20歳の男性。頸髄完全損傷。手指屈曲拘縮以外の関節可動域制限はない。食事の際のフォークの把持と口元へのリーチの場面(別冊No. 3)を別に示す。この動作が獲得できる頸髄損傷患者のZancolliの四肢麻痺上肢機能分類の最上位レベルはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
写真上部では、手関節背屈により手指が受動的に屈曲し、フォークを保持する十把一絡げ把持が認められます。写真下部では、この把持を用いてフォークを口元へ運ぶ動作が可能であり、これはZancolli分類C6Aの機能レベルに相当します。
選択肢ごとの解説
- 1. C5Aは肘関節屈曲(上腕二頭筋、上腕筋)と肩関節外転・屈曲(三角筋)は可能だが、手関節の自動背屈は不可能であるため、図のような十把一絡げ把持はできない。このため、フォークを保持することは困難。正しくは:C5Aでは手関節の自動背屈がないため、十把一絡げ把持は不可能。フォークを握って口元へ運ぶ動作はできない。選びやすい理由:C5レベルの損傷で食事動作が困難な患者が多いが、Zancolli分類の詳細を把握していないと誤って選択してしまう可能性がある。混同注意:C6Aとの違いである手関節の自動背屈機能。C5Aは手関節の自動背屈ができない。
- 2. 正解。本症例は手関節の自動背屈が可能であり(図の上部でフォーク保持できていることから示唆される)、これにより手指を屈曲させてフォークを保持する十把一絡げ把持が実現している。この残存機能はZancolli分類C6Aに合致する。20歳の男性が頸髄完全損傷を負いながらも、手指の屈曲拘縮があるものの、手関節背屈と肘屈曲・肩関節運動を利用して食事動作を自立している状況は、C6Aの特徴と一致する。選びやすい理由:Zancolli分類における最も代表的なレベルの一つであり、手関節背屈による十把一絡げ把持という特徴的な機能がこのレベルであるため、適切な選択肢として選びやすい。混同注意:C5AやC6B1。C5Aは手関節背屈がなく、C6B1は自動的な手指のMP関節屈曲が可能。
- 3. C6B2は手関節の自動背屈、MP関節の自動屈曲、及びIP関節の自動伸展が可能であり、手指の伸展が可能なレベルである。問題文では「手指の屈曲拘縮を除き」とあるため、手指の自動伸展が困難であることが示唆され、C6B2とは異なる。正しくは:C6B2はMP関節屈曲とIP関節伸展が可能であり、手指を広げることができる。問題の症例では手指の屈曲拘縮があり、手指の伸展は困難であるため、この分類には当てはまらない。選びやすい理由:C6レベルの細分類であるため、詳細な機能を正確に覚えていないと混同しやすい。混同注意:C6A。C6B2では手指の伸展も可能であり、十把一絡げ把持だけでなく、より細かな把持が可能となる点でC6Aと異なる。
- 4. C7Aは手関節の自動背屈、手指MP関節の自動屈曲、IP関節の自動伸展、肘関節の自動伸展が可能である。問題の症例は肘関節の伸展可否に関する明確な記述はないが、手指の屈曲拘縮があることから、手指の伸展が可能なC7Aとは異なる可能性が高い。正しくは:C7Aは手関節背屈に加え、肘関節の伸展も可能となる。また手指の伸展も可能となるため、問題の「手指の屈曲拘縮」がある状態とは異なる。選びやすい理由:Zancolli分類が頸髄レベルと密接に関連しているため、C6の次のレベルであるC7Aも考慮されやすい。混同注意:C6B2。C7Aは肘関節伸展が可能になる点でC6B2よりも高機能。
- 5. C8Bは手指の自動屈曲・伸展および内転・外転が可能であり、完全な手指機能を有する。問題文の「手指の屈曲拘縮を除き」という記述から、手指の完全な自動伸展は困難であることが示唆され、C8Bに該当しない。正しくは:C8Bは手指の全方向への自動運動が可能であり、ほぼ健常に近い上肢機能を持つ。問題の症例における手指の屈曲拘縮は、このレベルとは矛盾する。選びやすい理由:選択肢の並びから、より高位の機能レベルを想定してしまう可能性がある。混同注意:C7Aや健常レベル。C8Bは手指の巧緻運動がほぼ可能な状態。
国試ポイント
Zancolliの四肢麻痺上肢機能分類における、各分類レベルで可能な上肢機能と残存筋について理解しているか。
混同注意
Zancolli分類と国際脊髄損傷学会(ASIA)分類は異なる目的で使用される。Zancolli分類は上肢機能の再建手術適応を評価するのに対し、ASIA分類は脊髄損傷の重症度と神経学的レベルを評価する。
次に同じ論点が出たら
次回の類題では、上肢の残存筋群や具体的な動作(例:手関節の自動背屈可否、肘関節の伸展可否、指の自動伸展可否など)の記述から、Zancolli分類の該当レベルを判断する。
関連知識
Zancolli分類は上肢の残存機能に基づいて、主に再建手術の適応を検討するために用いられる。各レベルでどの筋が残存しているかを把握することが重要。