長期臥床後、離床開始時に注意すべき血液検査所見はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
長期臥床は、下肢の深部静脈における血流停滞を引き起こし、深部静脈血栓症(DVT)を発症するリスクを高めます。臥床状態から離床を開始し、体を動かし始めると、下肢に形成された血栓が剥がれて血流に乗って肺に達し、肺血栓塞栓症を引き起こす危険性があります。肺血栓塞栓症は突然の呼吸困難や胸痛、循環不全を招き、生命に関わる重篤な合併症です。Dダイマーは、体内で血栓が作られてフィブリンが分解される過程で生成される物質であり、DVTや肺血栓塞栓症のスクリーニングや診断、重症度評価に用いられるため、離床開始前に確認することでリスクを把握し、適切な予防策や治療介入につなげることができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。長期臥床によって血流が滞り、深部静脈血栓症(DVT)のリスクが高まります。Dダイマーは体内で血栓が形成され、その後分解された際に生じる物質であり、DVTや肺血栓塞栓症の存在をスクリーニングするための重要なマーカーです。離床開始時にDダイマーが高値である場合、血栓が移動して肺塞栓を起こす危険性があるため、厳重な注意が必要です。
- 2. 血糖値は糖尿病の診断や管理に重要な指標ですが、長期臥床後の離床開始時という状況において、DVTや肺血栓塞栓症のような緊急性の高い急性合併症リスクを直接的に示すものではありません。正しくは:食事摂取やインスリンなどの影響を受けやすく、糖尿病患者や代謝異常の評価に用いる項目です。選びやすい理由:全身の代謝状態を把握する基本的な検査項目であるため、重要だと感じやすいかもしれません。混同注意:一般的な健康状態の指標や糖尿病患者の管理指標と混同しやすいです。
- 3. 白血球数は感染症や炎症の有無を示す指標です。長期臥床自体が白血球数の異常を直接引き起こし、離床開始時の急性リスクとなることは稀です。感染症を疑う場合にはもちろん重要ですが、離床開始時の特異的なリスクとしてはDVTに劣ります。正しくは:感染症や炎症反応の有無を評価する際に確認する項目です。選びやすい理由:長期臥床者にとって感染症(例:肺炎)も重要な合併症であるため、注意すべき項目だと誤解しやすいです。混同注意:感染症の指標と混同しやすいです。
- 4. アルブミンは主に栄養状態や肝機能、全身の炎症状態を反映するタンパク質です。長期臥床により栄養状態が悪化することはありますが、離床開始時に急性かつ緊急に生命を脅かすリスクを直接示す指標ではありません。正しくは:慢性的な栄養状態や肝臓の機能、炎症の程度を評価する際に用いる項目です。選びやすい理由:長期臥床により栄養状態が悪化しやすいことから、関連性があると考えやすいです。混同注意:栄養状態や慢性的な全身状態の指標と混同しやすいです。
- 5. クレアチニンは腎臓の機能を示す指標です。長期臥床が腎機能に影響を与える可能性はありますが、離床開始時という特定の状況で、肺血栓塞栓症のような急性期かつ緊急性の高いリスクを直接的に示す項目ではありません。正しくは:腎機能障害の有無や程度を評価する際に用いる項目です。選びやすい理由:全身管理において腎機能も重要な要素であるため、重要だと感じやすいかもしれません。混同注意:腎機能の指標と混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、長期臥床に伴う合併症とそのリスク管理、特に離床開始時に生命に直結する可能性のある急性期合併症(深部静脈血栓症・肺血栓塞栓症)に対する知識、およびその検査マーカーに関する理解を問うものです。作業療法士として患者の安全を確保するために、基本的な病態生理と関連検査値の知識が求められます。
混同注意
一般的な全身状態を示す血液検査項目(血糖値、白血球数、アルブミン、クレアチニン)と、特定の重篤な病態(血栓症)を特異的に示すマーカーとの区別が曖昧だと迷いやすいでしょう。特に、長期臥床に関連する様々な合併症(栄養不良、感染症、腎機能低下など)も存在するため、どの検査項目が『離床開始時』の『注意すべき』急性リスクに最も関連するかを判断する能力が試されます。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題される場合、DVTや肺血栓塞栓症以外の長期臥床に伴う合併症(例:起立性低血圧、褥瘡、骨粗鬆症、肺炎など)に対するリスク管理や、それらに関連する身体所見や検査項目、さらには具体的な理学療法・作業療法上の注意点や対応策について問われる可能性があります。また、Dダイマーの具体的な基準値や、異常値が見られた場合の医師への報告や対応プロセスについても理解しておくことが求められるかもしれません。
関連知識
深部静脈血栓症(DVT)の症状(下肢の腫脹、疼痛、熱感、発赤)、予防法(早期離床、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫装置、抗凝固療法)、肺血栓塞栓症の症状(突然の呼吸困難、胸痛、頻脈、ショック、失神)。また、リハビリテーション実施におけるリスク管理の重要性や、他職種連携による情報共有の必要性についても理解が深まります。