患者が自己の心理的矛盾や課題に気づくことを促す面接技法はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
直面化(confrontation)は、患者の言葉と行動、または複数の発言内容における矛盾や、セラピストが知覚する患者の言動と現実との乖離などを、明確に患者に伝えることで、患者自身がその矛盾や課題に気づき、それらについて深く考察することを促す面接技法です。これは、患者の自己理解を深め、行動変容を促すために重要な介入となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 共感は、相手の感情や経験を理解し、それを伝えることで心理的なつながりを深める技法です。自己矛盾への気づきを直接促すものではありません。正しくは:共感は、相手の感情や視点を理解し、その理解を相手に伝えることで信頼関係を築く技法です。選びやすい理由:共感も治療関係において非常に重要であり、患者の自己理解を間接的に促進するため、混同しやすいです。混同注意:傾聴や反映といった受容的な面接技法と混同しやすいです。
- 2. 傾聴は、相手の話に注意深く耳を傾け、積極的に理解しようとする基本的な態度や技法です。患者が自己矛盾に気づくための直接的な働きかけではありません。正しくは:傾聴は、相手の言葉だけでなく非言語的な表現にも注意を払い、全身で相手を受け止め、理解しようと努める基本的な態度・技法です。選びやすい理由:傾聴も患者の自己開示を促し、結果的に自己理解につながることがあるため、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:共感や受容といった基本的なカウンセリング態度と混同しやすいです。
- 3. 反映は、患者が述べた言葉や感情をカウンセラーが別の言葉で伝え返すことで、患者自身の語りを整理し、客観的に見つめ直すことを促す技法です。自己矛盾そのものを指摘して気づきを促す「直面化」とは異なります。正しくは:反映は、患者が口にした言葉や表出した感情を、セラピストが別の表現で返すことで、患者が自身の発言や感情を客観的に認識し、深く考えるきっかけを提供する技法です。選びやすい理由:反映も患者の自己理解を深める目的で使用されるため、直面化と目的が似ていると感じやすいです。混同注意:要約や明確化といった、患者の語りを整理する技法と混同しやすいです。
- 4. 正解。直面化は、患者が言動や感情の間に見せる矛盾、あるいは患者の自己認識と現実との乖離などについて、セラピストが直接的に指摘し、患者がそれらに向き合い、気づきを促す面接技法です。これにより、患者は自身の心理的矛盾や課題を認識し、その解決へと向かうきっかけを得ます。選びやすい理由:患者にとって耳の痛い内容を伝える可能性があるため、一見ネガティブな印象を受けやすいですが、治療上重要な技法です。混同注意:患者を非難したり、決めつけたりする行為と混同されがちですが、直面化はあくまで患者の成長を促すための建設的な働きかけです。
- 5. 開かれた質問(オープンクエスチョン)は、患者が自由に思考し、具体的に自身の状況や感情を語ることを促す質問形式です。これは患者の自己開示を促しますが、特定の矛盾点に焦点を当てて気づきを促す技法ではありません。正しくは:開かれた質問は、「はい」か「いいえ」で答えられないような質問形式で、患者が自身の考えや感情、経験を自由に、詳しく話すことを促します。選びやすい理由:開かれた質問は患者の自己探求を促すため、間接的に自己矛盾に気づくきっかけになることもあり、正しいように感じやすいです。混同注意:閉じられた質問(クローズドクエスチョン)と対比される基本的な質問技法と混同しやすいです。
国試ポイント
面接技法の種類とそれぞれの目的・効果を正確に理解しているかが問われています。特に、単に受容的な態度だけでなく、患者の深層にある問題に働きかける具体的な技法の識別が重要です。
混同注意
「反映」や「開かれた質問」も患者の自己理解を促す技法ですが、これらは患者自身が語った内容を整理したり、より多く語ることを促したりするものであり、矛盾点を直接的に指摘して気づきを促す「直面化」とは作用機序が異なります。
次に同じ論点が出たら
この問題で問われた直面化だけでなく、他の面接技法についても、それぞれの具体的な定義、目的、適用場面、および効果を区別して説明できるかを確認すると良いでしょう。特に、各技法が患者のどのような変化を意図しているのかに注目してください。
関連知識
ロジャースの来談者中心療法における核となる三原則(共感、無条件の肯定的関心、一致/自己一致)や、その他の面接技法(支持、情報提供、解釈など)についても理解しておくことが望ましいです。