9歳の男児。痙直型四肢麻痺の脳性麻痺。頭部保持は可能で、座位保持は両手の支持が必要である。立位は介助があればわずかにできる。この児が机上で道具の操作を練習する際に両手を使用するための姿勢として最も難しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第57回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
痙直型四肢麻痺の9歳男児で、座位保持に両手支持が必要な状況において、床上で両肘を机上に置いた長座位は体幹の安定性が低く、両手を机上での道具操作に独立して使用することが極めて困難であるため、最も難しい姿勢と考えられます。長座位は股関節の屈曲拘縮がある場合にも不安定になりやすいです。
選択肢ごとの解説
- 1. 車椅子で体幹ベルトを用いた座位は、体幹ベルトによって体幹が安定するため、両手を道具操作に比較的自由に使用しやすい姿勢であり、最も難しい姿勢ではありません。選びやすい理由:車椅子は日常的に使用されるため、選択肢として自然に見えます。混同注意:座位保持装置なしの不安定な車椅子座位と混同しやすいです。
- 2. 正解。長座位は股関節の屈曲と体幹の伸展が必要ですが、この症例のように座位保持に両手支持が必要な場合、長座位では体幹の安定性が非常に低く、両肘を机上に置いても体幹の動揺が大きく、両手を自由に道具操作に使うことが最も困難な姿勢です。正しくは:この姿勢では体幹が不安定で、両手を道具操作に使うことが難しい。選びやすい理由:床上で机に向かう姿勢として一般的に考えられるからです。混同注意:安定した床座位(例:背もたれ付きの座位)と混同しやすいです。
- 3. 割り座(W-sitting)は、下肢支持面が広く体幹の回旋安定性が比較的高いため、座位保持に両手支持が必要な児でも、両手を比較的自由に机上での操作に使いやすい姿勢の一つであり、最も難しい姿勢ではありません。選びやすい理由:割り座が股関節に良くない姿勢として認識されているため、一見すると難しい姿勢に見えるかもしれません。混同注意:股関節への負担と体幹の安定性の概念を混同しやすいです。
- 4. 座位保持装置を使用した座位は、体幹や骨盤を適切に支持することで体幹の安定性が確保され、両手を机上での道具操作に自由に使用できるため、最も難しい姿勢ではありません。選びやすい理由:座位保持装置が必要な重症度であるため、装置を使っても難しいと考えるかもしれません。混同注意:座位保持装置がない場合の座位と混同しやすいです。
- 5. 立位台を使用した立位は、体幹と下肢が完全に支持されるため、両手を机上での道具操作に自由に使うことが可能な姿勢であり、最も難しい姿勢ではありません。むしろ、上肢操作に集中しやすい姿勢です。選びやすい理由:立位自体が介助を要するため、立位台を使用しても難しいと考えるかもしれません。混同注意:介助なしの不安定な立位と混同しやすいです。
国試ポイント
脳性麻痺児の姿勢制御能力と、それに応じた作業療法における活動姿勢の選択に関する知識が問われています。特に、体幹の安定性が両手の操作性にどのように影響するかを理解することが重要です。
混同注意
単に「座位」と「安定した座位」を混同しないことが重要です。体幹支持なしの座位が困難な児にとって、安定性を確保しない長座位は非機能的な姿勢となります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合は、症例の体幹支持能力(座位保持能力)と、各姿勢が提供する体幹の安定性を比較し、両手操作に最も適さない(体幹が不安定になる)姿勢を選択します。
関連知識
脳性麻痺児の粗大運動能力分類システム(GMFCS)や、上肢機能分類システム(MACS)の理解。また、各肢位(長座位、割り座、端座位、立位など)の体幹安定性の特徴と、それぞれの肢位で利用できる自助具や補助具について。