熱傷のリハビリテーションで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
熱傷後の瘢痕組織は短縮しやすく、拘縮を予防・改善するためには、損傷した皮膚や結合組織をゆっくりと、しかし長時間にわたって伸ばし続ける持続伸長運動が最も効果的です。これにより、コラーゲン線維の配列を整え、組織の柔軟性を保つことができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。熱傷後の瘢痕拘縮予防や改善には、皮膚や結合組織を伸長させる持続伸長運動が非常に重要である。短時間の強いストレッチよりも、長時間かけてゆっくりと伸ばす持続的な負荷が効果的とされている。
- 2. 熱傷瘢痕部への圧迫療法は、肥厚性瘢痕やケロイドの形成を抑制し、成熟を促進するために極めて重要である。適切な圧迫は、瘢痕の隆起を抑え、軟らかくする効果がある。正しくは:熱傷瘢痕部への圧迫療法は、肥厚性瘢痕の予防と治療に不可欠である。選びやすい理由:瘢痕への刺激を避けるべきという誤解から選んでしまう可能性がある。しかし、適切な圧迫は治療の一環である。混同注意:瘢痕への過度な摩擦や刺激は避けるべきだが、圧迫は治療目的であることとの混同。
- 3. 熱傷後の拘縮予防には、スプリントや装具が積極的に用いられる。これらは適切な関節肢位を保持し、瘢痕の短縮を防ぎ、持続的な伸長を促す目的がある。正しくは:熱傷による拘縮予防には、スプリントや装具が積極的に使用される。選びやすい理由:装具は固定のイメージが強く、運動を阻害すると誤解する可能性がある。混同注意:装具が拘縮を助長するという誤ったイメージや、急性期と慢性期での装具の役割の違いの混同。
- 4. パラフィン浴は熱伝導率が低く深部加温に優れるが、通常、治療に適した温度は約50~55℃である。60℃は非常に高温であり、皮膚に火傷のリスクがあるため不適切である。正しくは:慢性期のパラフィン浴は、通常50~55℃程度の温度で行う。選びやすい理由:温熱療法がリハビリに有効であるという知識から、高温が良いと誤解する可能性がある。混同注意:温熱療法の有効性と、安全な適正温度の知識の混同。
- 5. 会陰部熱傷の急性期においては、股関節の屈曲・外転・外旋位といった拘縮しやすい肢位を避けるポジショニングが重要である。外旋位は股関節拘縮を助長するため、むしろ中立位や内旋位を保持すべきである。正しくは:会陰部熱傷の急性期では、股関節の拘縮予防のため、下肢を内旋位に近いポジショニングを行う。選びやすい理由:開放的な姿勢が治療に良いと誤解する可能性がある。また、具体的なポジショニングに関する知識の曖昧さから選んでしまうことも。混同注意:開放的な姿勢が良いという一般的なイメージと、拘縮予防のための専門的なポジショニング知識の混同。
国試ポイント
熱傷のリハビリテーションにおける急性期から慢性期にかけての基本的な治療原則と、各療法の具体的な適用・禁忌に関する知識が問われています。特に、拘縮予防のための運動療法、装具療法、圧迫療法、および温熱療法の適正温度がポイントとなります。
混同注意
熱傷治療において、刺激を避けるべき時期と、積極的な介入が必要な時期の区別。特に瘢痕への圧迫や装具の使用については、逆効果と誤解しやすい点で注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後この論点が出題された場合、熱傷の治療期間ごとのリハビリテーション目標と具体的な介入方法、特に拘縮予防・改善のための多角的アプローチ(運動、装具、圧迫、物理療法)の知識が問われると予想されます。
関連知識
熱傷の病態生理(瘢痕形成機序)、急性期・亜急性期・慢性期の各ステージにおけるリハビリテーションの目標と内容、ポジショニングの原則、スプリント・装具の種類と目的、圧迫療法のメカニズムと具体的な方法、物理療法(温熱療法など)の適応と禁忌。