排便機構について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
直腸に便が到達し、直腸壁が伸展・加圧されると、その刺激は骨盤神経の求心路を介して仙髄の排便中枢に伝達されます。これが排便反射の引き金となり、副交感神経の作用で直腸平滑筋の収縮と内肛門括約筋の弛緩が起こり、排便が促進されます。したがって、直腸壁の加圧が骨盤神経を刺激するという記述は正しいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 排便時には腹圧を高めるため、横隔膜は収縮します。横隔膜が弛緩すると胸腔が広がり、腹圧は低下します。正しくは:排便時には横隔膜が収縮します。選びやすい理由:排便はリラックスした状態で行われるイメージがあるため、横隔膜の弛緩が正しいと感じるかもしれませんが、排便には腹圧上昇が不可欠です。混同注意:安静呼吸時と排便時の横隔膜の動き。排便は努力性の動作であり、横隔膜は積極的に収縮して腹腔内容を下方に押し下げる役割を果たします。
- 2. 下殿神経は主に大殿筋の運動を支配する神経であり、排便の直接的なメカニズムには関与しません。排便に関わる主要な神経は骨盤神経(副交感神経)、下腹神経(交感神経)、陰部神経(体性神経)です。正しくは:排便に関与する主な神経は骨盤神経、下腹神経、陰部神経などです。選びやすい理由:「殿部」という言葉から排泄と関連があるように感じるかもしれませんが、具体的な機能が異なります。混同注意:排泄機能に関わる神経(骨盤神経、下腹神経、陰部神経)と、下肢の運動を支配する神経(下殿神経)。
- 3. 排便時には、直腸平滑筋は収縮しますが、内肛門括約筋は弛緩します。これにより便の排出が促進されます。内肛門括約筋は不随意筋で、通常は便が漏れないように収縮していますが、排便反射によって弛緩します。正しくは:直腸平滑筋は収縮し、内肛門括約筋は弛緩します。選びやすい理由:排便時に直腸が収縮することは正しいので、そのまま内肛門括約筋も収縮すると考えやすいかもしれません。しかし、排出を促すためには弛緩が必要です。混同注意:直腸の収縮と肛門括約筋の弛緩という、相反するが協調的な動き。内肛門括約筋と外肛門括約筋の区別(内肛門括約筋は不随意、外肛門括約筋は随意)。
- 4. 正解。直腸に便が入り壁が伸展・加圧されると、その刺激は骨盤神経(副交感神経)の求心性線維を介して仙髄の排便中枢へ伝わり、排便反射が誘発されます。これは排便のメカニズムにおける重要なステップです。正しくは:正しいため修正不要です。混同注意:排便に関わる複数の神経(交感神経、副交感神経、体性神経)の役割と作用。骨盤神経は副交感神経として排便を促進する働きがあります。
- 5. アドレナリンは交感神経系の神経伝達物質であり、消化管の運動を抑制する働きがあります。直腸の収縮を促すのは副交感神経系の神経伝達物質であるアセチルコリンです。正しくは:直腸の収縮を促す神経伝達物質はアセチルコリンです。選びやすい理由:アドレナリンが「活動」や「反応」に関連する物質であるため、直腸の「収縮」という活動と結びつけてしまいやすいかもしれませんが、消化器系では抑制的に働きます。混同注意:交感神経系(アドレナリン)と副交感神経系(アセチルコリン)の作用の違い。消化管の運動促進にはアセチルコリンが、抑制にはアドレナリンが関与します。
国試ポイント
排便機構に関する神経支配と各器官の協調運動について、正確な知識が問われています。特に、交感神経と副交感神経の具体的な作用、不随意筋と随意筋の制御、および関与する神経伝達物質の違いを理解しているかが重要です。
混同注意
排便に関わる複数の神経(骨盤神経、下腹神経、陰部神経)の機能、交感神経と副交感神経の具体的な役割(促進か抑制か)、内肛門括約筋と外肛門括約筋の随意性・不随意性の違い、およびそれぞれの弛緩・収縮のタイミング。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の問題が出題された場合、排便機構における各神経(骨盤神経、下腹神経、陰部神経)の具体的な役割と、内・外肛門括約筋の不随意・随意性を中心に確認すること。また、神経伝達物質とそれが作用する受容体の関係性も把握しておくことが重要です。
関連知識
排便反射のメカニズム、Valsalva法(腹圧上昇)の生理学、消化管の神経支配(筋層間神経叢・粘膜下神経叢)、自律神経系(交感神経・副交感神経)の全身の臓器への作用、主な神経伝達物質(アセチルコリン、ノルアドレナリン)の作用部位と効果。