アテトーゼ型脳性麻痺児の食事の様子を図に示す。スプーンを口に近づけると図のような姿勢になってしまう。この児に出現している原始反射はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
アテトーゼ型脳性麻痺児に見られる特定の姿勢は、対称性緊張性頸反射(STNR)の残存によって説明できます。STNRが残存している場合、頸部を屈曲させると上肢も屈曲し、下肢は伸展する傾向があります。食事の際、頭部を前に傾ける(屈曲)と、それに伴って上肢も屈曲し、スプーンが口に届きにくくなったり、体が丸まるような姿勢が誘発されたりします。これは食事動作の大きな阻害要因となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 探索反射は、口唇周囲への刺激に対して刺激源の方向へ頭部を向けて口を開く反射であり、食事動作中の特異的な姿勢変化とは直接関連しません。正しくは:探索反射は口唇への刺激によって生じるもので、頭部の特定の姿勢を誘発する反射ではありません。選びやすい理由:食事に関連する反射であるため、一見選択肢としてあり得るように思えるかもしれません。混同注意:他の口腔周囲の反射(吸啜反射など)と混同する可能性があります。
- 2. Galant反射は、乳児の体幹を腹臥位で保持し、脊柱傍を上から下に刺激すると刺激側へ体幹を側屈させる反射です。食事中の上肢操作に伴う姿勢変化とは関係がありません。正しくは:Galant反射は体幹への刺激による側屈反応であり、頸部や上肢の動きとは関連が薄いです。選びやすい理由:原始反射の名前を知っていると、選択肢に挙がることで迷う可能性があります。混同注意:特定の体部位への刺激で誘発される原始反射全般と混同する可能性があります。
- 3. 交差伸展反射は、仰臥位で片方の下肢を伸展させたまま足底を刺激すると、対側の下肢が股関節と膝関節で屈曲し、その後伸展する反射です。食事中の上肢の動きと頸部の反応には直接関係ありません。正しくは:交差伸展反射は下肢への刺激によって生じる反射であり、頸部や上肢の動きとは異なります。選びやすい理由:反射という言葉から、何らかの連動した動きを想像させることがあります。混同注意:他の下肢に関連する原始反射(歩行反射など)と混同する可能性があります。
- 4. 手の把握反射は、手のひら(手掌)に触れる刺激に対して指を曲げて握り込む反射です。スプーンを口に近づけた際の頸部や体幹の姿勢変化とは関連がありません。正しくは:手の把握反射は手指の屈曲反応であり、頸部や体幹の姿勢には直接影響しません。選びやすい理由:食事中にスプーンを握る動作を連想させるため、誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:足底を刺激した際に生じる足の把握反射と混同する可能性があります。
- 5. 正解。対称性緊張性頸反射(STNR)は、頸部が伸展すると上肢も伸展し、下肢が屈曲する、あるいは頸部が屈曲すると上肢も屈曲し、下肢が伸展するという原始反射です。アテトーゼ型脳性麻痺児の場合、この反射が残存していると、スプーンを口元に近づけるために頭部を屈曲させようとすると上肢も同時に屈曲するため、かえってスプーンが口から遠ざかるような姿勢(画像のような猫背姿勢)が誘発されることがあります。これは典型的なSTNRの残存による食事困難の症状です。混同注意:非対称性緊張性頸反射(ATNR)と混同しやすいですが、ATNRは頭部が左右どちらかに回旋した際に顔を向けた側の四肢が伸展し、反対側の四肢が屈曲する反射であり、問題文の図のような対称的な姿勢変化とは異なります。
国試ポイント
脳性麻痺の病型とそれに伴う原始反射の残存、およびそれが日常生活動作(ADL)に与える影響を理解しているかが問われています。特に、画像から反射を読み取る能力が必要です。
混同注意
非対称性緊張性頸反射(ATNR)と対称性緊張性頸反射(STNR)の区別が重要です。ATNRは頭部回旋による左右非対称な四肢の動き、STNRは頭部屈曲・伸展による左右対称な四肢の動きに関連します。また、その他の原始反射の誘発方法と反応も正確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、まず『画像に示された姿勢や動きが、頭部と四肢のどのような連動パターンを示しているか』を正確に把握し、『それがどの原始反射の定義に合致するか』を判断します。特に、対称性か非対称性か、屈曲か伸展か、頸部の動きと四肢の動きの関係性に着目します。
関連知識
脳性麻痺の病型(アテトーゼ型、痙直型、失調型など)、各病型の主な特徴、残存しやすい原始反射、それらが摂食・嚥下やポジショニング、ADLに与える影響について学習することが重要です。特に摂食・嚥下障害と姿勢の関係は頻出です。