うつ病の復職支援プログラムの内容として最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第55回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
うつ病の復職支援プログラムでは、職場復帰後の適応を円滑にするために、コミュニケーション能力の改善が重要な要素となります。抑うつ状態にあると、感情の表現や他者とのやり取りが困難になることが多く、これが職場での人間関係や業務遂行に支障をきたす可能性があるため、積極的に取り組むべき課題です。
選択肢ごとの解説
- 1. うつ病患者はネガティブな自動思考や認知の歪みを持ちやすく、これらは症状を悪化させる要因となります。復職支援においては、ストレス対処能力を高めるために、認知行動療法を用いて認知の歪みを修正していくことが重要です。正しくは:認知の歪みを修正することは、うつ病からの復職支援において重要な要素である。選びやすい理由:認知の歪みはデリケートな問題であり、専門家が行うものという認識から、プログラムでは扱わないと考えるかもしれない。混同注意:認知の歪みそのものと、それへの介入の必要性を混同している。
- 2. うつ病の治療においては、再発予防のために適切な服薬継続が不可欠です。復職後も治療を継続できるよう、服薬の自己管理能力を習得することは非常に重要であり、復職支援プログラムの中で支援されるべき内容です。正しくは:服薬自己管理の練習は、再発予防や治療継続のために復職支援プログラムで支援されるべきである。選びやすい理由:服薬管理は医師や看護師の役割と捉え、OTの復職支援プログラムでは直接扱わないと考えるかもしれない。混同注意:服薬管理の専門性と、日常生活における自己管理能力向上の側面を混同している。
- 3. うつ病により休職した患者は、病気を経験したことで仕事に対する価値観や能力に変化が生じることがあります。復職後の再発を防ぐため、またはより適した職務に就くために、自身のキャリアプランを見直し、必要に応じて再構築を検討することは、復職支援において重要な要素となり得ます。正しくは:キャリア再構築の検討は、患者の復職後の適応を促進するために重要な要素となり得る。選びやすい理由:復職支援は元の職場に戻ることを目的とし、キャリアの変更は範囲外と考えるかもしれない。また、OTの専門領域外と捉える可能性もある。混同注意:元の職場への復帰と、より長期的なキャリアプランの検討を混同している。
- 4. 正解。うつ病の患者は、抑うつ気分や意欲低下により、職場での人間関係構築や情報伝達が難しくなることがあります。スムーズな復職や職場適応には、上司や同僚との円滑なコミュニケーション能力が不可欠であり、復職支援プログラムにおいて具体的な練習を通じて改善を図ることは非常に有効です。正しくは:これは適切な記述である。選びやすい理由:直接的な業務スキルではないため、見落とされがちだが、職場復帰には極めて重要。混同注意:コミュニケーション能力の向上と、単なる業務スキルの習得を混同している。
- 5. 復職後の再発予防や職場適応のためには、患者の病状や能力、ストレス耐性に応じた職場環境の調整が重要です。職務内容の変更(配置換え)もその一つの選択肢であり、必要に応じて職場側と検討することは、復職支援プログラムの一環として適切に行われるべきです。配置換えをしないことを前提とすると、患者にとって最適な環境調整の機会を失う可能性があります。正しくは:復職後の再発予防や適応のため、必要に応じて配置換えも含めて職場との連絡調整を行う。選びやすい理由:元の職務に戻ることが原則であり、配置換えは特別なケースだと考えるかもしれない。また、職場との交渉が難しいと想像する可能性もある。混同注意:元の職務への復帰と、より広い意味での職場環境調整を混同している。
国試ポイント
うつ病からの復職支援における作業療法の役割と内容について、具体的な介入方法の知識が問われています。特に、単に業務に戻るだけでなく、精神症状の特性を踏まえた包括的な支援が求められる点を理解しているかが重要です。
混同注意
うつ病の復職支援では、認知行動療法、生活リズムの再構築、ストレス対処スキルの向上、職場との連携など、多岐にわたるアプローチが含まれます。それぞれの介入の目的と具体的な内容を正確に理解していないと、どの選択肢が最も適切か判断が難しくなります。特に「認知の歪み修正」や「キャリア再構築」のように、一見すると専門性が高く、プログラムの範囲外と誤解しやすい選択肢には注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
この問題で問われた知識が不確かな場合、うつ病の特性とそれに伴う機能障害、および復職支援プログラムの主要な構成要素(疾患教育、ストレス管理、対人関係スキル、認知機能訓練、職場連携など)について再確認が必要です。特に、作業療法士が介入できる具体的な内容と、その介入が患者の復職後の適応にどのように貢献するかを理解することが重要となります。
関連知識
精神科リハビリテーション、認知行動療法、社会生活技能訓練(SST)、職場復帰支援(リワークプログラム)、精神保健福祉法、障害者雇用促進法。