作業療法の目標設定で最も適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
作業療法における目標設定は、患者中心のアプローチが基本です。患者さん自身の価値観、希望、ライフスタイルを深く理解し、それらを目標に反映させることで、内発的な動機付けが促され、治療効果が最大限に引き出されます。これは作業療法の「作業」が「その人にとって意味のある活動」を指すという根幹の理解と直結します。
選択肢ごとの解説
- 1. 作業療法の目標は、達成度を評価できるよう、具体的かつ測定可能な形で設定する必要があります。抽象的な目標では、進捗を客観的に判断できません。正しくは:目標は具体的かつ測定可能な形で設定する。選びやすい理由:目標は柔軟性を持たせるべきという考えと混同するかもしれませんが、目標の柔軟性と抽象性は異なります。目標は柔軟に調整可能であるべきですが、その内容は具体的であるべきです。混同注意:目標を達成するための手段の多様性や柔軟性。
- 2. 患者さんの状態、治療への反応、生活環境、価値観などは変化していくため、目標も定期的に見直し、必要に応じて修正していく柔軟性が重要です。正しくは:目標は患者の状態や進捗に合わせて適宜見直す。選びやすい理由:目標設定の重要性を強調するあまり、安易に変更すべきでないと誤解する可能性があります。しかし、作業療法の目標はプロセスであり、固定ではありません。混同注意:治療方針の一貫性。治療方針は一貫性が重要ですが、目標は患者の状態に寄り添って変化するものです。
- 3. 正解。作業療法は、その人にとって意味のある活動(作業)を通じて健康と幸福を促進する専門職です。そのため、目標設定においては、患者さん自身の価値観、希望、生活背景を尊重し、それを目標に組み込むことが不可欠です。これにより、治療へのモチベーションが高まり、実生活への応用も促進されます。
- 4. 標準的な病期対応は一般的なガイドラインとして参考にはなりますが、個々の患者さんの身体状況、心理状態、社会環境、価値観は多岐にわたります。そのため、個別の状況に応じたオーダーメイドの目標設定が作業療法の基本です。正しくは:標準的な病期対応を参考にしつつも、個々の患者の状況に合わせて目標を個別化する。選びやすい理由:医療現場では標準的なプロトコルやガイドラインが重視されるため、それに従うことが正しいと考える受験生は多いかもしれません。混同注意:疾患別リハビリテーションの標準的な期間や内容。標準的な対応はあくまで基準であり、個別性が最優先されます。
- 5. 作業療法では、機能改善と同時にまたは並行して、実際の生活活動や役割への復帰を目指します。復職支援においては、機能改善を待つだけでなく、早期から職場の環境調整、作業分析、段階的な復帰計画など、包括的なアプローチが重要です。機能改善が不十分でも、代償手段や環境調整によって復職が可能になる場合もあります。正しくは:復職は、機能改善と並行して早期から検討し、環境調整や段階的なアプローチを含めて計画する。選びやすい理由:身体機能の回復が前提という一般常識や、医学的治療の段階的なアプローチと混同しやすいです。混同注意:機能訓練と生活活動訓練の優先順位。作業療法では機能訓練と生活活動訓練を統合的に進めます。
国試ポイント
作業療法の根幹である「作業中心」「患者中心」の考え方を理解しているか問う問題です。目標設定の原則(具体的、測定可能、達成可能、関連性がある、期限がある:SMART原則も関連)と、その目標が誰のために設定されるのか、という倫理的側面が重視されます。
混同注意
「標準的な医療ガイドラインに従うこと」と「個別性重視」のバランス。リハビリテーション医療ではエビデンスに基づいた標準的治療も重要ですが、作業療法においては「その人らしさ」を尊重した個別性が特に強調されます。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、「患者の参加」「主体性」「個別性」「意味のある作業」といったキーワードが含まれる選択肢に注目し、一般的・画一的なアプローチやセラピスト主導のアプローチを否定する方向で判断する。
関連知識
作業療法の目標設定におけるSMART原則 (Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)。 ICF (国際生活機能分類) の視点。患者中心のケア (Patient-Centered Care)。リカバリー志向のアプローチ。