病態と治療法の組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第56回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
遂行機能障害は、目標設定、計画立案、実行、評価、修正といった一連の行為を計画的に遂行する能力の障害です。自己教示法は、患者が課題に取り組む際に、内的な独り言や思考プロセスを外在化し、自分自身に具体的な指示を与えることで、段階的に問題を解決し、行動を組織化することを支援する認知行動療法です。これにより、遂行機能障害によって生じる非計画性や衝動性、問題解決能力の低下などを改善する効果が期待されます。
選択肢ごとの解説
- 1. 遮断除去法は、脳卒中後の痙性麻痺患者に対する介入法であり、半側空間無視の治療法ではありません。半側空間無視の治療法には、プリズム適応療法、視覚探索訓練、肢節活性化療法などがあります。正しくは:半側空間無視 ― プリズム適応療法選びやすい理由:遮断除去法という名前が、何かを抑制して特定の機能を引き出すような印象を与えるため、半側空間無視において無視している側の知覚を「除去」するようなイメージと結びつけて選んでしまうかもしれません。しかし、これは痙性麻痺の治療法です。混同注意:「遮断除去法」と「半側空間無視の症状(空間の無視)」という言葉の響きから、関連があるように錯覚する可能性があります。
- 2. 正解。自己教示法(Self-instructional training)は、遂行機能障害を持つ患者が目標設定、計画立案、問題解決、行動のモニタリングなどを自身で順序立てて行えるように支援する認知行動療法の一つです。具体的な課題に対して、患者が声に出して(あるいは心の中で)自分自身に指示を与えることで、計画的かつ組織的な行動を促します。これは遂行機能障害に対する有効な治療法として広く知られています。混同注意:自己教示法と、他の高次脳機能障害に対する様々な認知訓練法と混同する可能性がありますが、特に遂行機能障害の計画性や問題解決能力の改善に焦点を当てたものです。
- 3. 間隔伸張法(Interval stretching method)は、記憶障害、特に記銘力障害(新しい情報を覚える能力の低下)に対する介入法であり、情報を保持する時間を徐々に長くしていくことで記憶の定着を促すものです。注意障害の治療法ではありません。注意障害には、持続性注意訓練や選択的注意訓練などがあります。正しくは:注意障害 ― 持続性注意訓練選びやすい理由:「間隔」という言葉から、注意を集中する「間隔」を伸ばす、という意味合いで注意障害に有効だと誤解するかもしれません。しかし、これは記憶の保持時間に関する訓練です。混同注意:「間隔」という言葉と「注意」を伸ばすというイメージを結びつけやすいですが、これは記憶訓練の方法です。
- 4. 視覚走査法(Visual scanning training)は、半側空間無視や視野障害など、視空間認知の問題を持つ患者に対し、系統的に視線を動かす訓練をすることで、無視している空間や見えにくい範囲を探索できるように促す介入法です。記憶障害の治療法ではありません。記憶障害には、リハーサル法、想起練習、代償戦略の指導などがあります。正しくは:記憶障害 ― リハーサル法選びやすい理由:「視覚」という言葉が、記憶の手がかり(視覚的なイメージ)と関連するように感じたり、「走査」という言葉が情報を効率的に集めるというイメージと結びつき、記憶の改善に役立つと誤解する可能性があります。しかし、これは空間探索の訓練です。混同注意:視覚情報を記憶するという側面と結びつきやすいですが、これは空間を探索する訓練です。
- 5. PQRST法は、読解力向上を目的とした学習戦略の一つで、Preview(概観)、Question(質問)、Read(読む)、Summary(要約)、Test(確認)の頭文字をとったものです。読解困難のある学生や成人に用いられることが多いですが、失語症そのものの直接的な治療法ではありません。失語症には、反復練習、語想起訓練、コミュニケーションパートナー訓練などがあります。正しくは:失語症 ― 反復練習選びやすい理由:失語症も読解困難を伴うことがあるため、読解力向上に役立つPQRST法が関連していると誤解するかもしれません。しかし、PQRST法は一般的に健常者向けの学習戦略であり、失語症の言語機能そのものの再建を目的としたものではありません。混同注意:失語症による読解障害とPQRST法による読解力向上という目的が一致するように見えますが、その対象と介入メカニズムが異なります。
国試ポイント
高次脳機能障害の主要な症状(半側空間無視、遂行機能障害、注意障害、記憶障害、失語症など)と、それぞれの障害に対する具体的な治療法や介入戦略の組み合わせの正確な知識が問われています。特に、各治療法の名称とその治療対象となる障害を正しく結びつけることが重要です。
混同注意
各選択肢に登場する治療法の名称と、それ以外の高次脳機能障害の治療法が混同されやすいです。例えば、「遮断除去法」は痙性麻痺の治療であり、「間隔伸張法」は記憶障害の治療であり、「視覚走査法」は半側空間無視の治療であり、「PQRST法」は読解学習戦略であり、それぞれ本来の対象と異なる障害と結びつけられることで混乱を招きます。
次に同じ論点が出たら
この論点が再度問われる場合、他の高次脳機能障害(例:失行症、失認症)とそれに対応する治療法の組み合わせが問われたり、特定の治療法の具体的な内容を説明する問題形式になる可能性があります。また、治療法の適用条件や禁忌に関する問題も考えられます。
関連知識
高次脳機能障害の各症状(記憶障害、注意障害、遂行機能障害、半側空間無視、失語症、失行症など)の定義と評価方法、およびそれぞれに対する代表的な治療法や介入戦略(認知リハビリテーション、代償戦略、環境調整など)について、具体例を挙げて説明できる必要があります。特に、自己教示法、行動分析的アプローチ、エラーレスラーニング、プリズム適応療法などの具体的な治療内容を理解しておくことが望ましいです。