統合失調症の認知機能障害の改善に焦点を当てたプログラムで、パソコン上の教育用ソフトウェア課題を用いるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
統合失調症の認知機能障害改善プログラムの中でも、NEAR (Neuropsychological Educational Approach to Remediation) は、神経心理学的教育的アプローチに基づいており、主にパソコンを用いた認知課題トレーニングを中核としています。これにより、注意力、記憶力、遂行機能、情報処理速度などの認知領域の改善を目指します。患者への教育的アプローチも重視され、認知機能の障害が日常生活に与える影響を理解し、対処スキルを習得することを支援します。
選択肢ごとの解説
- 1. LASMI (Life Skills Management & Illness Management) は、統合失調症患者の地域での生活技能の向上や疾病管理を支援するプログラムであり、特定の認知機能障害に特化してパソコンソフトウェアを主要なツールとして用いるものではありません。正しくは:LASMIは地域生活技能や疾病管理に焦点を当てた包括的なプログラムです。選びやすい理由:統合失調症のリハビリテーションプログラムであるため、選択肢として考えやすいかもしれません。混同注意:特定の認知機能に特化した介入と、より広範な生活スキルや疾病管理の介入との違いを混同しやすいです。
- 2. 正解。NEAR (Neuropsychological Educational Approach to Remediation) は、統合失調症の認知機能障害(注意力、記憶力、遂行機能など)を改善するためのプログラムです。特徴として、パソコンを用いた認知課題トレーニングを核とし、患者への教育的アプローチも重視します。
- 3. SCIT (Social Cognition Interaction Training) は、統合失調症患者の「社会的認知」障害、例えば他者の感情理解や意図推測、社会的状況判断などの改善を目指すプログラムです。一般的な認知機能(記憶、注意など)の直接的な改善やパソコンソフトウェアの多用は主目的ではありません。正しくは:SCITは感情認識や心の理論といった社会的認知能力に焦点を当てています。選びやすい理由:統合失調症の「認知」に関するプログラムであるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:「認知機能」(記憶、注意、遂行機能など)と「社会的認知」(社会状況における認知プロセス)の違いを混同しやすいです。
- 4. SFS (Social Functioning Scale) は、統合失調症患者の社会生活における機能レベルを評価するための尺度であり、治療やリハビリテーションのプログラムそのものではありません。正しくは:SFSは評価ツールであり、介入プログラムではありません。選びやすい理由:「社会機能」という言葉が統合失調症と関連するため、プログラムと誤認しやすいかもしれません。混同注意:評価ツールと介入プログラムの違いを混同しやすいです。
- 5. WRAP (Wellness Recovery Action Plan) は、精神疾患を持つ人々が自身の健康を維持し、症状に対処するための自己管理計画を立てることを支援するプログラムです。特定の認知機能障害の改善に焦点を当ててパソコンソフトウェアを用いるものではありません。正しくは:WRAPは自己管理とリカバリーを支援するプログラムです。選びやすい理由:精神科リハビリテーションの分野でよく知られたプログラムであるため、選択肢として考えやすいかもしれません。混同注意:自己管理プログラムと、特定の認知機能改善を目的としたプログラムを混同しやすいです。
国試ポイント
統合失調症のリハビリテーションプログラムに関する知識は頻出です。特に、プログラムの名称、その目的(対象とする障害領域)、具体的な介入方法(例:パソコン使用の有無、集団・個別など)を正確に把握しておく必要があります。認知機能障害、社会的認知障害、生活技能訓練、自己管理など、それぞれのプログラムがどの側面に焦点を当てているかを区別できることが重要です。
混同注意
統合失調症の認知に関するプログラムには、大きく分けて「認知機能リハビリテーション (Cognitive Remediation Therapy: CRT)」と「社会的認知トレーニング (Social Cognition Training: SCT)」があります。NEARはCRTの一種であり、注意、記憶、遂行機能といった一般的な認知機能の改善を目指します。一方、SCITはSCTの一種であり、感情認識、心の理論、帰属スタイルといった社会的文脈での認知能力の改善を目指します。両者の目的とアプローチの違いを明確に理解することが重要です。また、評価尺度(SFS)と介入プログラム(NEAR, SCIT, LASMI, WRAP)を混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われた際には、『どの疾患の、どのような障害(認知機能、社会的認知、生活技能など)を対象とし、どのようなアプローチ(例:パソコン使用、集団療法、個別療法、自己管理中心など)で介入するプログラムか』という点に着目して、各プログラムの名称と特徴を結びつけられるように学習しておきましょう。特に、主要な精神科リハビリテーションプログラム(NEAR, SCIT, SST, WRAP, ACTなど)については、その具体的な内容まで理解しておくことが求められます。
関連知識
統合失調症の認知機能障害は、前頭前野を中心とした脳機能の障害に関連しており、回復期・維持期の作業療法介入において重要なターゲットとなります。認知機能障害は、就労や社会参加、日常生活能力に大きな影響を与えるため、その改善は生活の質向上に不可欠です。CRTのアプローチとしては、NEARの他にCOGPACK、REHACOMなどのソフトウェアプログラムが知られています。また、メタ認知トレーニング (MCT) や社会的スキル訓練 (SST) など、他の精神科リハビリテーションプログラムとの連携も重要です。