心電図をモニターしながら訓練を行った際の訓練前と訓練中の心電図(別冊No.2)を別に示す。変化に関する所見で正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
下図の心電図を確認すると、訓練中の心電図においてST部分が基線から低下していることが明らかです。これは心筋虚血を示す典型的な所見であり、運動負荷試験などで観察される重要な変化です。他の選択肢に示される二段脈、心房粗動、心室頻拍、上室性頻拍といった不整脈の特異的な波形は確認できません。
選択肢ごとの解説
- 1. 心電図上、QRS波が正常拍と期外収縮の順で交互に出現するパターンは確認できません。正しくは:二段脈は、正常な拍動と期外収縮が交互に現れるリズムです。選びやすい理由:不整脈の一種であるため、他の異常リズムと混同しやすいです。混同注意:期外収縮、心房細動、他の不整脈
- 2. 心電図上、心房のP波が規則的かつ高速に(ノコギリ歯状に)出現する波形は確認できません。正しくは:心房粗動では、心房の活動が規則的な速いペース(通常250-350回/分)で持続し、ノコギリ歯状のF波が見られます。選びやすい理由:頻脈性不整脈であるため、他の頻脈と混同する可能性があります。混同注意:心房細動、上室性頻拍
- 3. 心電図上、広範なQRS波を伴う高速で規則的な頻拍は確認できません。QRS波の形態は比較的正常であり、頻拍の程度も心室頻拍の基準には達していません。正しくは:心室頻拍は、心室から発生する頻拍で、幅広いQRS波が速いリズムで連続します。選びやすい理由:運動中の心拍数増加を心室頻拍と誤解することがあります。混同注意:上室性頻拍、洞性頻拍
- 4. 正解。トレーニング中の心電図において、ST部分が基線から下にシフトしており、これは心筋虚血を示唆する所見です。正しくは:記載の通り、ST部分が基線より低下しているため、心筋虚血の可能性が高いです。選びやすい理由:ST変化は様々な状態で見られるため、その意味を正確に理解しておく必要があります。混同注意:STの上昇(心筋梗塞など)、T波の平坦化や陰転化
- 5. 心電図上、P波が判別困難でQRS波が狭い、高速で規則的な頻拍は確認できません。全体的な心拍数の上昇は認められますが、上室性頻拍と判断するほどの異常な速さやパターンではありません。正しくは:上室性頻拍は、心房または房室結節からの高速なリエントリーによって起こる頻拍で、通常は狭いQRS波を伴います。選びやすい理由:運動による心拍数増加を、異常な頻拍と混同しやすいです。混同注意:洞性頻拍、心室頻拍
国試ポイント
本問題は、運動負荷時の心電図変化、特にST部分の異常を正確に読み取る能力を問うものです。心筋虚血の診断に直結する重要な知識であり、作業療法士が心疾患患者の運動療法を行う上で必須となります。各不整脈の心電図所見も併せて理解しているかを確認しています。
混同注意
ST低下とST上昇(心筋梗塞など)、T波の異常(虚血、電解質異常など)。また、運動による生理的な心拍数増加と病的な頻脈(上室性頻拍、心室頻拍など)を区別する視点も重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、心電図のST部分の細かな変化(水平型低下、下降型低下、上昇型低下など)の種類とその重症度、あるいは心電図だけでなく症状(胸痛など)を組み合わせた総合的な判断が求められる可能性があります。また、ST変化を伴わない虚血の心電図所見(T波の異常など)も問われるかもしれません。
関連知識
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、運動負荷心電図検査の目的と診断基準、主要な不整脈(心房細動、心房粗動、上室性頻拍、心室頻拍、期外収縮など)の心電図所見。ST低下の種類(水平型、下降型、上昇型)とその臨床的意義。