高次脳機能障害の作業療法で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・4番
解説
選択肢1は、間隔伸張法が記憶の定着を促す有効な方法であるため正しいです。選択肢4は、高次脳機能障害における社会的行動の異常は、周囲の理解が患者の社会適応に不可欠であるため正しいです。選択肢2のPQRST法は読解戦略であり遂行機能障害への直接的介入ではありません。選択肢3は、注意障害に対しては刺激を制限した環境が初期には適切です。選択肢5のAPTは注意障害へのアプローチであり、半側空間無視にはより特化した訓練が必要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。間隔伸張法は、新しい情報を記憶するために、情報の提示間隔を徐々に長くしていく記憶訓練法であり、記憶障害に対する介入として適切です。特に、障害が重度の場合や新しい学習が必要な場合に有効とされています。
- 2. PQRST法は主に読解力を向上させるための学習ストラテジーであり、文章を効率的に理解・記憶するためのものです。遂行機能障害は計画立案、問題解決、目標設定などの障害を指し、PQRST法は直接的な遂行機能の改善には繋がりません。正しくは:遂行機能障害に対しては、Goal Management Training (GMT) や問題解決ストラテジー訓練、環境調整などを行います。選びやすい理由:高次脳機能障害の訓練法の一つとして名前を知っていると、具体的な適用を誤解して選んでしまう可能性があります。混同注意:PQRST法と遂行機能障害に対する他の認知リハビリテーション技法(例:GMT、CO-OPなど)との混同。
- 3. 注意障害を持つ患者さんにとって、刺激の多い環境は集中力をさらに阻害し、混乱や疲労を招く可能性があります。基本的には、最初は刺激の少ない環境で訓練を行い、徐々に刺激量を増やしていくアプローチが適切です。正しくは:注意障害に対しては、最初は刺激の少ない環境を設定し、集中力を高める訓練を行います。また、Attention Process Training (APT) などを用いた具体的な注意機能の訓練も有効です。選びやすい理由:リハビリが進んで刺激への適応を目指す段階と混同してしまう可能性がありますが、初期段階では不適切です。混同注意:初期段階での環境調整と、より高度な注意分散や注意転換の訓練を目的とした刺激の導入との混同。
- 4. 正解。高次脳機能障害による社会的行動の異常は、周囲の誤解や不適切な対応を招きやすいため、家族や介護者、職場関係者などが症状を正しく理解し、適切な対応ができるように支援することが重要です。これは環境調整の一環であり、患者さんの社会参加を促進するために不可欠な介入です。選びやすい理由:患者さん自身への直接的な介入ではないため、リハビリテーションとして選びにくいと感じるかもしれませんが、高次脳機能障害では環境や周囲の理解が非常に重要です。
- 5. APTは主に注意障害に対する訓練プログラムであり、選択的注意、持続的注意、注意の転換などを改善することを目的としています。半側空間無視は空間的注意の偏りや半側からの情報処理の障害であり、APTが直接的な主要治療法ではありません。正しくは:半側空間無視に対しては、プリズム適応療法、視覚探索訓練、視覚走査訓練、患側への注意喚起、ミラーセラピーなどが用いられます。選びやすい理由:APTが高次脳機能障害の認知リハビリテーションで重要な訓練法であるため、どの障害に適用されるかを曖昧に理解していると選んでしまう可能性があります。混同注意:APTが注意障害全般に適用されるため、半側空間無視における空間性注意の障害と混同しやすいですが、半側空間無視にはより特化したアプローチが必要です。
国試ポイント
高次脳機能障害における各症状(記憶障害、遂行機能障害、注意障害、社会的行動異常、半側空間無視)に対する具体的な作業療法介入の知識が問われています。特に、どのリハビリテーション技法がどの障害に適用されるか、また環境設定の原則を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
高次脳機能障害のさまざまな症状と、それに対応する多くのリハビリテーション技法について、名称と適応障害を混同しやすいです。特に、抽象的な訓練法や複数の障害に関与する可能性のある技法は注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後、高次脳機能障害の治療法に関する問題が出題された場合、個別の症状(失語、失行、失認など)に対する具体的な介入方法、および各アプローチの理論的背景や適用条件を詳細に確認する必要があります。また、生活期や地域移行期における支援の視点も重要になります。
関連知識
記憶障害:リハーサル、符号化、チャンキング、エラーレスラーニング、方略指導。遂行機能障害:Goal Management Training (GMT)、問題解決訓練、CO-OP。注意障害:Attention Process Training (APT)、PCAT。半側空間無視:プリズム適応療法、視覚探索訓練。社会的行動異常:SST(社会生活技能訓練)、環境調整、家族指導。