60歳の女性。関節リウマチ。SteinbrockerのステージⅡ、クラス2。この患者の日常生活場面(別冊No. 3)を別に示す。関節保護の指導をすべき動作はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
雑巾を絞る動作は、手関節の尺側偏位や強い握力を要するため、関節リウマチ患者の手関節や手指関節に非常に大きな負担をかけ、変形や炎症の悪化を招く可能性があります。これは関節保護の原則に反するため、代替手段の検討や動作方法の修正といった指導が不可欠です。
選択肢ごとの解説
- 1. この動作では、手関節や手指に過度な負担はかかっていません。膝や股関節への負担は考えられますが、関節リウマチの関節保護指導で特に強調される上肢への負担軽減の観点からは、問題とは言えません。正しくは:この図では、関節への不適切な負荷は見られないため、特別な指導は不要です。選びやすい理由:一般的な動作であるため、特に問題があるとは考えにくいです。混同注意:他の動作と比べて、どの関節にどのような負担がかかるか判断が難しい場合があるかもしれません。
- 2. この動作では、歯ブラシの持ち方や使用方法に特に問題は見られず、手関節や手指への不必要なストレスはかかっていないと考えられます。一般的な歯磨き動作であり、関節保護の観点から指導が必要なレベルではありません。正しくは:この図では、関節への不適切な負荷は見られないため、特別な指導は不要です。選びやすい理由:日常的な動作であり、特に問題があるとは考えにくいです。混同注意:手関節や手指を使用する動作ではあるが、関節に負担をかけるような不自然な姿勢ではないため、判断を誤ることは少ないでしょう。
- 3. この動作では、カップの持ち方は比較的安定しており、手関節や手指に過度な負担がかかっているようには見えません。カップの把持に無理な力が加わっているとは言えず、関節保護の指導が必須とはなりません。正しくは:この図では、関節への不適切な負荷は見られないため、特別な指導は不要です。選びやすい理由:軽いものであれば、問題なく持てると判断されることが多いです。混同注意:把持動作全般に関節負担がかかると思われがちですが、この図の持ち方自体は関節に優しい姿勢です。
- 4. この動作では、膝や股関節の屈曲が伴いますが、手関節や手指に直接的な過度な負担はかかっていません。関節リウマチの患者にとって下肢関節への負担は考慮されますが、設問が関節保護の指導を求める上肢の動作としては適切ではありません。正しくは:この図では、手関節や手指への不適切な負荷は見られないため、特別な指導は不要です。選びやすい理由:しゃがむ動作は下肢の関節に負担がかかるため、問題があるように見えるかもしれません。混同注意:下肢関節の保護と上肢関節の保護を混同しやすいかもしれません。
- 5. 正解。雑巾を絞る動作は、手関節の尺側偏位を伴いながら握力を使って強く絞ることで、手関節や手指の関節に強いストレスをかけます。特に尺側偏位は関節リウマチによる変形を助長しやすく、関節保護の観点から避けるべき動作です。これは、手関節や手指に負担をかける代表的な動作として指導が必要です。正しくは:この動作は、手関節や手指に大きな負担をかけるため、代替手段(例:絞り器の利用、片手で押さえる、雑巾を使わない)を指導するか、両手で絞る際も手関節の尺側偏位を避ける工夫が必要です。選びやすい理由:日常的に行われる動作であり、意識せずに負担をかけていることが多いため、見過ごしやすい可能性があります。混同注意:他の手を使う動作(カップを持つ、歯磨きなど)と異なり、より強い力と特定の関節運動方向が組み合わさる点が重要です。
国試ポイント
関節リウマチ患者に対する関節保護指導の具体的な内容を問う問題です。特に、日常生活動作(ADL)の中で、どのような動作が関節に負担をかけやすいかを理解しているか、そしてその負担を軽減するための指導ポイントを把握しているかが問われます。上肢、特に手関節・手指の負担を伴う動作に焦点を当てています。
混同注意
関節リウマチの患者は様々な関節に症状が出ますが、この問題では上肢、特に手関節・手指の保護がテーマとなっています。下肢への負担を伴う動作(例:靴を履く)と上肢への負担を混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の問題が出た場合、関節リウマチ患者のADLにおける関節への負担がどこにかかり、どのような不利益が生じるか、そしてどのような動作変更や自助具の活用が有効かを具体的に判断できるかが重要となります。特に、手の機能に影響する動作に注目し、関節の変形方向(例:尺側偏位)を助長するかどうかの視点を持つことが求められます。
関連知識
関節保護の原則(大きな関節を使う、てこの原理を利用しない、尺側偏位を避ける、無理な力を入れない、休憩を挟むなど)、自助具の活用、疾患活動性に応じた生活指導、疾患教育。