突然の右不全片麻痺を呈して搬送された患者の発症後6時間の頭部CT(別冊No.5)を別に示す。最も考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第52回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下に示すCT画像では、左大脳基底核部分に高吸収域が明瞭に確認できます。これは急性期の脳出血に典型的な所見です。この出血が被殻に位置していることから「被殻出血」と診断されます。被殻からの出血は内包を圧迫・破壊することが多く、対側の片麻痺(この場合は右不全片麻痺)を呈することが一般的です。その他の選択肢は、画像所見や発症様式と合致しません。
選択肢ごとの解説
- 1. 画像からは、出血が被殻に集中しているように見えます。視床出血の場合、出血部位がより内側、第三脳室に接するあたりに位置することが多いです。正しくは:画像上の高吸収域が視床に位置していれば、視床出血が考えられます。選びやすい理由:脳出血の一種であり、右不全片麻痺を呈する可能性があるため、鑑別疾患として挙がりやすいです。混同注意:他の脳出血のタイプ(被殻出血、脳幹出血、小脳出血など)と混同しやすいです。
- 2. 正解。下に示す画像では、右大脳基底核領域、特に被殻に一致する部位に高吸収域が認められます。これは急性期の脳出血を示唆するCT所見であり、出血の部位から左片麻痺(問題文では右不全片麻痺と記載されているが、脳の左右と身体の左右は逆転するため)を呈する可能性が最も高いです。設問の『右不全片麻痺』は左脳の病変を示唆しており、被殻出血はよくある脳出血の部位の一つです。選びやすい理由:急性期の脳出血の典型的な画像所見と臨床症状(片麻痺)が一致しているため、最も考えやすい選択肢です。混同注意:脳出血の他の部位(視床出血、皮質下出血など)との鑑別が難しい場合がありますが、画像所見で部位を特定することが重要です。
- 3. 急性期の脳梗塞の場合、発症直後のCTでは虚血による変化がほとんど映らないか、わずかな低吸収域として現れることが多いです。画像のような明らかな高吸収域は、出血を示しています。正しくは:急性期脳梗塞では、CTでは低吸収域として描出されるか、DWIなどのMR画像でより早期に描出されます。選びやすい理由:脳血管疾患による片麻痺の主要な原因の一つであり、右不全片麻痺という症状からは鑑別が必要ですが、画像所見が梗塞と一致しません。混同注意:脳出血と脳梗塞は臨床症状が類似することがあるため、画像診断で鑑別することが必須です。
- 4. くも膜下出血の場合、出血は脳溝、脳槽、シルビウス裂などに沿って広がる高吸収域としてCTで描出されます。下に示す画像は、脳実質内に限局した出血を示しており、くも膜下出血の典型的なパターンとは異なります。正しくは:くも膜下出血であれば、脳溝や脳槽に沿った出血としてCTで描出されます。選びやすい理由:突然発症の神経症状を呈する疾患であり、鑑別疾患として考えられますが、画像所見が異なります。混同注意:脳実質内出血とは異なり、脳表の血管や動脈瘤破裂が原因となることが多いです。症状として激しい頭痛が特徴的です。
- 5. 慢性硬膜下血腫は、通常、硬膜とくも膜の間に低吸収〜等吸収域の血腫が三日月状に広がり、脳実質を圧迫する形で描出されます。発症後時間が不明ですが、画像は急性期の内実質出血であり、慢性的な硬膜下血腫の画像所見とは異なります。正しくは:慢性硬膜下血腫であれば、CTでは低吸収〜等吸収域の三日月状の病変として描出され、脳実質を圧迫する所見が見られます。選びやすい理由:外傷歴がない場合でも発生しうる病態で、片麻痺を呈することもありますが、発症様式と画像所見が異なります。混同注意:急性硬膜下血腫と慢性硬膜下血腫ではCT所見が大きく異なります。また、脳内出血とは出血部位が異なります。
国試ポイント
脳出血の部位とそのCT所見、およびそれによって生じる対側の運動麻痺という基本的な知識を問う問題です。急性期脳出血のCT画像と、主要な出血部位(被殻、視床、皮質下、脳幹、小脳)の鑑別がポイントになります。特に被殻出血は脳出血の中で最も頻度が高く、臨床症状との結びつきも重要です。
混同注意
脳出血の各部位(被殻、視床、皮質下など)のCT画像での鑑別、および脳梗塞との画像上の鑑別、さらにくも膜下出血や硬膜下血腫といった他の頭蓋内出血との鑑別が混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
同様の画像問題では、まずCT画像のどこに異常所見があるか(高吸収域か低吸収域か、脳実質内か脳表か)、その形状や大きさ、周囲の脳組織への影響(脳室の偏位、浮腫など)を詳細に観察します。次に、問題文中の発症様式(突然か徐々にか)や症状(片麻痺、意識障害、頭痛など)と照らし合わせて、最も整合性の高い疾患を選択します。
関連知識
脳出血の好発部位(被殻、視床、橋、小脳、皮質下)、各部位の責任病巣と出現しやすい症状、急性期CTでの出血の描出(高吸収域)、脳梗塞のCT所見(発症早期は変化なし、低吸収域)、脳実質内出血とくも膜下出血・硬膜下血腫の鑑別、脳神経系の左右交叉。