正しい日時や場所などの情報を繰り返し提示する認知症患者への介入法はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
リアリティオリエンテーションは、日時や場所、人名などの現実の情報を、言葉や環境(カレンダー、時計など)を用いて繰り返し提示し、認知症患者の見当識を維持・改善することを目的とした介入法です。問題文の内容と最も合致します。
選択肢ごとの解説
- 1. 作業回想法は、過去の経験や思い出を語り合うことで自己肯定感を高めたり、認知機能の活性化を図る手法であり、正しい日時や場所を繰り返し提示する目的とは異なります。正しくは:作業回想法は、過去の体験や思い出を振り返り、現在の自分と結びつけることで、認知症患者の精神的な安定や自己肯定感の向上を図る介入です。選びやすい理由:認知症患者に対する非薬物療法の一つであるため、一見正しい選択肢のように見えるかもしれません。混同注意:回想法はあくまで過去の記憶に焦点を当てるため、現在の現実認識を修正する目的のリアリティオリエンテーションとは異なります。
- 2. ユマニチュードは、特に認知症の方へのケアにおいて、『見る・話す・触れる・立つ』の4つの柱に基づいて、尊厳を尊重し、安心感を提供するコミュニケーション技法です。正しい日時や場所を繰り返し教える直接的な方法ではありません。正しくは:ユマニチュードは、相手の尊厳を尊重し、穏やかな人間関係を築くための多角的なケア技法であり、特に『見る、話す、触れる、立つ』の4つの基本動作を通じて、ケアされる人の能力を引き出し、安心感を与えることを目指します。選びやすい理由:これも認知症ケアにおける有名なアプローチであるため、正しいものと誤認しやすいです。混同注意:患者の尊厳を重視するケア技法全般と混同しやすいですが、リアリティオリエンテーションのように具体的な情報の修正に特化したものではありません。
- 3. ルーティン化療法は、毎日決まった行動パターンや習慣を確立することで、認知症患者に安心感や予測可能性を提供し、混乱を減らすことを目的とします。しかし、これは正しい日時や場所の情報を繰り返し教える直接的な介入ではありません。正しくは:ルーティン化療法は、日常生活の活動を一定の順序や時間で行うことを習慣づけることで、認知症患者が状況を理解しやすくし、不安を軽減するアプローチです。選びやすい理由:認知症患者が混乱しやすい状況を改善するという点で関連性があるため、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:生活習慣の安定と、現実への意識付けを混同しやすいです。ルーティンは「いつものこと」を作るのに対し、リアリティオリエンテーションは「今のこと」を教えます。
- 4. バリデーション療法は、認知症患者の感情や行動の背景にある未解決の感情を受け止め、共感することで、その人の尊厳を保ち、安心感を与えるコミュニケーション技法です。現実を修正しようとはせず、その人の感情世界を『有効なもの』として受け入れます。正しくは:バリデーション療法は、認知症患者の感情を否定せず、その人の現実認識や感情を尊重し、共感的に受け入れることで、安心感を提供し、孤立感を減らすことを目指します。現実を修正するのではなく、患者の感情を肯定することが中心です。選びやすい理由:認知症ケアの重要なアプローチであり、患者中心のケアとして知られているため、正しい選択肢と誤解されやすいです。混同注意:リアリティオリエンテーションとバリデーション療法は対極的なアプローチとされがちです。リアリティオリエンテーションが現実への適応を促すのに対し、バリデーション療法は患者の主観的現実を尊重します。
- 5. 正解。リアリティオリエンテーションは、認知症患者に対し、日付、時刻、場所、名前などの現実に関する情報を繰り返し、様々な方法で提示することで、見当識障害の改善や現実への適応を促す介入法です。選びやすい理由:この選択肢が直接的に問題文の記述内容と合致します。
国試ポイント
認知症患者に対する様々な非薬物療法やケア技法について、それぞれの名称と目的・介入内容を正確に理解しているかが問われています。特に、似たような目的を持つ療法と混同しないことが重要です。
混同注意
バリデーション療法と混同されやすいです。リアリティオリエンテーションは現実の情報を提示し、修正を促すのに対し、バリデーション療法は患者の主観的な感情や現実を受け入れることを重視します。回想法やユマニチュードも認知症ケアの技法として並べられやすく、それぞれの特徴を理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず問題文が『現実の情報を修正・提示すること』に焦点を当てているかを確認します。その上で、各選択肢がどのような目的でどのような介入を行うものかを正確に照合します。特にリアリティオリエンテーションと対照的なアプローチ(バリデーションなど)との違いを明確に区別することが求められます。
関連知識
認知症患者への非薬物療法として、回想法、園芸療法、音楽療法、運動療法、認知リハビリテーション、作業療法(個別・グループ)、生活環境調整などが挙げられます。それぞれの具体的な介入内容と目的を把握することが大切です。