全般性注意障害のある左片麻痺患者に対する動作指導について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
全般性注意障害を持つ患者さんへの動作指導では、注意機能の低下を考慮し、情報過多や刺激の多い環境を避けることが基本です。外乱が少ない環境で指導を開始することで、患者さんは提示される情報に集中しやすくなり、学習効果を高めることができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 全般性注意障害がある場合、情報処理能力が低下しているため、複数の情報を同時に提示すると混乱を招き、学習効果が低下します。正しくは:一つの動作に対しては、最も効果的な一つの方法に絞って指導するべきです。選びやすい理由:様々な選択肢がある方が良いと感じるかもしれませんが、注意障害がある場合は逆効果です。混同注意:注意障害がない患者さんへの指導方法と混同しやすいかもしれません。
- 2. 全般性注意障害がある患者さんは、一度に多くのステップを記憶したり処理したりすることが困難です。そのため、一連の動作をまとめて指導すると、情報過多となり理解できません。正しくは:複雑な動作は、小さな段階に分けて(例:連鎖法などを用いて)一つずつ順序立てて指導するべきです。選びやすい理由:全体像を把握させるために一度に見せるべきだと考えるかもしれませんが、注意障害がある場合はステップごとに区切る方が重要です。混同注意:健常者や軽度認知機能障害の患者さんへの指導方法と混同しやすい可能性があります。
- 3. 正解。全般性注意障害のある患者さんは、外部からの刺激に過敏に反応したり、集中力を維持するのが難しかったりします。そのため、指導効果を高めるためには、気が散る原因(騒音、他の人の動き、多くの物品など)を最小限にした環境で始めることが極めて重要です。選びやすい理由:この選択肢は、注意障害の特性を考慮した基本原則であり、最も適切なアプローチです。
- 4. 全般性注意障害がある患者さんは、口頭指示のみでは理解が困難な場合が多く、また記憶にも定着しにくい可能性があります。特に左片麻痺を併発している場合、視覚的な情報や身体的な誘導なども活用することが重要です。正しくは:口頭指示だけでなく、視覚的なデモンストレーション、触覚的な誘導、ジェスチャーなどを組み合わせた多感覚的なアプローチで修正を行うべきです。選びやすい理由:指示のシンプルさを追求しようとするかもしれませんが、口頭のみでは不十分です。混同注意:言語理解に問題がないと仮定してしまうと、口頭指示だけで良いと考えてしまうかもしれません。
- 5. 全般性注意障害がある患者さんに対して、同じ誤りを何度も繰り返して修正しようとすると、フラストレーションが高まり、学習意欲の低下や混乱を招く可能性があります。過度な繰り返しは、かえって疲労や不注意を増大させることもあります。正しくは:誤りの修正は、簡潔かつ分かりやすく行い、必要に応じて休憩を挟んだり、別の簡単な課題に切り替えたりして、患者さんの集中力とモチベーションを維持することが重要です。また、誤りが出る原因を分析し、環境や課題の難易度を調整することも必要です。選びやすい理由:反復練習は学習の基本であるため、何度も繰り返すことが有効だと考えがちです。しかし、注意障害の特性を考慮しない反復は逆効果です。混同注意:健常者や特定の学習障害を持たない人への運動学習のアプローチと混同しやすいでしょう。
国試ポイント
脳血管疾患後の全般性注意障害の特性を理解し、その特性に応じた適切な動作指導・環境設定が問われています。特に、情報処理能力の低下、集中力の維持困難、刺激に対する過敏性などを考慮した対応が重要です。
混同注意
通常の運動学習の原則(反復、多感覚入力など)と、注意障害という特定の認知機能障害がある場合の特別な配慮が混同しやすいポイントです。注意障害がある場合は、通常の原則をそのまま適用できないことが多いです。
次に同じ論点が出たら
今後、同じ論点が出た場合は、まず患者の認知機能(特に注意機能)の特性を把握し、その特性に合致する「情報量を減らす」「刺激を減らす」「負担を軽減する」といったアプローチが選択肢にあるかを判断基準とする。
関連知識
全般性注意障害(持続性注意、選択的注意、転換性注意、分配性注意の全般的な低下)、注意障害へのリハビリテーションアプローチ(環境調整、課題の単純化、休憩の導入、外部刺激の遮断、キューイングの活用)、左片麻痺の身体機能特性、運動学習理論。