疾患と治療の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
尿毒症性脳症は腎不全による毒素蓄積が原因であり、人工透析で毒素を除去することが直接的な治療となります。また、ペラグラはビタミンB3(ナイアシン)欠乏症であり、ニコチン酸(ナイアシン)の補充が治療となります。これら二つの組み合わせが疾患とその治療として正当です。
選択肢ごとの解説
- 1. 肝性脳症では、血中の芳香族アミノ酸濃度が高まることで偽性神経伝達物質が生成され、脳症を悪化させる可能性があります。そのため、芳香族アミノ酸は制限されるか、分岐鎖アミノ酸(BCAA)の補充が行われるのが一般的であり、芳香族アミノ酸そのものが治療薬として用いられることはありません。正しくは:肝性脳症 → 分岐鎖アミノ酸(BCAA)補充、または「芳香族アミノ酸制限」選びやすい理由:アミノ酸代謝が関与する疾患であるため、何らかのアミノ酸が治療に関連すると誤解しやすいです。混同注意:栄養療法として用いられる分岐鎖アミノ酸(BCAA)の補充と、芳香族アミノ酸そのものが治療に用いられることと混同しやすいです。
- 2. 神経梅毒は、細菌の一種である梅毒トレポネーマによって引き起こされる感染症です。したがって、治療の第一選択薬は細菌を殺す作用を持つペニシリンであり、ステロイドは主な治療薬ではありません。ステロイドは補助的に炎症を抑える目的で用いられることはありますが、根本的な治療にはなりません。正しくは:神経梅毒 → ペニシリン選びやすい理由:中枢神経系の炎症性疾患においてステロイドがよく使用されるため、神経梅毒の炎症反応に対して有効であると勘違いしやすいです。混同注意:多発性硬化症や自己免疫性脳炎など、他の神経系の炎症性疾患に対するステロイド治療と混同しやすいです。
- 3. 正解。尿毒症性脳症は、腎機能の著しい低下により体内に老廃物や毒素が蓄積することで発症します。人工透析はこれらの有害物質を血液から除去し、尿毒症状態を改善することで脳症の症状を軽減または回復させるため、適切な治療法です。
- 4. 正解。ペラグラは、ビタミンB3(ナイアシン)の欠乏によって引き起こされる疾患です。ニコチン酸はナイアシンの一種であり、欠乏しているビタミンを補充することでペラグラの症状を治療・改善します。
- 5. ヘルペス脳炎は、ヘルペスウイルスによって引き起こされるウイルス感染症です。ペニシリンは細菌に対して有効な抗生物質であり、ウイルスには効果がありません。ヘルペス脳炎の治療にはアシクロビルなどの抗ウイルス薬が用いられます。正しくは:ヘルペス脳炎 → 抗ウイルス薬(アシクロビルなど)選びやすい理由:「脳炎」という重篤な感染症に対して、一般的な強力な抗菌薬が必要であると連想しやすいです。混同注意:細菌性髄膜炎など、他の細菌感染による脳疾患に対する抗生物質治療と混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、主要な疾患の病態生理と、それに対する最も適切かつ特異的な治療法を正確に結びつける知識を問うものです。特に、感染症における細菌とウイルスの違い、代謝性疾患や欠乏症に対する治療の基本を理解しているかを確認します。
混同注意
細菌性疾患とウイルス性疾患の治療薬(抗生物質と抗ウイルス薬)の混同、代謝性疾患における制限と補充の混同、補助療法と根本治療の区別が主な混乱点となります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、疾患の『原因』を特定し、その原因に直接作用する『根本的な治療法』を選ぶように心がけてください。例えば、細菌なら抗生物質、ウイルスなら抗ウイルス薬、欠乏症なら補充、過剰なら制限や除去、といった基本的な治療原則を当てはめて考えると良いでしょう。
関連知識
各疾患(肝性脳症、神経梅毒、尿毒症性脳症、ペラグラ、ヘルペス脳炎)の病因、病態、そして標準的な薬物療法や非薬物療法に関する知識が求められます。特に、ビタミンの欠乏症、肝不全、腎不全といった全身性疾患が中枢神経系に与える影響とそれらの治療法について理解しておく必要があります。