訓練開始時に熱感があり、体温は38.5 ℃であった。胸部を聴診したところ右下肺野に水泡音が聞かれた。この患者の胸部エックス線写真(別冊No. 4)を別に示す。最も考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
胸部X線写真で右下肺野に広範囲にわたる浸潤影が認められ、炎症性病変を示唆しています。問題文の「熱感」「体温38.5℃」「右下肺野で水泡音」という身体所見と合わせて、感染性の炎症が肺葉単位で広がっている状態、すなわち大葉性肺炎の典型的な所見と診断できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 気管支喘息は、気道の慢性炎症と可逆性の気道狭窄を特徴とする疾患であり、胸部X線写真で大葉性の浸潤影を呈することはありません。発作時には喘鳴が主たる聴診所見となります。正しくは:気管支喘息のX線写真では、一般的に肺野の異常陰影は認められず、過膨張を示すことがあります。聴診では特徴的な喘鳴が聴取されます。選びやすい理由:呼吸器疾患の一つであるため、知識が曖昧だと選択肢として検討してしまう可能性があります。混同注意:肺炎などの感染症に伴う気管支痙攣や喘息の合併症と混同する可能性がありますが、純粋な喘息では発熱や大葉性の浸潤影は通常見られません。
- 2. 正解。右下肺野の浸潤影が肺葉全体に及んでいるように見え、これは大葉性肺炎に特徴的なX線所見です。患者の熱感、発熱、水泡音といった臨床症状とも合致します。選びやすい理由:特になし。正答です。
- 3. 特発性肺線維症は、間質性肺炎の一種であり、通常は慢性経過をたどり、胸部X線写真では両側下肺野優位の網状影や蜂巣肺を呈します。急性発熱や大葉性の浸潤影とは異なります。正しくは:特発性肺線維症は間質性肺炎であり、胸部X線写真では両側下肺野優位の網状影や蜂巣肺を呈します。選びやすい理由:肺に異常陰影がある点では共通しますが、画像所見のパターンが大きく異なります。慢性的な呼吸困難感が主訴となることが多いです。混同注意:急性の炎症性疾患である肺炎と、慢性の進行性疾患である肺線維症を混同しやすい可能性があります。
- 4. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、肺の慢性的な炎症により気流閉塞をきたす疾患で、胸部X線写真では肺の過膨張、横隔膜低位、心陰影の狭小化などが見られますが、急性期の浸潤影は通常見られません。正しくは:COPDのX線写真では、肺の過膨張や横隔膜低位が特徴的であり、急性期の浸潤影は直接の所見ではありません。ただし、COPD患者は肺炎を合併しやすいです。選びやすい理由:喫煙歴がある患者などではCOPDも鑑別に入るため、安易に選択してしまう可能性があります。しかし、本症例の画像所見はCOPDの典型的所見ではありません。混同注意:COPD患者が肺炎を合併した場合と、純粋なCOPDの画像所見を混同する可能性があります。本症例は急性感染症の症状と画像所見を呈しています。
- 5. びまん性汎細気管支炎は、呼吸細気管支とその周囲に慢性炎症が生じる疾患で、胸部X線写真ではびまん性の小粒状影や気管支拡張像が見られます。大葉性の浸潤影とは異なります。正しくは:びまん性汎細気管支炎は、胸部X線写真ではびまん性の小粒状影や気管支拡張像を呈します。選びやすい理由:呼吸器疾患であり、びまん性の病変がある点で一見似ているように感じられるかもしれませんが、画像所見のパターンが異なります。混同注意:間質性肺炎やサルコイドーシスなど、びまん性の肺病変を呈する他の疾患と混同しやすい可能性があります。しかし、びまん性汎細気管支炎は急性発熱や大葉性浸潤影を主徴とはしません。
国試ポイント
肺炎の身体所見、聴診所見、胸部X線写真所見を総合的に判断する能力が問われています。特に大葉性肺炎のX線所見の特徴を理解していることが重要です。
混同注意
気管支肺炎は小葉中心性の病変でX線写真では斑状影を呈することが多く、大葉性肺炎のような肺葉単位の広範な浸潤影とは異なります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合は、まず患者の全身症状(発熱など)、呼吸器症状(咳、痰)、聴診所見、そして最も重要な胸部X線写真における肺野の浸潤影の性状(分布、パターン)を総合的に評価して判断します。
関連知識
肺炎球菌性肺炎は大葉性肺炎の主要な原因菌であり、典型的な大葉性肺炎の経過をたどることが多いです。X線写真ではシルエットサインやair bronchogram(気管支透亮像)が観察されることもあります。