作業療法における広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)への対応で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
自閉スペクトラム症の方々は、見通しが立たない状況で不安を感じやすい特性があります。そのため、作業に取りかかる前に、その内容や手順を具体的に提示することで、安心して活動に取り組むことができ、混乱やパニックを予防することができます。これは、構造化された環境を提供するという支援の基本原則にも合致しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 自閉スペクトラム症の方への対応では、大きな声での指示はパニックや混乱を誘発しやすいため不適切です。冷静で落ち着いた対応が求められます。正しくは:攻撃的な行動が見られた際には、冷静な声で具体的に指示を出すか、環境調整によって誘因を取り除くことを検討します。選びやすい理由:緊急時や危険を伴う場面では、簡潔で強い指示が必要だと感じるかもしれません。混同注意:通常のしつけや、聴覚情報処理が問題ないケースへの対応と混同しやすいです。
- 2. 正解。自閉スペクトラム症の方は、先の見通しが立たないことに対して不安を感じやすい特性があります。事前に作業内容や手順を伝えることで、安心して活動に取り組むことができます。正しくは:正答のため修正不要。選びやすい理由:事前の情報提示は、誰に対しても有効なコミュニケーションであるため、選びやすいです。混同注意:他の発達障害や一般的な支援技法と混同せず、自閉スペクトラム症の特性(見通しの必要性)に合致している点で適切です。
- 3. 自閉スペクトラム症の方のこだわりは、安心感や自己調整の手段となっていることがあります。無理にやめさせようとすると、強いストレスやパニックを引き起こす可能性があります。正しくは:こだわりを完全にやめさせるのではなく、その行動が日常生活に支障をきたさない範囲で許容したり、代替となる行動を見つけたり、時間や場所を区切って行えるように支援することを検討します。選びやすい理由:社会適応のためには、ある程度の行動変容が必要だと考えるかもしれませんが、個人の特性への配慮が重要です。混同注意:単なる習慣やわがままと混同し、修正の対象と捉えがちです。こだわりが持つ意味を理解することが重要です。
- 4. 自閉スペクトラム症の方の中には、自由度が高すぎると何をすれば良いか分からなくなり、混乱や不安を感じる方が多くいます。具体的な選択肢や構造化された活動の方が、集中して取り組める場合が多いです。正しくは:作業活動は、構造化されており、選択肢が限定的であるか、明確な手順が示されているものを用いることを検討します。選びやすい理由:自由な選択は、個人の主体性を尊重する上で良いことだと一般的には考えられます。混同注意:創造性や自己決定を促す一般的な支援方法と混同しやすいですが、自閉スペクトラム症の特性として、不確実性への不安が強い点を考慮する必要があります。
- 5. 自閉スペクトラム症の方の中には、言語理解に困難があったり、聴覚情報処理が苦手な方が多くいます。言語情報だけでなく、視覚情報(写真、絵カード、文字など)を併用したり、短く具体的な言葉を使う方が理解しやすいです。正しくは:説明には、簡潔な言葉に加えて、視覚的な情報(写真、絵カード、文字など)を積極的に併用します。選びやすい理由:詳細な説明は丁寧であると一般的に考えられます。また、言語能力が高い自閉スペクトラム症の方もいるため、全てのケースに当てはまらないと考えるかもしれません。混同注意:言語理解に問題のない方への説明方法や、情報量の多い方が親切であるという一般的な考えと混同しやすいです。
国試ポイント
自閉スペクトラム症の特性を理解し、その特性に基づいた適切な支援方法を選択できるかが問われています。特に、見通しの必要性、感覚過敏、コミュニケーションの特性、こだわりの意味などを把握しているかが重要です。
混同注意
他の発達障害(例:ADHD)の特性や、定型発達児への対応と混同してしまいがちです。自閉スペクトラム症に特有の感覚特性や認知特性を深く理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、自閉スペクトラム症の中核的な特性(社会性・コミュニケーションの困難、限定された興味・反復行動)と、それによって生じる生活上の困難に対する具体的な作業療法士としての介入策が適切に結びついているかを確認する必要があります。特に、見通し、視覚的支援、環境調整、感覚統合への配慮がポイントとなります。
関連知識
TEACCHプログラム、構造化、ソーシャルストーリー、感覚統合療法、ポジティブ行動支援、発達障害者支援法、合理的配慮。