13歳の男子。1か月前から膝の疼痛が生じ、近医を受診。精査が必要となり大学病院へ紹介された。左大腿骨遠位に境界不明瞭な腫瘤を触れる。単純エックス線写真(別冊No. 1)を別に示す。化学療法が始まり、リハビリテーション治療が処方された。リハビリテーション治療について正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
13歳男児の膝痛、大腿骨遠位部のしこり、画像所見から骨肉腫が強く疑われます。骨肉腫の治療には化学療法が含まれ、骨髄抑制により免疫力が低下するため、感染症予防が重要となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。骨肉腫に対する化学療法は骨髄抑制を引き起こし、好中球減少により免疫力が低下するため、感染しやすい状態となる。リハビリテーションにおいても感染予防に細心の注意を払う必要がある。選びやすい理由:化学療法の副作用に関する知識があれば、正しい選択肢と判断しやすい。混同注意:化学療法の副作用全般への漠然とした知識。リハビリテーションとの関連性を意識していないと選択しにくいかもしれない。
- 2. 悪性腫瘍の罹患部位を積極的にマッサージすることは、腫瘍細胞の播種や転移を促進する可能性があり、禁忌である。正しくは:罹患部位へのマッサージは行わない。必要に応じて、腫瘍への刺激を避けた疼痛管理を行う。選びやすい理由:一般的な筋疲労や関節痛に対するマッサージの効果と混同しやすい。疼痛緩和目的でのマッサージを安易に考えてしまう。混同注意:一般的な理学療法としてのマッサージと、悪性腫瘍に対するマッサージ。
- 3. 大腿骨遠位部に悪性腫瘍があり、化学療法中であることを考慮すると、罹患部位の骨強度は低下している可能性が高く、骨折のリスクがある。健肢と同じ運動負荷では高負荷となり、病的な骨折を招く危険がある。正しくは:患肢の運動負荷は、骨折リスクを考慮し、個々の病態に応じて慎重に設定する必要がある。選びやすい理由:リハビリテーションの原則として左右差をなくそうとする考え方から、健肢と同じ負荷にすべきと考えてしまう可能性がある。混同注意:病態を考慮しない画一的なリハビリテーションプログラム。
- 4. 骨端線に近い病変であっても、悪性腫瘍であるため温熱療法は禁忌である。温熱は血流を促進し、腫瘍の増大や転移を促進する可能性がある。正しくは:悪性腫瘍に対する温熱療法は禁忌であり、行わない。選びやすい理由:一般的な関節痛や筋肉痛に対する温熱療法の効果と混同しやすい。特に成長期の骨端線周辺の痛みに温熱療法が有効な場合があるという知識から選びやすい。混同注意:良性疾患に対する温熱療法と、悪性腫瘍に対する温熱療法。
- 5. 健肢のリハビリテーション治療は、廃用症候群の予防やADL維持のために、化学療法中であっても積極的に行うべきである。化学療法終了を待つ必要はない。正しくは:健肢のリハビリテーション治療は、化学療法中から積極的に行う。選びやすい理由:化学療法による全身状態の悪化を考慮し、治療終了後からリハビリテーションを開始すべきと考えてしまう。または、化学療法が優先でリハビリは後回しという認識。混同注意:急性期の治療が優先される時期と、早期からのリハビリテーションの重要性。
国試ポイント
骨悪性腫瘍の治療に伴う合併症とそのリハビリテーション上の注意点。
混同注意
通常の整形外科的疾患のリハビリテーションと、悪性腫瘍に対するリハビリテーションは、治療の目的や注意点が異なるため混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
症例の診断(骨肉腫など)と、それに伴う治療内容(化学療法など)を特定し、その治療がリハビリテーションに与える影響(免疫力低下など)を判断する。
関連知識
骨肉腫は若年者に好発する原発性悪性骨腫瘍であり、大腿骨遠位端、脛骨近位端に多く発生する。治療は化学療法と外科的切除が中心となる。