厚生省筋萎縮症研究班の機能障害度分類によるステージ8のDuchenne型筋ジストロフィー患者に使用する補装具で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第54回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
Duchenne型筋ジストロフィーの厚生労働省筋萎縮症研究班による機能障害度分類ステージDは、歩行不能となり、車椅子での生活が中心となる時期を指します。この段階では、体幹の筋力低下が著しいため、自力での適切な座位保持が困難となり、脊柱側弯症の進行、呼吸機能の低下、褥瘡などの合併症のリスクが高まります。これらを予防し、生活の質を維持するためには、身体を支持し、適切な姿勢を保つことができる座位保持装置が必須となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 頭部保護帽は、主に転倒リスクが高い患者や痙攣発作がある患者、あるいは頭部外傷の既往がある患者に用いられます。Duchenne型筋ジストロフィーのステージDでは、すでに歩行能力が失われ、車椅子生活が中心となるため、転倒による頭部外傷のリスクは低下しています。したがって、この段階で第一に選択する補装具ではありません。正しくは:頭部保護帽は、歩行能力があり転倒リスクが高い時期(例:ステージCの一部)や、痙攣・てんかん発作を伴う場合に検討されます。選びやすい理由:筋力低下があるため、転倒リスクがあると誤解しやすいかもしれませんが、ステージDではすでに歩行が困難または不能です。混同注意:進行性の筋力低下と転倒リスクを結びつけやすいですが、ステージDではその状況が変わっています。
- 2. 標準型車椅子は、一般的な車椅子で、多くの患者に利用されますが、Duchenne型筋ジストロフィーのステージDの患者は、体幹の筋力低下が著しく、自分で座位を保持することが困難です。そのため、単なる標準型車椅子では適切な姿勢保持ができず、脊柱変形や褥瘡のリスクが高まります。より高度な姿勢保持機能を持つ車椅子が必要です。正しくは:Duchenne型筋ジストロフィーのステージDの患者には、体幹の筋力低下が著しいため、座位保持装置が一体となった車椅子や、ティルト・リクライニング機能付き車椅子など、姿勢を適切に保持できる車椅子が必要です。選びやすい理由:車椅子生活になるため、車椅子自体は必要ですが、「標準型」では不十分であるという点を見落としやすいです。混同注意:車椅子が必要であるという認識から、標準型を選択してしまうことがあります。しかし、この病態の進行度には特殊な配慮が必要です。
- 3. 正解。Duchenne型筋ジストロフィーのステージDは、歩行能力が失われ、座位での生活が中心となる時期です。この段階では、体幹の筋力低下が著しく、自力での座位保持が困難になるため、脊柱変形(特に側弯症)の進行や呼吸機能の低下、褥瘡の発生を防ぐために、適切な姿勢を保持できる座位保持装置が不可欠となります。これは、車椅子と組み合わせて使用されることが多いです。正しくは:正答のため修正不要。
- 4. PCW(姿勢制御歩行器)は、主に脳性麻痺などの小児で、姿勢制御が未熟で体幹の支持が必要なものの、ある程度の歩行能力がある場合に、歩行能力の向上や移動手段として使用されます。Duchenne型筋ジストロフィーのステージDでは、すでに歩行が失われているため、歩行器の使用は適切ではありません。正しくは:PCWは、歩行能力がまだ残っており、歩行訓練や姿勢制御の補助が必要な時期(例:ステージCの初期など)に検討されます。選びやすい理由:「Walker」という言葉から歩行補助具が必要と誤解しやすいですが、ステージDでは歩行能力がありません。混同注意:歩行器全般と混同しやすいですが、患者の機能レベルと目的を考慮する必要があります。
- 5. 四輪型サドル付き歩行器は、主に高齢者や軽度な歩行障害がある方が、安定した姿勢で休憩をとりながら歩行するための補助具です。Duchenne型筋ジストロフィーのステージDでは、歩行能力がすでに失われているため、歩行を補助する目的のこの種の歩行器は使用されません。正しくは:四輪型サドル付き歩行器は、歩行能力がまだ残っており、バランスや筋力低下による不安定性がある場合に、歩行の安定化と休憩を目的として使用されます。選びやすい理由:歩行補助具の一つであるため、筋力低下から必要であると誤解しやすいですが、ステージDでは歩行そのものができません。混同注意:様々な歩行器と混同しやすいですが、患者の機能レベルと補装具の目的が一致するかを判断する必要があります。
国試ポイント
Duchenne型筋ジストロフィーの機能障害度分類と、各ステージにおける患者の身体機能レベル、それに伴う必要な補装具の知識が問われています。特に、進行期における姿勢保持の重要性を理解しているかがポイントです。
混同注意
各補装具の具体的な機能と、Duchenne型筋ジストロフィーの各ステージにおける患者の主要なADL上の課題や身体状況を正確に把握していないと、誤った選択肢を選びやすいです。特に「車椅子」という言葉に引きずられて「標準型車椅子」を選んだり、「歩行器」と混同して歩行不能な患者に適用する選択肢を選んだりするミスが考えられます。
次に同じ論点が出たら
この論点について次回問われた場合、Duchenne型筋ジストロフィーの他のステージ(例:ステージA, B, C)における適切な補装具やリハビリテーション介入、あるいは他の神経筋疾患の機能障害度分類と補装具の組み合わせが問われる可能性があります。また、呼吸器管理や嚥下機能への対応といった、進行期に重要となる別の介入について問われることも考えられます。
関連知識
Duchenne型筋ジストロフィーの病態生理、厚生労働省筋萎縮症研究班の機能障害度分類(各ステージの具体的な定義)、主要な合併症とそれに対するリハビリテーション介入、補装具の種類と適応、車椅子や座位保持装置の構造と機能。