うつ病の治療で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
うつ病患者は、回復期に入り意欲や活動性が回復してきた際に、自殺を実行するエネルギーを持つようになることがあります。急性期はエネルギーが低下しすぎて自殺行動に移れないことも多いため、回復期も継続して希死念慮の確認を行うことは非常に重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. 電気けいれん療法(ECT)は、重症のうつ病や、特に自殺念慮が強く切迫しているケースなど、薬物療法で効果が得られない、または迅速な改善が必要な場合に適用される治療法です。自殺危険度が高い場合にむしろ選択肢となりえます。正しくは:電気けいれん療法は、自殺の危険性が高い場合や、薬物療法が無効な重症うつ病に対して適用される治療法です。選びやすい理由:電気けいれん療法は身体への負担を伴うため、軽症例には適用されないというイメージから、重症度と自殺危険度を混同してしまう可能性があります。混同注意:ECTの適用基準(重症、難治性、急速な改善が必要な場合など)と、精神科治療における一般的な重症度分類を混同することがあります。
- 2. うつ病の急性期や回復期早期においては、患者は心身ともに疲弊しており、気晴らしの旅行といった大きな負担を伴う活動は病状を悪化させる可能性があります。まずは休養と安定が重要です。正しくは:回復期において、患者の心身の状態を慎重に評価した上で、少しずつ負担の少ない活動から社会参加を促すことがあります。急性期には十分な休養が最優先されます。選びやすい理由:「気晴らし」という言葉が一般的に気分転換に良いとされているため、うつ病にも有効だと誤解しやすいです。しかし、うつ病患者にとっては、旅行はむしろ負担が大きい行動となります。混同注意:「気分転換」が一般的に良いことという認識と、うつ病患者の病状に応じた活動レベルの設定を混同することがあります。一般的な健康な人の気分転換と、うつ病患者の治療的アプローチは異なります。
- 3. 抗うつ薬は効果が出始めるまでに通常2~4週間程度の時間を要します。数日で効果が出ないからといってすぐに変更するのは適切ではありません。効果の評価には一定期間の継続投与が必要です。正しくは:抗うつ薬は効果が出始めるまでに通常2~4週間程度の時間を要するため、焦らずに一定期間継続して服用することが重要です。選びやすい理由:他の疾患の薬物治療では、数日で効果が見られない場合に薬剤を変更することがあるため、それをうつ病治療にも当てはめてしまう可能性があります。混同注意:抗うつ薬の即効性(副作用は早く出るが、治療効果は遅れる)と、他の薬物治療における効果発現までの期間を混同することがあります。
- 4. うつ病の患者は判断能力が低下していることが多く、重要な意思決定を急がせることは、後悔やさらなる精神的負担につながる可能性があります。回復期に入るまで、重要な意思決定は避けるか、延期するよう指導するのが適切です。正しくは:患者の精神的負担を軽減し、誤った判断を防ぐため、うつ病の急性期や回復期早期においては、人生における重要な意思決定は可能な限り延期するよう指導します。選びやすい理由:「負担を減らすため」というフレーズが正しいように聞こえますが、重要な決定を急ぐことが患者にとって負担増になるという視点が見落とされがちです。迅速な解決が常に良いとは限りません。混同注意:問題解決の速さと、患者の判断能力や意思決定への負担を混同することがあります。うつ病では、意思決定の負荷が非常に高まります。
- 5. 正解。うつ病の回復期には、意欲や活動性が回復する一方で、思考力が追いつかず、自殺を実行するエネルギーが生じてしまうことがあります。そのため、急性期だけでなく、回復期においても希死念慮の有無を慎重に確認し続けることが非常に重要です。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:(正答のため該当なし)混同注意:(正答のため該当なし)
国試ポイント
うつ病の治療における具体的な留意点、特に自殺予防に関する知識が問われています。回復期の患者の状態変化とそれに伴うリスクを正確に理解しているかが鍵となります。
混同注意
うつ病の急性期と回復期の状態像やリスクの違い。特に自殺リスクが高まる時期に関する誤解。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合は、うつ病の各病期(急性期、回復期、維持期)における具体的な治療目標や介入の重点、特に合併症やリスク(自殺、再発など)の管理について問われる可能性が高い。
関連知識
うつ病の病期ごとの症状と治療目標。電気けいれん療法の適用基準。抗うつ薬の効果発現までの期間と副作用。患者教育の基本方針。