障害と就労支援の機器との組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
記憶障害を持つ人は、新しい情報や指示を覚えることや、集中して業務を遂行することが困難な場合があります。音声録音再生装置は、口頭での指示、会議内容、電話の内容、または作業手順などを正確に記録し、必要に応じて繰り返し確認できるため、記憶の補助として非常に有効な就労支援機器です。これにより、情報の抜け漏れを防ぎ、業務遂行能力の維持・向上に貢献します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。記憶障害を持つ人は、指示や情報を覚え続けることが困難な場合が多いです。音声録音再生装置は、口頭での指示や会議内容、重要な情報を記録し、必要な時に繰り返し確認できるため、記憶の補助として非常に有効な就労支援機器となります。これにより、情報の抜け漏れを防ぎ、業務遂行能力の維持・向上に繋がります。
- 2. 磁気誘導ループシステムは、補聴器や人工内耳を使用している聴覚障害者が、周囲の騒音に邪魔されずに直接音声を聞くためのシステムです。主に講演会場や窓口などで利用され、視覚障害者の移動や情報取得を支援するものではありません。正しくは:視覚障害には、画面読み上げソフト、点字ディスプレイ、音声案内機器などが適切です。選びやすい理由:「ループ」という言葉から、特定の場所で方向を誘導する、あるいは情報を「伝える」仕組みと漠然と捉え、何らかの障害支援機器と誤解する可能性があります。混同注意:聴覚障害者支援機器と混同しやすいです。
- 3. 四肢麻痺とは、両手足に麻痺がある状態を指し、多くの場合、手や指を使って文字を書く(筆談する)ことが困難です。筆談支援ツールは、主に発話が困難な聴覚障害者や発語障害者、または一時的に声が出せない人がコミュニケーションを取るために用いるもので、手が使えることが前提となります。正しくは:四肢麻痺の場合、視線入力装置、音声入力装置、スイッチ入力による意思伝達装置などが適切です。選びやすい理由:「支援機器」という言葉に引きずられ、コミュニケーション支援の一環としてどんな障害にも何らかの形で役立つかのように錯覚しやすいです。混同注意:発語障害や重度の聴覚障害におけるコミュニケーション支援機器と混同しやすいです。
- 4. 音声メールソフトウェアは、音声を録音・送信し、受信者がその音声を聞くことで内容を把握するものです。聴覚障害者は音声を聴き取ることが困難であるため、この種のソフトウェアは就労支援として機能しません。正しくは:聴覚障害には、音声認識による文字化ソフト、手話通訳サービス、筆談アプリ、振動による通知機能などが適切です。選びやすい理由:「メールソフト」というキーワードから、情報伝達のツールであるため、何らかの形で障害支援に繋がるかのように誤解しやすいです。混同注意:音声認識(文字化)ソフトウェアや、動画メール(手話など)と混同しやすいです。
- 5. 活字文章読み上げデバイスは、印刷された文字をスキャンして音声で読み上げることで、視覚障害者が文字情報を得るための機器です。両上肢切断は、手や腕の機能障害であり、視覚には通常問題がないため、この機器は直接的な就労支援にはなりません。正しくは:両上肢切断の場合、義手や各種入力インターフェース(足や口による操作)、環境制御装置などが適切です。選びやすい理由:「支援機器」という言葉に引きずられ、何らかの障害には役立つと誤解しやすいです。また、一般的な「読書」のイメージから、あらゆる身体障害者が読書に困難があるという誤った連想をする可能性があります。混同注意:視覚障害者向けの読書支援機器と混同しやすいです。
国試ポイント
各障害の特性を正確に理解し、その特性に合致した就労支援機器や福祉用具の選択ができるかを問う問題です。個々の機器がどのような機能を持つのか、そしてどの障害を持つ人に最も適しているのかを正確に把握していることが重要です。特に、異なる障害に対応する機器の知識の混同を誘う選択肢が多い点に注意が必要です。
混同注意
異なる障害に対する支援機器の目的や対象が混同されやすいです。例えば、聴覚障害と視覚障害、上肢機能障害と感覚器障害など、一見関係なさそうに見える障害への対応機器が入れ替わって提示されることで、誤答を誘う構造となっています。各機器の機能と対象障害をセットで覚えることが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、まず設問で問われている「障害の特性」を明確に把握します(例:視覚、聴覚、運動、認知など)。次に、提示された各「支援機器」がどのような機能を提供し、その機能が把握した障害特性をどのように補うのかを具体的に考えます。一つの機器が複数の障害に役立つ可能性もありますが、設問の組み合わせが「最も適切か」を基準に判断することが重要です。
関連知識
記憶障害への他の支援機器として、メモアプリ、リマインダー機能付きスケジュール管理ツール、視覚的な手がかり(チェックリストなど)があります。また、他の障害に対する支援機器には、視覚障害には点字ディスプレイや画面読み上げソフト、聴覚障害には音声認識文字化ソフトや手話通訳システム、上肢機能障害には義手や音声・視線入力装置などがあります。