ごとの解説
- 1. ステージ7では全身の筋力低下が著しく、片手での洗髪動作も極めて困難であり、通常は全面的な介助が必要です。正しくは:全介助で洗髪を行う、あるいは介護者に洗髪を依頼する。選びやすい理由:比較的軽度な障害(例えば片麻痺など)であれば片手での動作は一般的であるため、介助具や工夫によって自立を促す考えと混同しやすい。混同注意:片麻痺や上肢の機能の一部が残存している場合。
- 2. ステージ7は全身の重度な筋力低下を特徴とし、自走式車椅子を操作する十分な筋力は残されていません。電動車椅子であっても、一般的なジョイスティック操作も困難なことが多いです。正しくは:電動車椅子(特殊なスイッチコントロールや音声認識など)での移動を検討するか、介助者が操作する車椅子を用いる。選びやすい理由:車椅子を使用する段階であることは正しいですが、「自走式」という点が誤りです。ステージ5や6であれば電動車椅子(ジョイスティック操作)は選択肢になり得るため、その段階と混同しやすいです。混同注意:ステージ5(歩行不能、車椅子生活)やステージ6(ほとんどのADLに介助が必要だが、電動車椅子操作は可能な場合もある)
- 3. ソックスエイドは、股関節の可動域制限や体幹・上肢の筋力低下で足元に手が届かない場合に用いますが、ステージ7では上肢の筋力低下が著しいため、ソックスエイドを操作する筋力も残されていない可能性が高いです。正しくは:介助者が靴下を履かせる。選びやすい理由:自助具の使用はADL自立支援の基本であるため、自助具の導入自体は前向きな介入に見えやすい。混同注意:下肢や体幹の機能に障害があり、上肢の機能が比較的保たれている場合。
- 4. かぶりシャツは頭からかぶって腕を通す動作が必要であり、上肢や体幹に重度な筋力低下があるステージ7の患者にとっては着脱が困難です。着脱が容易な前開きの衣類が適切です。正しくは:上着は前開きの衣類を用いる。選びやすい理由:比較的重度の身体障害がある人でも、衣類の工夫は重要という点で関連性があるように見える。混同注意:着脱しやすい衣類全般の選択(例えば、ゆったりした服や伸縮性のある服)と混同しやすいですが、「かぶりシャツ」は着脱が難しい代表例です。
- 5. 正解。ステージ7では全身の重度な麻痺があるため、一般的な操作は困難ですが、わずかに残された身体部位(例:眼球運動、わずかな指の動き、眉の動き、呼気など)を使ったスイッチ操作は、環境制御装置や意思伝達装置(パソコン)を操作し、コミュニケーションやQOL維持を可能にする重要な手段です。
国試ポイント
ALSの機能障害度分類、特に各ステージの身体機能レベルと、それに合わせた適切な生活指導や自助具・補助具の選択に関する知識が問われています。終末期(ステージ7)におけるコミュニケーション手段や環境制御の重要性を理解しているかがポイントです。
混同注意
ALSの機能障害度分類の各ステージにおける具体的なADLレベルと、それに適した自助具や介助方法の区別が曖昧だと混同しやすいです。特に、自立歩行不能なステージ5以降の各段階での微妙な機能残存の違いを把握できていないと、誤った選択をしてしまいます。
次に同じ論点が出たら
もし次に同じ論点が出た場合、ALSの他のステージ(例:ステージ3、5)における適切な生活指導や、他の神経難病(例:パーキンソン病、脊髄小脳変性症)における機能障害度分類とそれに伴うADL支援について、同様に適切なものを選択できるかを確認します。また、人工呼吸器装着患者における意思疎通の手段とQOL向上への介入についても注意深く見ます。
関連知識
ALS機能障害度分類(厚生省筋萎縮症研究班)、ALSの症状進行とADLの変化、自助具や環境制御装置の適応、意思伝達装置の種類と利用方法、人工呼吸器装着患者への作業療法介入。