慢性閉塞性肺疾患の患者に対する指導として正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者は、呼吸困難により活動量が低下し、全身の筋力、特に下肢筋力が著しく低下しやすい傾向があります。下肢の運動を習慣的に行うことは、筋力維持・向上、運動耐容能の改善、呼吸困難感の軽減、さらには日常生活活動(ADL)の自立度維持に不可欠であり、呼吸リハビリテーションの中核をなす指導内容です。
選択肢ごとの解説
- 1. COPD患者は呼吸に多くのエネルギーを消費するため、栄養状態の維持が重要です。低脂肪食に限定すると、必要なエネルギーや栄養素が不足し、栄養状態が悪化する可能性があります。特に、COPDでは低体重や筋肉量減少が予後悪化につながるため、高エネルギー・高タンパク食が推奨されることが多いです。正しくは:高エネルギー・高タンパク質の食事を意識する。選びやすい理由:一般的な生活習慣病予防の観点から、低脂肪食が良いというイメージがあるため、誤って選びやすいかもしれません。混同注意:一般的な健康維持のための食事指導と、特定の疾患(COPD)における病態に応じた栄養管理の原則を混同しやすいです。
- 2. 正解。COPD患者は呼吸困難により身体活動が低下しやすく、その結果として下肢筋力や全身持久力が低下します。下肢の運動を継続的に行うことで、筋力維持・向上、呼吸困難感の軽減、運動耐容能の改善、日常生活活動(ADL)の維持・向上に繋がり、QOLの改善が期待できます。これは呼吸リハビリテーションの重要な要素です。正しくは:この選択肢は正しいです。
- 3. 両手を使った洗髪動作は、両腕を挙上した姿勢を維持することになり、呼吸補助筋への負担が大きくなり、呼吸困難感を増悪させる可能性があります。COPD患者では、片手での洗髪や座って行う、介助を受けるなど、呼吸困難を軽減する工夫が必要です。正しくは:洗髪動作は片手で行う、もしくは座って行う、または介助を受けるなど、呼吸負担を軽減する方法で行う。選びやすい理由:具体的な動作指導として一見適切に見えるかもしれませんが、COPD患者の身体的負担を考慮すると不適切です。混同注意:健康な人の動作と、呼吸器疾患患者の身体的負担を考慮した動作指導とを混同しやすいです。
- 4. COPDの最大の原因は喫煙であり、疾患の進行を抑制し、症状の悪化を防ぐためには、発症後も即座に禁煙することが最も重要です。禁煙は、COPDの進行を遅らせ、呼吸機能の低下を緩やかにする唯一のエビデンスのある介入です。正しくは:発症後も直ちに禁煙する必要がある。選びやすい理由:「もう発症してしまったから手遅れだ」という誤った認識から、禁煙の必要がないと考える人がいるかもしれません。混同注意:喫煙がCOPDの原因であることと、喫煙がCOPDの進行にも悪影響を与えることの理解を混同しやすいです。発症後も継続的なダメージがあることを理解する必要があります。
- 5. COPD患者は呼吸機能が低下しているため、インフルエンザや肺炎などの呼吸器感染症に罹患すると、重症化しやすく、呼吸状態が急激に悪化するリスクが高いです。そのため、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンは、COPD患者にとって重症化予防のために強く推奨されています。正しくは:インフルエンザワクチンは積極的に推奨する。選びやすい理由:予防接種一般に対する漠然とした不信感や、副作用への懸念から推奨しないと考えてしまうかもしれません。混同注意:ワクチン接種の一般的な意義と、COPD患者における感染症予防の重要性を混同しやすいです。
国試ポイント
COPD患者に対する生活指導やリハビリテーションの基本的な知識が問われています。特に、呼吸困難や全身性影響を考慮した具体的な介入方法の理解が重要です。禁煙の重要性、感染症予防、栄養管理、呼吸困難時の工夫なども頻出です。
混同注意
COPD患者の病態生理(呼吸困難、全身性炎症、低栄養、筋力低下)と、それに対する個別化された介入を、一般的な健康指導や他の疾患の指導と混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、COPDの全身性影響(筋力低下、栄養障害、骨粗鬆症など)と、それに対するリハビリテーションや生活指導の内容(運動療法、栄養指導、活動調整)が問われる可能性が高いです。また、急性増悪時の対応や、在宅酸素療法(HOT)使用時の注意点なども確認が必要です。
関連知識
呼吸リハビリテーションの構成要素(運動療法、呼吸訓練、栄養指導、患者教育、禁煙指導、薬物療法)、COPDの病期分類と症状管理、ADL指導のポイント、呼吸困難時の対処法。