統合失調症再発防止のために患者本人に対する同居家族の対応として最も有用なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第58回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
統合失調症の再発予防には、家族の関わり方が非常に重要です。特に「EE(Expressed Emotion:感情表出)」という概念があり、家族のEEが高い(批判的、敵意的、感情的巻き込まれが多い)と再発率が高まるとされています。口論のような感情的に緊張する状況では、一時的に接触時間を減らすことで、家族と患者双方の感情的負担を軽減し、感情的な悪化を防ぎ、結果としてEEを低減させ再発リスクを下げることが期待できます。これは家族心理教育で指導されるポイントの一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 患者さんの自立性を阻害し、過保護や依存を助長する可能性があります。再発予防には、適切な自立支援が重要であり、過度な介入はストレスとなることがあります。正しくは:患者さんの自立を尊重し、必要なサポートは提供しつつも、過度な付き添いは控えるべきです。選びやすい理由:患者さんの安全確保や見守りという側面から、一見良い対応に見えるかもしれませんが、過度な介入は自立を妨げます。混同注意:適切な見守りや支援と、過干渉や過保護との区別。
- 2. 経済的な問題行動を助長し、患者さん自身が問題解決能力を学ぶ機会を奪ってしまいます。再発予防とは直接関連性が低く、かえって問題が慢性化するリスクがあります。正しくは:借金の問題に対しては、患者さん自身が責任感を持ち、返済計画を立てるなど、問題解決に向けて自立的に取り組むよう支援することが大切です。必要に応じて、専門機関への相談を促します。選びやすい理由:家族として患者を助けたいという気持ちから、問題を解決しようと返済してしまう心理。混同注意:患者への経済的支援と、問題行動の助長。
- 3. 家族の批判的な態度や感情的な巻き込まれ(EE: Expressed Emotion)が高い環境は、統合失調症患者の再発リスクを高めることが多くの研究で示されています。人格批判は避けるべきです。正しくは:行動そのものに着目し、具体的な状況や影響を伝え、改善を促すようにします。患者の人格を尊重したコミュニケーションを心がけます。選びやすい理由:患者の行動を正したいという気持ちから、叱責や批判に走りがちになる心理。混同注意:問題行動への適切な対応と、人格批判。
- 4. 正解。感情的に高ぶった状況や口論は、患者さんにとって強いストレスとなり、再発の引き金となる可能性があります。一時的に距離を置くことで、相互の感情的な負担を軽減し、状況の悪化を防ぐことができます。これは「EE(Expressed Emotion)を低減させる家族介入」の重要な戦略の一つです。
- 5. 服薬の遵守は再発予防に不可欠ですが、厳しく叱責することは患者さんとの関係性を悪化させ、かえって服薬アドヒアランス(服薬遵守)の低下につながる可能性があります。また、これは家族の批判的態度(EE)を高めることになります。正しくは:叱責するのではなく、なぜ飲み忘れたのかを穏やかに確認し、服薬を継続できるよう一緒に工夫を考えたり、支援の方法を検討したりすることが望ましいです。選びやすい理由:服薬の重要性を認識しており、再発を防ぎたいという思いから、強く注意したくなる気持ち。混同注意:服薬の重要性と、服薬アドヒアランスを向上させるための適切なコミュニケーション。
国試ポイント
統合失調症の家族支援に関する知識、特に「EE(感情表出)」とその低減策が問われています。再発予防のための具体的な家族の対応について、適切な選択肢を選ぶ能力が求められます。患者の自律性尊重、病気に対する理解、適切な距離感の重要性を理解しているかがポイントです。
混同注意
患者の自立を促すことと、過干渉・過保護の区別。患者を助けることと、問題行動を助長することの区別。再発予防の重要性を認識し、服薬を促すことと、叱責による関係悪化の区別。
次に同じ論点が出たら
次回同様の論点が出題される場合、「EE(感情表出)の具体的な要素(批判、敵意、感情的巻き込まれ)」や、「家族心理教育の具体的な内容」、「統合失調症患者の再発要因」、「服薬アドヒアランス向上のための介入」などが問われる可能性があります。また、地域移行支援や就労支援における家族の役割なども関連して出題されるかもしれません。
関連知識
統合失調症の家族心理教育、EE(Expressed Emotion)、ストレス-脆弱性モデル、服薬アドヒアランス、患者のリカバリー支援、自立支援。