手部のⅢ度熱傷における対応で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第53回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Ⅲ度熱傷は真皮の全層から皮下組織にまで達する深い熱傷であり、治癒過程で瘢痕が形成され、その収縮によって関節拘縮や機能障害を引き起こしやすいです。このため、早期から適切なポジショニングとスプリントを用いた固定により、関節の変形や拘縮を予防することが極めて重要となります。
選択肢ごとの解説
- 1. Ⅲ度熱傷の場合、組織の深部まで損傷が進んでいるため、氷による過度な冷却は凍傷のリスクや血行障害を悪化させる可能性があります。また、熱傷創の感染リスクを高めることもあります。正しくは:冷やす場合は、流水(15~25℃程度の水道水)で長時間(30分以上)冷却することが推奨されます。ただし、低体温に注意が必要です。Ⅲ度熱傷では、組織の熱がすでに十分に奪われていることが多く、冷却の必要性は限定的であるか、逆に有害となる場合もあります。選びやすい理由:熱傷の初期対応として冷却は重要であるため、一般的な知識として「冷やす」という行動を正しいと判断しやすいです。しかし、熱傷の深度によって冷却方法や必要性は異なります。混同注意:軽度熱傷(Ⅰ度、浅達性Ⅱ度)の初期冷却と、深部熱傷(深達性Ⅱ度、Ⅲ度)の冷却方法や目的に関する知識が混同されやすいです。
- 2. 軽度熱傷であっても、十分な冷却のためには15~30分程度の流水冷却が必要とされています。Ⅲ度熱傷の場合、初期の積極的な冷却は必ずしも推奨されませんが、もし冷却するとしても5分未満では効果が限定的です。正しくは:一般的な熱傷冷却は、痛みが軽減されるまで、または15~30分程度を目安に行います。Ⅲ度熱傷においては、冷却の必要性自体が低く、逆に低体温のリスクがあるため、適切な判断が必要です。選びやすい理由:長時間の冷却による低体温のリスクを考慮し、短時間で済ませるべきと誤解する可能性があります。しかし、冷却の目的は熱を奪うことであるため、短すぎるとその効果が得られません。混同注意:冷却による低体温のリスクと、熱傷組織の熱を奪うための冷却時間に関する知識が混同されやすいです。
- 3. Ⅲ度熱傷では、熱によって組織が壊死し、かさぶた(痂皮)を形成します。この壊死組織は感染源となりやすく、また傷の治癒を妨げるため、デブリードマン(壊死組織除去術)によって取り除く必要があります。正しくは:壊死組織は感染のリスクを高め、治癒を阻害するため、早期に外科的に除去(デブリードマン)することが一般的です。選びやすい理由:外科的な処置の知識が不十分な場合、自然治癒を期待したり、あるいは手術の必要性を理解できていないと、除去不要と誤って判断する可能性があります。混同注意:浅い熱傷における自然治癒の過程と、深い熱傷における壊死組織の管理に関する知識が混同されやすいです。
- 4. 正解。Ⅲ度熱傷は皮膚の深層まで損傷が及び、治癒過程で瘢痕拘縮を起こしやすく、関節の可動域制限や変形を招きます。これを防ぐためには、適切なポジショニングと関節を機能的な位置に保持するためのスプリント(装具)の使用が非常に重要です。選びやすい理由:スプリントが治療に不可欠なものとして認識されているため、正しい選択肢として選びやすいです。混同注意:スプリントの使用目的(変形予防、固定、安静など)に関する知識が整理できていないと、適切な状況での使用を判断しにくいです。
- 5. Ⅲ度熱傷では皮膚が損傷しており、手袋を無理に脱がそうとすると、損傷した組織をさらに傷つけたり、水疱を破って感染リスクを高めたりする可能性があります。また、熱傷部位に付着した繊維などを無理に取り除くことも避けるべきです。正しくは:手袋などの付着物は、無理に除去しようとせず、清潔に保ったまま医療機関での専門的な処置を待つべきです。衣類が熱傷部位に張り付いている場合も同様です。選びやすい理由:異物除去の原則から、手袋を外すべきだと直感的に判断しやすいです。しかし、熱傷の場合は無理な除去がさらなる損傷を招くリスクがあります。混同注意:一般的な外傷時の異物除去の原則と、熱傷時における付着物の除去に関する特殊な注意点が混同されやすいです。
国試ポイント
熱傷の深度に応じた適切な初期対応、特にⅢ度熱傷における長期的な機能予後を見据えたリハビリテーション介入の重要性が問われています。急性期の冷却方法、壊死組織の管理、装具療法に関する基本的な知識が不可欠です。
混同注意
熱傷の深達度による治療法の違い(特に冷却の適応と方法、壊死組織の扱い)、初期救護時の一般的な異物除去と熱傷時の付着物除去の判断基準。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、熱傷の深度別に適切な冷却方法、壊死組織の処置の必要性、瘢痕拘縮予防のためのリハビリテーション(ポジショニング、運動療法、装具療法)の時期と目的について、より詳細な知識が問われる可能性があります。
関連知識
熱傷の分類(Ⅰ度、Ⅱ度[浅達性、深達性]、Ⅲ度)、熱傷の深度と症状、熱傷の応急処置、熱傷後の瘢痕拘縮予防、装具療法(スプリント)の目的と種類、デブリードマン。