46歳の男性。脳梗塞による右片麻痺。Brunnstrom法ステージは上肢Ⅴ、手指Ⅴ、下肢Ⅴ。発症後7か月が経過し、認知機能はMMSEが24点、軽度の注意障害を認めている。既に退院し、父母と同居している。発症前は内装業に従事していたが、同職での復職が困難であることから、就労移行支援による雇用を目指している。作業療法士が患者に実施する内容で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
就労移行支援においては、対象者の実際の職業能力や適性を評価することが非常に重要です。特に認知機能に軽度の注意障害がある場合、机上での評価だけでなく、実際の作業環境に近い状況で評価を行うことで、より実践的な課題や必要な支援内容を具体的に把握できます。これにより、適切な職場選びや合理的配慮の提案に繋がります。
選択肢ごとの解説
- 1. 就労準備は、完璧を目指すのではなく、就労に必要な最低限の能力が確保できた段階で就労に移行し、実際の職場で課題解決を図ることが多いです。現実的な目標設定が重要です。正しくは:就労準備は、就労に必要な最低限の能力が確保できた段階で、早期に就労に移行することを検討する。選びやすい理由:全ての課題を解決してから就労するのが理想的だと感じるため。混同注意:理想的な訓練と現実的な支援のバランス
- 2. 就労移行支援の目的は雇用を達成することですが、雇用後の定着支援も重要な役割です。就労後も職場適応や課題解決のために一定期間支援を継続することが一般的です。正しくは:雇用が確定した後も、職場への定着支援や課題解決のための支援を継続する。選びやすい理由:雇用が最終目標であると誤解しやすいため。混同注意:就労移行支援の対象期間と定着支援の必要性
- 3. 正解。就労移行支援における職業評価は、対象者の能力や適性を実際の職場に近い環境で評価することが重要です。これにより、具体的な就職先の選定や必要な支援内容をより的確に判断できます。事例では軽度の注意障害があるため、実環境での評価は特に有効です。混同注意:机上での評価と実環境での評価の目的
- 4. 障害のある方の就労では、障害特性や健康状態に合わせて、雇用条件(勤務時間、業務内容、職場環境など)を柔軟に調整する「合理的配慮」の視点が重要です。必ずしも元の雇用条件に固執する必要はありません。正しくは:対象者の能力や特性に応じて、雇用条件の変更や合理的配慮の提案も検討し、より良い就業を目指す。選びやすい理由:契約書通りの勤務が基本だと考えるため。混同注意:通常の就業と障害者雇用における合理的配慮
- 5. 軽度の注意障害があるものの、付き添いなしでの自立した通勤を目指すことが、本人の自律性や社会参加の促進につながります。必要に応じて訓練やルート確認は行いますが、永続的な付き添いを前提とするのは適切ではありません。正しくは:通勤時には、まず自力での通勤が可能となるよう訓練やルート確認を行い、必要に応じて短期間の同行支援などを検討する。選びやすい理由:注意障害があるため、安全確保を最優先に考えるべきだと感じやすいため。混同注意:過保護な支援と自立を促す支援
国試ポイント
脳梗塞後の就労支援における作業療法士の役割と、就労移行支援の特性を理解しているかを問う問題です。特に、障害のある方の就労における『現実的な支援』『合理的配慮』『自立促進』の視点が重要となります。
混同注意
理想的な支援と現実的な支援の区別、また障害者雇用における合理的配慮の考え方と一般雇用との違い。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、就労支援の目的が『雇用後の定着』と『自立の促進』にあることを念頭に置き、過剰な介入や不必要な制限を設ける選択肢は誤りであると判断する。また、障害特性に応じた個別的な配慮や評価の必要性を強調する選択肢に注目する。
関連知識
就労移行支援事業所の役割、障害者総合支援法、障害者雇用促進法、合理的配慮、職業評価の種類(作業能力評価、職場適応評価など)。