アルコール依存症の治療で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第59回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
アルコール依存症の治療は、患者本人の断酒を支援するだけでなく、家族のサポートや社会的な支援を含めた多角的なアプローチが必要です。家族の共依存への介入は、家族が回復を妨げないように、また家族自身の健全な関係性を築けるようにするために重要です。また、自助グループは、同じ苦しみを共有する仲間との繋がりを通じて、長期的な断酒維持に不可欠な心理的・社会的サポートを提供します。薬物療法は治療の一環ですが中心ではなく、診断には脳波検査が必須ではありません。重篤な身体合併症は生命に関わるため、依存症の改善を待たずに直ちに治療すべきです。
選択肢ごとの解説
- 1. アルコール依存症の治療は、薬物療法だけでなく、精神療法、リハビリテーション、社会復帰支援、自助グループへの参加など、多角的なアプローチが不可欠です。抗酒薬は治療の一環として有効ですが、治療全体の中核をなすものではありません。正しくは:抗酒薬はアルコール依存症治療において、断酒を維持するための補助的な薬物療法の一つである。選びやすい理由:薬物療法は多くの疾患で主要な治療法であり、抗酒薬の存在を知っていると、それが中心だと誤解しやすい。混同注意:薬物療法が全く不要だと誤解したり、精神科治療における薬の重要性を過大評価したりする。
- 2. アルコール依存症の診断は、ICD-10やDSM-5などの診断基準に基づいた臨床的な評価が主に行われます。脳波検査は、アルコールに関連する特定の神経疾患(てんかんや脳器質性疾患など)の合併症を評価する目的で実施されることはありますが、依存症そのものの診断に必須ではありません。正しくは:アルコール依存症の診断は、ICD-10やDSM-5などの診断基準に基づいた臨床的な評価が主に行われる。選びやすい理由:アルコール依存症が脳機能に影響を与えるため、脳の検査が重要だと考えてしまう。脳波検査が精神疾患や神経疾患の診断に使われることを知っていると、必須であると誤解しやすい。混同注意:アルコール依存症の合併症(例:Wernicke脳症、てんかん)の診断と、依存症自体の診断を混同する。
- 3. 正解。アルコール依存症は、患者本人だけでなく家族にも大きな影響を与え、共依存などの問題を生じさせることが多いため、家族への教育、カウンセリング、家族会への参加支援などを通じて、共依存状態の改善を図ることが重要です。家族の理解と協力は治療成功に不可欠です。
- 4. 正解。自助グループは、同じ問題を抱える仲間との交流を通じて、経験を共有し、支え合いながら断酒を継続していくための重要な場です。孤独感の軽減、回復へのモチベーション維持、再飲酒予防に大きな効果が認められています。
- 5. 重篤な身体合併症(例:肝硬変、膵炎、振戦せん妄など)は生命に関わる緊急性の高い状態であり、アルコール依存症の改善を待たずに直ちに治療を開始する必要があります。依存症治療と並行して、あるいは先行して行われるべきものです。正しくは:重篤な身体合併症が確認された場合、その治療はアルコール依存症の改善を待つことなく、直ちに開始する必要がある。選びやすい理由:依存症が根本原因であるため、先に依存症を治すべきだと考えてしまう。一般的な治療プロセスとして、原因疾患の治療を優先すると誤解しやすい。混同注意:慢性期の身体合併症管理と、急性期の生命を脅かす合併症の治療を混同する。
国試ポイント
アルコール依存症の治療は、薬物療法、精神療法、リハビリテーション、家族支援、自助グループへの参加など、多職種連携による多面的なアプローチが求められることを理解しているか。特に、自助グループの役割と家族への介入の重要性が頻繁に問われる。急性期の身体合併症に対する対応の優先順位も重要。
混同注意
薬物療法が中心であるという誤解(実際は多角的アプローチ)。診断に必要な検査と合併症評価に必要な検査の混同。家族が治療に協力することと、共依存への介入が異なることの理解不足。急性期の身体合併症の治療の緊急性についての理解不足。
次に同じ論点が出たら
もしこの論点が再び問われるなら、以下のような点に注目して選択肢を検討する。アルコール依存症の「治療の柱」や「主要な要素」として何が挙げられるか(例:断酒、精神療法、自助グループ、家族支援)。急性期の合併症に対する医療介入の緊急性。治療における薬物療法の位置づけ(補助的か中心的か)。特定の検査が診断に「必須」であるか否か。家族への介入がどのような目的で行われるか。
関連知識
アルコール依存症の診断基準(ICD-10、DSM-5)、離脱症状、身体合併症(肝疾患、膵炎、Wernicke-Korsakoff症候群など)、薬物療法(抗酒薬、断酒補助薬)、精神療法(認知行動療法など)、リハビリテーション、家族支援(家族会)、自助グループ(AAなど)の機能と効果。