大規模災害時の避難所における作業療法士の災害支援で誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
大規模災害時の避難所における作業療法士の役割は、避難者の生活機能の維持・向上、生活ニーズの把握、環境調整、廃用症候群の予防、精神的なサポート、多職種連携が中心となります。負傷や疾病の重症度を評価し、治療の優先順位を決定する行為(トリアージ)は、医師や看護師の専門業務であり、作業療法士の業務範囲外です。したがって、選択肢5が不適切な支援であり、正答となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 災害時は避難者の生活環境が激変するため、心身の健康を維持し、早期に生活を再建するために、食事、排泄、清潔、睡眠などの基本的な生活ニーズや、福祉用具の必要性、精神的なサポートなど、個別の困りごとを把握することが作業療法士の重要な役割であるため、これは適切な支援です。
- 2. 避難所の運営は多職種・多機関連携が不可欠であり、作業療法士が得た避難者の状況やニーズ、提供した支援内容などを避難所責任者や他の支援者と共有することで、避難所全体の支援計画に反映させたり、より円滑で包括的な支援を提供したりすることが可能になるため、重要な連携活動であり、適切な支援です。
- 3. 障害を持つ避難者は、避難所環境でさらに困難を抱えやすい対象です。作業療法士は、彼らが安全で安心できる生活を送れるよう、バリアフリー化、福祉用具の調整、介助方法の指導、日中の活動支援など、個別のニーズに応じた環境評価と具体的な支援策を検討・実施する専門性を持っているため、適切な支援です。
- 4. 避難所生活では活動量が低下しやすく、特に高齢者や基礎疾患を持つ避難者において廃用症候群(筋力低下、関節拘縮、認知機能低下など)のリスクが高まります。作業療法士は、簡単な体操やレクリエーション活動を通じて、身体機能の維持・向上を促し、心身の健康を保つための予防的介入を行うことができるため、適切な支援です。
- 5. 正解。負傷や疾病の重症度を評価し、治療の緊急性や優先順位を決定する行為(トリアージ)は、医師や看護師(特に災害医療チームのメンバー)の専門的な役割であり、作業療法士の業務範囲外です。作業療法士は、重症度判断後の対象者に対し、その後の生活機能回復支援や避難所でのQOL向上に貢献します。正しくは:重症度判定後の対象者に対し、生活機能回復に向けた支援計画を立案・実施する。選びやすい理由:災害時という非常事態においては、医療行為に近い判断も求められると誤解しやすい。また、作業療法士も対象者の状態を評価するため、その延長で医療的判断も行うと錯覚しやすい。混同注意:対象者の生活上のニーズやリスクの判断(作業療法士の役割)と、医療行為としての傷病の重症度判断(医師・看護師の役割)を混同しやすい。
国試ポイント
災害リハビリテーションにおける作業療法士の役割について、その専門性と他職種との職域の違いを理解しているかが問われる問題です。特に、生命に関わる緊急性の判断や直接的な医療行為が作業療法士の業務範囲外であることを把握している必要があります。
混同注意
避難者の「生活上の緊急度・優先度」を判断し支援すること(作業療法士の役割)と、医療としての「傷病の重症度・治療優先度」を判断し医療介入すること(医師・看護師の役割)が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出題された際には、作業療法士が「直接的に医療行為を行うか」「生命に関わる緊急判断を行うか」を問う選択肢に特に注意し、作業療法士が「生活」「活動」「参加」「環境」「QOL」といったキーワードにどのように関わるかを確認することで、適切な判断ができるでしょう。
関連知識
災害リハビリテーションの段階(急性期、亜急性期、慢性期)ごとの作業療法士の役割、災害医療チーム(DMAT、JMATなど)における各専門職の役割、避難所における心身の健康問題(廃用症候群、エコノミークラス症候群、PTSDなど)、個別支援計画と集団支援活動の両方の視点。