注意欠如・多動症〈注意欠如・多動性障害〉を強く示唆する患者の発言はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
ADHDの診断基準(DSM-5など)では、「不注意」および「多動性/衝動性」の症状が強調されます。選択肢3の「じっとしているのが苦手」は多動性の特徴であり、「後先考えずに行動して失敗する」は衝動性や不注意の典型的な表れです。これらはADHDの中核症状と合致するため、最も強くADHDを示唆する発言と言えます。
選択肢ごとの解説
- 1. これは思考内容の異常、具体的には妄想や幻覚に近い表現であり、統合失調症などの精神病性障害を示唆する可能性があります。ADHDの中核症状とは異なります。正しくは:ADHDを示唆する発言であれば、多動性、不注意、衝動性に関連する内容になるでしょう。選びやすい理由:強烈な表現なので、何か精神的な問題があるのは確かだと感じさせるかもしれませんが、ADHD特有の症状ではありません。混同注意:統合失調症の思考障害や妄想、あるいは重度の気分障害に伴う精神病症状など。
- 2. これは強い不安感や恐怖感を表しており、パニック障害、全般性不安障害、あるいは妄想性障害などの症状を示唆します。ADHDの症状ではありません。正しくは:ADHDを示唆する発言であれば、多動性、不注意、衝動性に関連する内容になるでしょう。選びやすい理由:精神的な苦痛を表しているため、何らかの精神疾患と関連付けることはできますが、ADHD特有の症状ではありません。混同注意:不安障害、パニック障害、統合失調症の初期症状(被害妄想的側面など)。
- 3. 正解。この発言は、ADHDの主要な診断基準である「多動性・衝動性」と「不注意」の症状を直接的に示しています。「じっとしているのが苦手」は多動性を、「後先考えずに行動して失敗する」は衝動性や不注意に関連する具体的な行動です。
- 4. これは離人症性障害や現実感喪失(離人感・現実感喪失症)の症状、または強いストレスや精神疾患(うつ病、不安障害、統合失調症など)に伴う解離症状を示唆しています。ADHDの核となる症状ではありません。正しくは:ADHDを示唆する発言であれば、多動性、不注意、衝動性に関連する内容になるでしょう。選びやすい理由:精神症状の一つであり、患者の苦痛を表しているため、何らかの精神疾患と結びつけられそうですが、ADHDの鑑別とは異なります。混同注意:離人感・現実感喪失症、解離性障害、うつ病、不安障害。
- 5. この発言は、身体診察や検査で異常が認められないにもかかわらず、特定の重篤な病気にかかっていると強く思い込む「病気不安症(心気症)」や、身体症状症における健康不安の表れ、あるいは身体に関する妄想を示唆しています。ADHDの症状ではありません。正しくは:ADHDを示唆する発言であれば、多動性、不注意、衝動性に関連する内容になるでしょう。選びやすい理由:身体的な不調や思い込みによる苦痛は精神的なものですが、ADHDの症状とは直接関連しません。混同注意:病気不安症(心気症)、身体症状症、妄想性障害(身体に関する妄想)。
国試ポイント
この問題は、精神疾患の各症状について、その特徴的な表現と関連する疾患を結びつける基本的な知識を問うています。特にADHDについては、多動性、不注意、衝動性という3つの主要な症状が具体的にどのような行動や発言として現れるかを理解しているかがポイントになります。他の選択肢は、統合失調症、不安障害、離人症、病気不安症など、他の精神疾患の典型的な症状を示しており、鑑別能力が試されます。
混同注意
ADHDの症状である「落ち着きのなさ」や「衝動的な行動」は、他の発達障害(例:自閉スペクトラム症の一部行動特徴)や、不安障害によるそわそわ感、または青年期・思春期の反抗期行動などと混同されることがあります。しかし、ADHDの場合はこれらの症状が幼少期から持続的に見られ、複数の状況で問題を引き起こすという特徴があります。また、うつ病や双極性障害の躁状態でも多動性や衝動性が見られることがありますが、それぞれ他の症状群と組み合わせて鑑別します。
次に同じ論点が出たら
次に類似の論点が出題された場合、ADHDの診断基準における「不注意」「多動性」「衝動性」の各症状が、具体的な状況下でどのように現れるか(例:学校生活、職場、対人関係など)を問う問題が予想されます。また、ADHDと他の発達障害(自閉スペクトラム症など)や、合併しやすい精神疾患(うつ病、不安障害など)との鑑別点や併存症に関する知識も重要になります。具体的な行動例を挙げ、それに対応する症状や障害名を問う形式が多いでしょう。
関連知識
ADHDの診断基準(DSM-5): 不注意症状(集中困難、忘れっぽい、物なくすなど)と多動性/衝動性症状(じっとできない、しゃべりすぎる、順番待てないなど)がそれぞれ複数項目当てはまり、12歳以前に発症し、2つ以上の状況(家庭、学校、職場など)で機能障害を引き起こしていること。DSM-5における他の精神疾患の典型的な症状: 統合失調症(妄想、幻覚、思考障害など)、不安障害(過度な不安、恐怖、身体症状)、解離性障害(離人感・現実感喪失症)、身体症状症・病気不安症。