肩関節周囲炎で正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
肩関節周囲炎の主要な症状の一つに、肩関節の可動域制限があります。特に、肩を上げて腕を後ろに回すような動きや、外旋・内旋といった複合的な動きが制限されるため、結髪動作(髪を結ぶ)や結帯動作(帯を締める)などの日常生活動作が困難になるのは、この疾患に特徴的な症状です。
選択肢ごとの解説
- 1. 肩関節周囲炎は、一般的に40歳から60歳代にかけて発症のピークを迎える疾患であり、「五十肩」という別名があることからもわかるように、中年以降の世代に多いとされています。若年者には稀です。正しくは:中年以降の世代によく見られる。選びやすい理由:スポーツなどで肩を酷使する若い世代にも肩の痛みが生じることはありますが、それは肩関節周囲炎とは異なる病態(例:スポーツ障害、腱板損傷など)であることが多いため、混同しやすいかもしれません。混同注意:スポーツ障害や若年性関節炎、または外傷による肩の疾患と混同されることがあります。
- 2. 肩関節周囲炎の多くは、適切な保存的治療(薬物療法、リハビリテーションなど)を継続することで、数ヶ月から1年程度の期間を経て、多くの場合で症状が改善し、予後は比較的良好であるとされています。正しくは:適切な治療とリハビリテーションにより、予後は比較的良好である。選びやすい理由:痛みが長く続いたり、可動域制限が重度で日常生活に支障をきたしたりするため、不安に感じ予後不良だと誤解する人もいるかもしれません。混同注意:変形性関節症や関節リウマチなど、進行性で永続的な機能障害を残す可能性のある他の関節疾患と混同されることがあります。
- 3. 肩関節周囲炎は、肩関節を構成する組織(関節包、腱板、滑液包など)の炎症や変性によって起こる非感染性の疾患です。細菌やウイルスといった微生物による感染が直接の原因ではありません。正しくは:非感染性の疾患である。選びやすい理由:「炎症」という言葉から、細菌感染を連想してしまうため、誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:化膿性関節炎(細菌感染による関節炎)や関節リウマチ(自己免疫疾患による炎症)など、他の炎症性疾患と混同されることがあります。
- 4. 正解。肩関節周囲炎では、肩関節の可動域が著しく制限されることが特徴です。特に肩の挙上(腕を上げる)、外旋(腕を外にひねる)、内旋(腕を内にひねる)といった動作が制限されやすく、これらの複合的な動きを必要とする髪を結ぶ動作(結髪動作)や、帯を結ぶ動作(結帯動作)が困難になることが典型的です。これは日常生活動作(ADL)への影響として重要な症状の一つです。
- 5. 肩関節周囲炎の治療は、まず保存療法(安静、薬物療法、温熱療法、そして理学療法による運動療法など)が中心となります。これらの保存療法で十分な改善が得られない場合や、症状が非常に重い場合に限り、手術療法が検討されることがあります。手術は第一選択ではありません。正しくは:まず保存療法が検討される。選びやすい理由:痛みが強く、早く治したいという気持ちから、根本的な治療として手術を望む患者さんがいるため、この選択肢が魅力的に映るかもしれません。混同注意:腱板断裂など明確な器質的損傷があり、保存療法での改善が難しいと判断される他の肩関節疾患と混同されることがあります。
国試ポイント
肩関節周囲炎については、その好発年齢、主な症状(痛み、可動域制限、夜間痛)、日常生活への影響(結髪・結帯動作の困難)、そして治療の基本的な方針(保存療法が主体)が繰り返し問われます。他の肩関節疾患(例:腱板損傷、石灰性腱炎)との鑑別も重要です。
混同注意
腱板損傷や石灰性腱炎、変形性肩関節症など、症状が類似する他の肩関節疾患との混同が多いです。これらの疾患は好発年齢、原因、病態、治療方針が異なるため、鑑別点を理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
肩関節疾患に関する問題が出た際は、「好発年齢」「原因」「具体的な痛みや可動域制限の種類」「夜間痛の有無」「日常生活で特に困難になる動作(結髪・結帯動作など)」「治療の第一選択」といった項目に着目して選択肢を検討すると、正確な判断がしやすくなります。
関連知識
肩関節周囲炎は「五十肩」とも呼ばれ、40~60歳代に多く発症します。原因は明確ではありませんが、肩関節周囲の組織(関節包、腱板、滑液包など)の退行性変化や炎症が関与すると考えられています。急性期には強い痛みがあり、慢性期になると可動域制限が主体となります。治療は、炎症を抑える薬物療法、温熱療法、関節可動域訓練や筋力訓練を中心とした理学療法が基本です。