21歳の女性。先天性の右上肢欠損。上肢の写真(別冊No. 2)を別に示す。起こり得る2次性の障害で最もみられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
先天性上肢欠損がある場合、欠損側の荷重や機能的な使用が制限されるため、身体のアライメントが非対称となり、反対側の肩甲帯の挙上や脊柱の側弯が発生しやすいです。特に若年期から非対称な姿勢が続くことで、脊柱の側弯症が最も多く見られる二次的な障害となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 幻肢痛は、切断された手足がまだそこにあるかのように感じる痛みであり、主に外傷性の切断後に多く見られる症状です。先天性欠損では、脳内に欠損部位の身体表象が形成されにくいため、幻肢痛の発生は非常に稀です。正しくは:先天性欠損では、幻肢痛はほとんど生じない。外傷性切断後に見られる。選びやすい理由:切断という言葉から連想されやすいが、先天性欠損と外傷性切断ではメカニズムが異なる。混同注意:外傷性切断後の幻肢痛
- 2. 神経腫は、切断された神経の末端が修復過程で異常に増殖して形成されるもので、主に外傷性切断や外科的切断後に発生します。先天性欠損では、神経が正常に形成されないか、あるいは欠損部位の神経末端が存在しないため、神経腫の発生は極めて稀です。正しくは:先天性欠損では、神経腫はほとんど生じない。外傷性切断後に見られる。選びやすい理由:欠損部位に関連する痛みやしこりのイメージから選びやすいが、発生機序が異なる。混同注意:外傷性切断後の神経腫
- 3. 正解。21歳の女性で先天性右上肢欠損がある場合、身体の重心が非対称となり、欠損側をかばうような姿勢や動作を継続することで、脊柱に側弯が生じやすくなります。特に成長期からの非対称な荷重や姿勢は脊柱の変形を誘発し、最も多く見られる二次障害の一つです。選びやすい理由:身体のアライメント変化と長期的な影響を結びつけて考えられるため、妥当な選択肢として判断できる。混同注意:他の切断合併症
- 4. 断端浮腫は、主に外傷性切断後に残存する断端において、血液やリンパ液の循環障害により発生するものです。先天性欠損の場合、断端と呼べる部位が存在しないか、あっても構造が異なるため、通常の断端浮腫が発生することは通常ありません。正しくは:先天性欠損では、断端浮腫は通常発生しない。外傷性切断後に見られる。選びやすい理由:切断端という言葉から想像しやすいが、先天性欠損とはメカニズムが異なる。混同注意:外傷性切断後の断端浮腫
- 5. 骨断端の過成長は、主に小児期に骨の切断を受けた場合に、残存する骨が成長を続け、切断面から突出する現象です。先天性欠損の場合、骨の形成自体が不完全であるため、切断された骨の断端が存在しないか、あるいはその成長の仕方が通常と異なり、典型的な骨断端の過成長は稀です。正しくは:先天性欠損では、骨断端の過成長はほとんど生じない。小児の外傷性切断後に見られる。選びやすい理由:成長期の子どもに見られる骨の問題として連想されやすいが、先天性欠損の機序とは異なる。混同注意:小児の外傷性切断後の骨断端の過成長
国試ポイント
先天性上肢欠損における代償動作とそれに伴う二次的な身体アライメントの変化を理解すること。
混同注意
先天性欠損と外傷性切断における二次的な障害の違い、特に成長期における影響を混同しないようにする。神経腫や骨断端の過成長は外傷性切断で起こりやすいが、先天性欠損では稀である。
次に同じ論点が出たら
同様の症例が出た場合、まず欠損の部位と長さ、そして年齢を確認し、身体アライメントへの影響から生じる二次的な障害を判断する。特に成長期の子どもでは、脊柱側弯症のリスクが高い。
関連知識
乳幼児期から装具療法(義手)やリハビリテーションを早期に開始することで、非対称性の進行を予防し、二次的な障害の発生リスクを低減できる。また、脊柱側弯症の早期発見のためには定期的な診察が重要となる。